【テトラ・アビエーション】2021年5月1日放送分

大楽
FirstMaker~希望のストーリー~。大楽聡詞です。この番組は、新しい時代を切り拓き日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きし、震災の復興、そして新しい産業のリアルタイムな情報をユーザーの皆さんに感じてもらおうという番組です。この放送は FM 岩手DateFMエフエム仙台ふくしまFMLucky FM茨城放送bayfm、以上太平洋沿岸5局をネットしてお送りしていきます。

そして番組アシスタントはこの方です。

田巻果奈です。よろしくお願いします。

田巻
5月に入りました。

大楽
そうですね。風薫る5月と言いますからね。木々が芽吹いて新緑がまぶしい季節でね、窓を開けて思いっきり深呼吸したいんですけど、花粉症なんでずっと閉めっぱなしです。

田巻
閉めっぱなしなんですか。花粉症つらいですよね。実は私も花粉症なんですけど、先月4月ぐらいから落ち着いてきました。

大楽
それはもうスギ花粉のみですね。スギ花粉が桜とともに去っていくって言われてます。

田巻
なるほど、じゃあ桜が散る頃にスギ花粉なくなってくるんですね。

大楽
そしてゴールデンウィークにヒノキが大体終わるというふうになってますね。

田巻
大楽さんはまだ花粉症続いてますか。

大楽
アレルギー検査によりますとスギが4の、ヒノキが1なんで若干続いてる。調子に乗って窓開けるともう目が痒くてひどいです。

田巻
ラジオを聴いている方の中にも私たちのように花粉症の方いらっしゃるかもしれません。そんな方には新緑は目で楽しんでいただきたいと思います。

大楽
というわけで今週もまじめに福島の今を感じるお話、お届けしていけたらと思います。

今日のゲスト:テトラ・アビエーション株式会社 新井秀美さん

田巻
今週は社員たった8人で世界に向けて空飛ぶ車を開発・研究されているベンチャー企業、テトラ・アビエーション株式会社さんに注目していきます。
本社は東京文京区、福島ロボットテストフィールドを開発拠点とする会社です。2018年プロジェクトテトラチームを運営するために創業。昨年2020年ボーイング社が講演する国際コンテスト『GoFly』にて世界トップ10入りに進出。現在は空飛ぶ車の一つであるeVTOLを開発されています。ご出演頂くのは取締役新井秀美さんです。早速お迎えしましょう。

テトラ・アビエーション株式会社
https://www.tetra-aviation.com/

大楽
今週のゲストは、テトラ・アビエーション株式会社取締役新井秀美さんです。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

大楽
テトラ・アビエーション株式会社さんなんですけども、社員総数わずか8名でありながらその高い技術力があのボーイング社に認められたということですけど、このお話からお伺いしてもよろしいですか。

新井さん
私たちテトラ・アビエーションは一人乗りの航空機、いわゆるeVTOLという空飛ぶ車を作っています。2018年に東大発ベンチャーとしてプロジェクトテトラを運営するために創業をしました。
当初はボランティアが40人ぐらいいまして、40人ぐらいで2年ぐらいかけて大会に向けて航空機を開発しました。今はもう会社になりましたので従業員と役員を入れて8人で作っている。次の機材を作っているって感じですね。

大楽
ボーイング社が提供する一人乗りの航空機開発コンペ・GoFly、これに中井代表が応募して今回受賞されたということなんですけど、大会的にはもう1年以上なんですか。

個人用飛行装置の国際コンテスト「GoFly」
https://www.boeing.jp/%E7%89%B9%E9%9B%86%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/gofly.page

新井さん
2年以上かけた大会でした。そしてまだ今も続いています。
まず一番最初にこういうコンペがあるよ、みんな応募してねと言われて、世界中から103か国854チームが参加して、その中でうちの代表が出したデザインが世界トップ10に選ばれました。このデザインで頑張っていこうということで会社を作ったんですね。でその後も、これが一次審査で、二次審査、最終審査っていうところがあって、最終審査に残ったチームの中から唯一賞金を獲得してプラットアンドホイットニーというエンジンの会社から破壊的イノベーションを起こしたチームとして表彰されてお金をちょこっといただきました。

大楽
お金もちょこっとですけど10万ドルですよね。

田巻
10万ドルって日本円で言うと1000万以上ですよね。

開発中の『eVTOL』

田巻
開発される空飛ぶ車eVTOLはどんな特徴があるんですか。

新井さん
eVTOL はそもそもElectric電気のEに、Vertical Take-Off and Landing、垂直離着陸という意味です。なのでヘリコプターも垂直離着陸の航空機です。
今回のスタートアップ企業としていわゆる空飛ぶ車と言われてるのはもっとコンパクトになって、翼だったりとかプロペラだったりとかがいろんな自由な形がついてるんですけれども、とても開発しやすくて、街中でも使えたりちょっとした所にでも気軽に使えるような航空機を技術革新として世界中に、約200社から300社ぐらいがこの空飛ぶ車というのを開発してると言われています。

