大楽
FirstMaker~希望のストーリー~。大楽聡詞です。この番組は新しい時代を切り開き、日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きして震災の復興として新しい産業のリアルタイムな情報をリスナーの皆さんに感じてもらおうという番組です。

田巻果奈です。よろしくお願いします。
田巻
大楽さん私もうすぐ大学4年生になります。
大楽
なるほど。もうそういう季節なんだね。
田巻
ちなみに3年生はもう全てオンライン授業だったんですけど、リスナーの皆さんの中にオンライン授業って何するのって思う方もいらっしゃると思うんですけど、オンライン授業には2種類あるんですよ。オンデマンド型と同時双方向型っていうのがありまして。
大楽
オンデマンドっていうのは……。
田巻
学生が好きなタイミングで教授がアップロードしていた資料を個人で学んで課題提出するっていうそれがオンデマンド型で、同時双方向型が同じ授業をとっている学生が同時にズームなどの Web 会議システムにアクセスして、リアルタイムかつ双方向に授業を行うんですよ。
大楽
オンデマンドっていうのは時間を選ばないけど、双方向は時間を限られた時間、例えば10時からスタートって言ったらもう10時に入らなくちゃいけないということですね。
田巻
そうなんです。1限目2限目今まで通りの時間帯に90分授業を学ぶっていう授業方法なんですけど、来年度は対面授業になるのかな。学校行きたいですね。
大楽
そうだよね。新型コロナウイルスで田巻さんのように学校通いたいのに通えないっていう学生さんも入れば、会社がテレワークで、自宅で過ごして出社回数が減ったという方も多かったと思います。
田巻
そうですね。学校や会社に通うこと、人と直接会うことがどれほど大切なことか、いざ経験してみないと気づけないですよね。
大楽
そうですね。まあオンラインという便利なツールはあるかもしれないけど、言葉だけではなくて、会っていろいろ話をして分かり合えるからこそ、生きてるって訳じゃないけど人と会話してるとか、そんな気持ちもありますので、なかなかね早くこの状況が改善されればいいなと思いますね。そして東日本大震災から10年迎えましたね。
田巻
小学生だった私も大学生となってこの番組を通して色々な方のお話をお伺いしている中で、これからの10年どのように過ごすか、そして若い世代がどのようにバトンを受け取って地域の発展に貢献できるのかを初めてね、深く考えました。
大楽
というわけで、今週もエフエム岩手、Datefmエフエム仙台、ふくしまfm、IBS茨城放送、bayfm、以上太平洋沿岸5局をネットしてお送りします。
今日のゲスト:株式会社アイザック 馬場法孝さん
大楽
FirstMaker~希望のストーリー~。今日のゲストは先週に引き続き株式会社アイザック総務部の馬場法孝さんにお話をお伺いします。馬場さんよろしくお願いします。
馬場さん
よろしくお願い致します。
田巻
よろしくお願いいたします。まず先週のおさらいをしましょう。アイザックさんは福島県会津若松市にあるロボット開発企業。その中で馬場さんは小型電動クローラーの企画や営業を行っております。小型電動クローラーについては番組ウェブサイトに写真がありますので、是非ご覧になった上でお聞きくださいね。
大楽
馬場さん、先週は世界一価格が安いというのを聞いてしまいまして。そんなすばらしいものをまさかの福島県からね、会津から出てたなんて思わなかったです。
田巻
びっくりですね。
大楽
その小型電動クローラーのもうちょっと開発であったりとか、具体的なお話を伺っていきたいと思うんですが、この小型電動クローラーっていうのは、悪路ですとか、斜めになった場所でも転ばずに進むことができる。先週お話いただいたように災害現場で役に立つというお話をしていただいたんですが、今後も自然災害が福島県ってここ1、2年、さらに増えてきているような気がするので、そういったところでも活躍しそうですよね。
馬場さん