大楽
僕は最初に見たときに通常のドローンだと、同じ方向を向いてるじゃないですか、プロペラ4つが。でも今回のテトラ・アビエーションさんのやつはちょっと形が通常とは違ってホバークラフトのような形で、下に向けてと垂直に2つっていう、ここら辺が今までとはちょっと違うなって思ってみてたんですよ。

新井さん
まさしくその点が評価されて。飛ぶ時にはV 字の形で上に上がって、上に上がった時には傾いてこの背中に当たる部分のものがまっすぐに進む動力になる。4つで上がって、2つで前に進む。

大楽
本当に海上を走ってるあのホバークラフトと同じ原理ですよね。
あともう一つちょっと気になったのが、先程まだこのコンテストが続いてるって仰ってましたよね。これってどこがゴールなんですか。

新井さん
この大会に参加する機体っていうのは大きさとか重さとかが決まっていまして、この大きさだったりとか重さだったり決まったものでこのコースを走りきったら優勝だったんですよ。決められたルートで、この飛行をしなさい、ホバリングをしなさいとかゴーアラウンドをしなさいとかあったんですけど、当日は風がとても強くて誰もそれができなかったので、できるようなチームが1チームでも出てきたらこの先それが優勝。なのでみんなまだ引き続き開発をしているチームもあります。

大楽
テトラ・アビエーションさんの機体はそれができるんですか。

新井さん
できる予定でした。

大楽
なるほど。ただそれが中止になってしまったということですよね。
でもそんな中で受賞されたっていうのはそれもまた素晴らしいことですよね。今後にもつながりますよね。世界中からお話は来るんですか。

新井さん
そうですね、投資家の皆さんだったりとか世界中の方とお話をしています。

大楽
そこもちょっと聞いてみたいところです。

テトラ・アビエーションと福島ロボットテストフィールド

大楽
テトラ・アビエーションさんは現在南相馬市にある福島ロボットテストフィールドで研究と開発をされているということなんですけど、具体的にはどのようなことされてるんですか。

新井さん
元々福島ロボットテストフィールドの所長の鈴木真二先生に「こういうのが新しくできるから君たちよかったら使ってみない」っていうことを、お声掛けを中井(代表取締役社長)にいただきまして、入居することにしました。で日本国内で公的施設としてこういった空飛ぶ車を屋外で飛ばすことができるのは福島ロボットテストフィールドだけです。公的な場所、公の場所としてはあそこだけなので、具体的にはホバリングの試験だったりとか飛ばすための試験っていうのを朝までやって。

大楽
日本の航空機の製造事業っていうのは昔から比べるとすごい少なくなってるってのもお伺いしまして、そんな中でテトラ・アビエーションさんが開発拠点に海外ではなくて国内、福島ロボットテストフィールドを選ばれた理由っていうのをちょっとお伺いしてもよろしいですか。

新井さん
日本は航空機としての開発は少なくなっているんですけれども、航空部品に関しては本当にたくさん作っておられまして、日本でだと例えば愛知県は日本で一番航空部品を作っている県で二番目が福島県ですので。素敵なおじさまたちがいっぱいいるので、ぜひ皆さんにも知っていただき航空分野について興味を持っていただけたら嬉しいです。

大楽
そうですね。分からないことってまだまだありますからね。

田巻
このFirstMakerで伝えていきたいですね。

テトラ・アビエーションとはどんな企業?

大楽
今日はテトラ・アビエーション株式会社取締役新井秀美さんにお話伺っています。ここからは新井さんとテトラ・アビエーションについて聞いていきたいと思うんですけど、そもそも新井さんがテトラ・アビエーションに入社された理由というのは。

新井さん
元々IT業界とかのスタートアップ企業のお手伝いをしていて、たまたま知り合いの人からちょっと1社書類の仕事が間に合わなくなっている会社がいるので手伝ってもらえませんかと言われて連れて来たのが、うちの代表の中井さんだった。

大楽
元々新井さんって何をされてる方なんですか。

新井さん
行政書士です。行政書士をしていたので、例えばベンチャー企業とかスタートアップ企業の人がこういうビジネスやりたいんだけど法律的に大丈夫?とか外国人の人採用したいんだけどどうしたらいいですか?とか補助金とかこういうの全然書類の書き方わからないし面倒なんでやってもらえますか?とかそういうのをお手伝いしたりとか相談に乗ったりとかをしてました。

大楽
そんな中で空飛ぶ車と言うか今まで相談を受けた業種と言うか全く違うんじゃないですか。

新井さん
そうですね。一番ぶっ飛んでるのが来たなあとは思いました。

田巻
でもそこを対応できたんですもんね。すごいですよね。

新井さん
そうですね、ちょっと取材を中井が受けていたのに対してダメ出しをした時に、これ一人でいってるわけじゃないですよねって(聞いたら)僕一人でいってますって言われたので、何かおかしいなと思って、40人ぐらいボランティアいたんですけど全員エンジニアしかいなかったので、じゃあそれついていきますよとか、じゃあプレスリリース書いときますよって言ったらどんどんどんどん仕事が増えていったので。