そうですね。今悪路や斜めになった場所っていう話があったと思うんですけども、45°の階段がのぼれるっていうのと、傾斜が30°のぼれるっていうのもそうなんですけども、やっぱり災害の時に一番大事なのは、普段そのロボットが仕事をしていた、動いていたってことなんですよね。災害の時だけ動くロボットっていうのは、意外と現場で動かなかったりするので。なので、災害に近いような環境で、例えば下水の中ですとか、砂利道なんかを日常的に走っているロボットが、災害の時は○○戦隊みたいな感じで招集されて災害対応をするっていうようなそういう建付けを今考えていて、そもそも特徴的なのがコントローラーが特徴的なんですけど。
大楽
コントローラー?それは小型電動クローラーを動かすのを、コントローラーで行うんですか。
馬場さん
そうなんです。災害の発生時にまずは日常的に動いているロボットがありますと。この現場で動くことができますってなっても、今度それを動かす人がいないってのが結構よくあることですね。
大楽
ちょっと待ってください、馬場さん、そうすると、例えばトラクターとかショベルカーって専用の免許が必要じゃないですか。だからそういう災害時にもそういった免許を持ってる人が動かすってのが僕のイメージなんですけど、それとは違うということですか。
馬場さん
そうではないですね。弊社のロボットは基本的に誰でも動かせるっていうのがひとつ特徴でして。
田巻
じゃあ私たちも動かせちゃうってことですか。
馬場さん
動かせますね。コントローラーの形が、ゲームコントローラーなんです。
アイザックの操作装置
http://www.aizuk.jp/controller.php
大楽
ロボットの専用のコックピットみたいなところに入って動かすような特別なものではなくて、誰もが動かせるようなものですよということですね、そうすると。
馬場さん
そうですね。
大楽
なぜそういうものに着想がいったのか聞いてみたいです。
馬場さん
これが、現場のトラブルからわかったことなんですけど。例えば展示会なんかに出るときに、当日その予定してたオペレーターがちょっと体調を崩して出られなくなってしまって、動かせないと。これ災害現場だったらロボット動ける状態なのに動かせないってすごく悲しいなと思って。そこで誰でも持った瞬間に動かせるものじゃないとダメだなっていうところで、ゲームコントローラーっていうとこに着想したんですけど。
田巻
じゃあその経験がなかったら、もしかしたらそのコントローラーが生み出されてなかったかもしれないってことですよね。
馬場さん
そうですね。このコントローラーにしたことで、もう展示会で、極端な話オペレーターがいなくても、子供さんに渡すともう動かせちゃうんですよね、何となく。逆に我々の説明聞いてくれないです。こうなるとこうですよとかね。「黙っててくれ、俺はこれで今好きに動かしたいんだ」って。
大楽
それは僕も動かしたい。
田巻
やってみたいですよね。
馬場さん
直感的に動かせるっていうのが、結構大事かなと。うち、小型だけじゃなくて大型のもあるんですけど、災害対応ロボットは全部そのゲームコントローラーで動くようになってます。
田巻
大型も?私たちもできちゃうってことですよね。
大楽
簡単にできるってことですよね。機械の動きとかスペックばかり気にしてると、いざという時に、災害時とかそういう時にすぐ使わなければいけないので、そういう時に使えないって意味がないと思うんですよね。
馬場さん
ゲームのコントローラもそうなんですけど、その他タブレットで操作っていうことも可能ですね。タブレットって皆さん結構日常的に使うことになってきたと思うので、そのタブレットを使ってロボットを動かすっていうところも、災害対応の即応性っていう観点からすごく重要かなと。やっぱり身近にあるもので身近にないものを動かせるのが大事かなと。
大楽
その発想どこから来たんですか、身近にあるもので身近じゃないものを動かすって発想。
馬場さん
結構ロボット開発をやる人たちはみんな大事にしてることだと思うんですけど、人間との親和性というか、いかに人の生活の中に溶け込んでいけるかって結構大きなテーマなので、人と触れ合う場所、コントローラーが回ればできるというのは触れ合う場所なんで、そこはより身近でわかりやすいものにする必要があるっていうのは、結構皆さん考えることかなと思いますね。
大楽
見せていただいた写真とか見ると、クローラーとかキャタピラの走行部分はありますけど、後は作業するアーム、腕の部分になるところ、これがないんですけど。
馬場さん
そうなんです。そこがですね、アイザックの小型電動クローラーの最大のポイントと言えるんですけど。
大楽
ないものがポイントなんですか。
馬場さん
もちろん最終的にはつけるんですけど、じゃあどこにどんなものをつけるかっていうのは、我々がそのベース車両としてクローラロボット販売する時点では分からないんですよ。
大楽
購入された側がどういう用途で使うかがわからないということですよね。
馬場さん
そうですね。そこを勝手に想像して物を作ることできるんですけど、それって使えないですよねっていうのがずっとありまして。でも最低限これはいるよねっていう不整地走行のロボットだけを突き詰めて作っているっていう。
田巻
なるほど、確かに走るっていうのはどんな作業でもありますもんね。
大楽
イメージ的にはロボットの足部分というか下半身部分だけを購入して、上半身部分はお客さんの方で作ってもいいですよ、私たちの方でも言ってくれればいろんなロボットとしてカスタマイズしますよっていうことですよね。
馬場さん
そうですね。
田巻
基本的には発注してから、注文を受けて全部作るのが一般的ですけれども、相手の用途に合わせて相手の方々に作ってもらうっていうことですよね。
馬場さん
それ(注文を受けて作る)だと一個一個の値段がものすごく高くなってしまうとか、オーダーメイドになっちゃって。それこそ何千万っていう世界になってしまうんですよね。
大楽
気になったのが、アイザックさんはロボット開発者教育用クローラーというのも作られてるというの見たんですけど。

RTM仕様教材用小型電動クローラロボット
ロボットの仕組みから、制御プログラムの構築までを一貫して行うことで、
ロボット開発者に必要な「電気」・「メカ」・「制御」技術を学習することができる教材用ロボット。
馬場さん
そうですね、うちみたいなロボット開発やってる企業で結構課題になってるのはどうしても人材獲得なんですよね。技術者がやっぱりなかなかいないので。ロボットの需要はこれからどんどん増えていくし、じゃあそういう開発の仕事してみたいって言ってもなかなか勉強する環境とか教材っていうのがなかったりしてですね。ロボットをやろうとすると幅広い知識が薄く必要で、さらに自分の専門分野を持ってっていうので学ぶことが非常に多くてですね、その辺効率的に勉強できるようなロボットを作りたいので、これも会津大学さんと一緒に作ったんですけど。
大楽
具体的にはどういったものなんですか。例えば個人でも購入が可能だったりするのかとか。
馬場さん
我々が作った時は本当に大学の研究室向けに作ってるので、金額的にもそんなに安くなくて、もともと教材用というので作ったんですけど、それをハードウェアもソフトウェアも全部オープンソースにして公開したんですね。
大楽
オープンソースというのは、誰もがカスタマイズできるものですよね。
馬場さん
そうですね。誰でもこの図面なんかをインストールして自分でもモノ作りが、同じものが作れるという状態ですね。そうしたことで、もともと学生用に作ったんですけど県内企業のある会社さんがそのクローラ教材用ロボットを使ってビジネスを始めたいっていうことがありました。それまでロボットやったことない会社さんですけど。
田巻
そう考えると全然関係ない人も気軽に挑戦しやすいですよね。
馬場さん
プレイヤーが増えてくれないと、我々も事業が発展していかないので。ロボット業界独特なのかもしれないんですけど、ライバル他社っていう考え方が私個人的にあんまりないなって思っていて、他社製品と比較してどうとか考えないでとにかくロボット業界みんなで盛り上げましょうって機運が結構強いかなと思います。うちもさっきオープンソースってお話したと思うんですけど、普通だったらこの技術を抱え込んでうちでしか作れないようにすると思うんですけど、それをどんどんオープンにして今までロボットやったことない会社さんがロボット始めてパーッと盛り上がったりするとロボット業界全体が盛り上がるんで、そっちの方がはるかに利点が多いというか、メリットが大きいというような。