大楽
それは広報担当ですよね。

新井さん
そうですね。メディアもちょっと興味があったので書き方とかは知ってたんで、スタートアップ企業の手伝いもしてたので、もうちょっとこう書いた方がいいんじゃないとかいうのは今までも言ってたんで。それでちょっとずつちょっとずつ手伝っていたら、中井的にはあの細かく説明しなくても分かってもらえたのが良かったって言ってました。

田巻
できる方なんですね。

大楽
それはいつぐらいだったんですか。

新井さん
2019年の4月。4、5、6。2年ぐらい前です。

大楽
2年間でテトラ・アビエーションさん、中井さんとかとお付き合いしてみて、この会社の魅力ってどんなところですか。

新井さん
一番は、『中井さんは運がいい』。

田巻
運なんだ。

新井さん
本当に引き寄せてくるのが本当に強い。びっくりするほど強い。今まで見てきたスタートアップ企業の社長さんの中で一番強い。

大楽
全部はちょっとお話いただけないと思うんですけど、その強さのエピソードでここでお話いただけるものがあったらちょっと。

新井さん
もちろんです。
今回のGoFlyっていう大会を見つけて、これだったら僕できるって言って勉強してデザインかいて、これまで全然航空機なんか知らないんですよ。彼は専門は破壊力学って言って、ものが壊れるのはどうして壊れるのかとか、物も安全性とかやってたので航空機作ってるわけじゃないんですよ。で、できてデザインもとれて、じゃあ創業するぞっていったらすぐ国で空の移動革命官民協議会やるので君来てねって言われて、会社が始まって3ヶ月でそういう官民協議会にも呼んでいただいて。他は全日空さんとか、JALさんとか。大きな企業さんのいる中にちょこんといるみたいな。何でいるのっていう。スタートアップ企業で3ヶ月でそういう会に参加してるなんて見たことがない。そういう引きがすごく強い。びっくりするほど強い。

田巻
実力もありますからね。

大楽
そういうチャンスを与えられて、チャンスという名のボールをちゃんと打ってるからこそ次につながってるところもあると思うんですけど。ちょっと今自分に置き換えて俺運ないなとかいろいろ考えちゃった。

新井さん
私もないです。

大楽
でも入られてまだ、まだっていう言葉が悪いですけど8人じゃないですか。

田巻
増やそうとは思わないんですか。

新井さん
もちろん増やしてます。すごく採用面接とかいっぱいしてます。

大楽
ちなみにどういった人たちを求めているんですか。

新井さん
一番は『パッションがある』こと。こういう航空機を作って、社会を変えていくぞっていうパッションがあることがまず一番です。

大楽
そこなら僕ちょっと勝負できるかな。

田巻
資格とかは必要ないんですか。

新井さん
そうですね、特にないですね。

田巻
パッションだけで。

大楽
何かしら必要だと思う。そんなことをおっしゃりながらも、何かしら必ず必要になる。

田巻
今このラジオを聴いてる方でそういうパッションを持ってる方いらっしゃると思うのでそういう方はぜひ。

新井さん
はい。何でも大丈夫です。

大楽
ちょっと話がそれてしまったんですけど、新井さんは今現在テトラ・アビエーションさんだけじゃなくて他のこともされてるんですよね。

新井さん
そうですね、電動キックボードを販売する会社でも働いてますし、政策研究大学院大学という社会人向けの大学院で公共政策の勉強もしています。

大楽
すごい、仕事しながらまた違う勉強もされているっていう。

新井さん
そうですね、今日もこの後大学院の授業がありますね。

田巻
すごすぎる。

大楽
それを聞くと僕たちまだまだ勉強足りないなって思いますね。

田巻
ほんとに。時間を無駄にしてるなって。もっともっと追い込んで私も頑張りたいと思います。

大楽
ありがとうございます。今週はテトラ・アビエーション株式会社取締役新井秀美さんにお話伺っていきました。来週もこの続き伺っていきたいと思いますので、新井さんよろしくお願い致します。

新井さん
よろしくお願いします。

田巻
よろしくお願いします。

エンディング

大楽
今週はテトラ・アビエーション株式会社取締役新井秀美さんにお話伺いました。
田巻さんいかがだったでしょうか。

田巻
新井さんのお話を聞いて、できないことなんてないんじゃないかと。何でもできちゃうような気がしました。

大楽
やはり新井さんが女性ということもあって同性として共感する部分も多かったでしょうね。

田巻
確かに。同性として尊敬の眼差ししかなかったです。本当に。もう来週も楽しみです。

大楽
来週もテトラ・アビエーション株式会社取締役新井秀美さんにお話伺っていきます。
来週も是非聞いてください。