田巻
ロボットって心ないようででもめちゃめちゃありますね。暖かい気持ち。
大楽
作ってる人間が多分あるよね。さらに詳しいお話を後半、また馬場さんにお伺いしていきたいと思います。
ロボット産業の未来
大楽
今日は福島県会津若松市の株式会社アイザック総務部の馬場法孝さんにお話を伺いしています。
馬場さんが見据えるロボット産業の未来、そしてこの業界を目指す若者に求める事ってありますか。
馬場さん
ロボット産業の未来ってところでいうと、「まずは産業にする」っていうところが1つ、我々としてはテーマかなと思っていて、ロボット産業っていわゆる工場で動くようなファクトリーオートメーションと呼ばれるようなロボットってずっと日本がトップでやってたんですけど、我々がやってるようなサービスロボット、一般の人が使うようなロボットってまだまだ産業としては出来上がっていないっていうのが実情だと思うんですね。
じゃあサービスロボットの市場もこれからどんどん作っていく、我々もそうなんですけど色んなロボットメーカーさんと協力しながら市場自体を作っていく、産業を作っていくっていうのが一番大きなテーマで、その中で、より一般の人たちにロボットがもっと身近な存在になっていくように、さっきのコントローラーみたいな親和性を高めて、ロボットの安全性もそうなんですけど、身近にあるよねっていう世界にたどり着くために産業自体を起こしていくのがすごく大きなテーマかなと思います。
で、そうやって日常にあふれたロボットが普段は人の仕事を助けたりしてくれていて、災害が起きたら大災害現場に行って救助活動やってくれるとか、より一般の人たちにとって身近な存在になっていってほしいなという風に思っていてですね、そこで今後この業界に入ってきたいと思ってくれてる若者がいたら、本当にロボットを通して自分の技術をロボットにどんどん付加していきたいっていうことももちろんモチベーションとしては面白いんですけど、逆に自分の経験がロボットに教えてやるんだぐらいの気持ちでロボットを産業として育てるチームメイトと言うか仲間が一人でも増えて欲しいなって思います。
大楽
2週にわたって本当にいいお話を伺うことができました。
田巻
私実はゲーム好きなんですね。だからコントローラーがゲームのコントローラーと一緒って聞いて私もなんか興味湧いてきたと言うか、あれちょっともしかしたら私でもできちゃうんじゃないのかなって、難しいと思いますけど、って考えたらますます魅力的になりました。
馬場さん
嬉しいです。ありがとうございます。
大楽
先週、今週とですね、株式会社アイザック総務部馬場法孝さんにお話をお伺いしました。馬場さん、今度は是非直接伺いますので、色々とロボット見せていただきたいと思います。
馬場さん
是非お待ちしてます。
エンディング

面白かったですね。この小型電動クローラーのコントローラーがゲーム機と一緒っていうことで、ロボット業界の人手不足って言ってましたけど、ゲームのコントローラーだったり iPad 使って操縦できるって言うことだったりすごいハードルが下がってきてるんで、これからもっと多くの方に興味を持っていただいてたくさんの人がねロボットの開発に携わってほしいなって思いました。

僕はやっぱり馬場さんのお話で、良い物をつくるために、情報を独占せずに情報を共有するっていうところがすごく胸に響きましたね。なかなかそういうことできないじゃないですか。創ったものがすばらしいと、それをどうやって独占するかってことに考えがちなんだけど、そこの先にある、これは何のために使うのかとか、そういったものを考えたときには、やはり色んな人たちの力を借りて、いいものを作り上げるっていうことが、その先の人たちに繋げていくことができるんじゃないかなと思って。

洗練されたそれぞれの技術の強みが、より一層引き出せますもんね。

そういう思いを実現させるパワーはすごいなと思いました。
そして番組アシスタントはこの方です。