【エイブル】2021年2月13日放送分

大楽
おはようございます。FirstMaker~希望のストーリー~。大楽聡詞です。この番組は新しい時代を切り拓き、日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きし、震災の復興、そして新しい産業のリアルタイムな情報をリスナーの皆さんに感じてもらおうという番組です。

そして番組アシスタントはこの方です。

田巻果奈です。今週もよろしくお願いします。

大楽
さあもう2月ですよねえ。

田巻
いやもうあっという間ですね。

大楽
2月と言えば、大きなイベントがあるの知ってます?

田巻
いやそれはもう受験シーズン真っ只中ですからね、受験生のみなさん、体調を万全にして乗り切ってください。

大楽
うーん、それじゃないんだよね。

田巻
え、なんですか。

大楽
それじゃないじゃない。

田巻
え、なんですか。それ以外あります?

大楽
2月14日、バレンタインデーですよ。

田巻
そっちかあ。

大楽
田巻さん、かわいい僕にチョコをください。

田巻
ええ、大楽さんかわいいですか。

大楽
かわいいじゃない。チョコをください。

田巻
ええ、大楽さんにチョコレートですか。いや全然考えてなかった。

大楽
普通考える。

田巻
じゃあちょっと考えときますね。

大楽
マジで?それ来年じゃんもう。

田巻
義理で。

大楽
もういい、義理とかいらないもん、わかってるけど。なんかもう最初から気分がもうちょっと落ちたなあ。まあとにかくですね、今日も楽しい番組を始めていきたいと思います。

田巻
はい。

大楽
エフエム岩手、エフエム仙台、ふくしまエフエム、IBS茨城放送、bayfm、以上太平洋沿岸5局をネットしてお送りします。

今日のゲスト:株式会社エイブル 岡井勇さん

大楽
FirstMaker~希望のストーリー~。今日は福島県広野町の株式会社エイブル専務執行役員岡井勇さんにオンラインでインタビューをしていきます。岡井さん、よろしくお願いします。

岡井さん
よろしくお願いします。

田巻
エイブルさんのご紹介を私からさせていただきます。株式会社エイブル。本社は福島県大川町にありますが、東日本大震災により広野町の広野事業所に本社機能を移して営業しています。震災前から福島県の原子力発電所や火力発電所のプラントのメンテナンスや工事をしている、福島県の企業です。福島第一原子力発電所の廃炉作業も担っており、遠隔操作ロボットを活用して排水施設の汚染水の回収や廃棄等の解体を行い、その技術を使って新規ロボットの開発なども行っている会社です。

株式会社エイブル

https://www.able-can.jp/

大楽
さあというわけで岡井さん、岡井さんの会社は震災前から福島で発電所の仕事というのをされてるんですよね。

岡井さん
そうですね。震災前は東京電力さんや同社関連の会社、あと原子量メーカー、建設会社の下請けとして原子力発電所を中心に活動していました。

大楽
そもそものお話なんですけど、発電所とか大きな工場といったプラントの工事、そしてメンテナンスというのはどんなことをされてるんでしょうかね。

田巻
なんかぐねぐね曲がった工場の大きなパイプを交換するとか、道路を掘って水道管を交換するみたいな感じなんですかね。

岡井さん
そうですね、簡単に言えば今お話にあった水道管の交換とかですね、あとは例えばとてつもない大きな車のメンテナンスといった感じですかね。

大楽
とてつもない大きな車ってどのくらいなんですかね。

岡井さん
そうですね、車にもいろんなシステムがあると思うんですけども、原子力発電所っていうのがすごい大きい施設になりますんで、車みたいな本当に細かい性能が必要なものを、それが原子力発電所は大きい形であるっていう、簡単に言うとそんな感じかなと私は思ってます。

大楽
なるほど。そうすると僕のイメージ的には、ロボット的な感じなんですかね。ちょっと大きめのロボット……そこまでではないんですかね。

岡井さん
ロボットまでではないですけどやっぱり色んなシステムとかですね、監視システムであったりとかもあると思いますんで、車も同じだと思いますけども、水温計が上がったらどうだとか、いろんなやつがあると思うんですけども、そういう形かなというふうに思ってます。

大楽
結構あれですね、お伺いすると色々僕たちが分からない規模のお仕事をされてるということなんですけど、やはり発電所って全ての機械が大きくて、重要な配管、そして機会があるから作業するのが大変ですよね。

岡井さん
そうですね、まあ大きくて重量がある機械の点検ですけども、ひとつひとつのパーツは精密機械のような、100分の1ミリ単位の精度が要求される部分もあります。

大楽
100分の1ミリ単位、すごいですね。

岡井さん
そうです。車の場合はタイヤが回れば問題ないよっていう形であるんですけど、原子力発電所の場合はそれをほんとにもう制度を良くしてですね、例えばその制度が悪ければ熱を持ったりとか部品の消耗が早かったりとかっていうのがあるんで、基準っていうのがそこまで制度を要求して管理をしてるっていう部分もあります。

大楽
100分の1ミリっていうことは僕たちが知ってるこの1ミリのまた100分の1ですもんね。

田巻
そういうことですよね。目に見えないですよ。

岡井さん
そうです。はい。

大楽
そうですよね。

田巻
考えられないですね。

大楽
なるほど。エイブルさんはそういったメンテナンスですとか工事を請け負う、福島県の地元企業だったということですよね。

岡井さん
はいそうです。まあ原発に限らず、発電所とか大型の大規模なプラントとかですね、多くの企業が地元の方々が働いているケースが多いですね。

大楽
なるほど。

岡井さん
まあ原子力ではですね、特別なルールが多く大変なんですけども、私たちは電気のライフラインを守っているという働き甲斐のある仕事だなあというふうに思っております。

大楽
なるほど。そういう方々がいて僕たちも電気を使えるわけですからね。ほんとにありがとうございます。その他どんなお仕事があるんでしょうか。

岡井さん
そうですね、弊社の方は最近では再生可能エネルギーの開発にも携わっております。

田巻
そうなんですね。ソーラーパネルとか設置されてるんですか。

岡井さん
そうですね、自社ではですね、ソーラーパークを6か所所有しております。全部合わせて大体6メガワット、2000世帯くらいの年間の電気の量を賄える、そのような規模です。

メガソーラー発電所

https://www.able-can.jp/energy/

大楽
なるほど。じゃあこれからやっぱりそれがどんどん増えていけばということですよね、少しずつというか。

岡井さん
そうですね。

大楽
ぜひ頑張っていただきたいですねそこはね。

田巻
はい。応援してます。

東日本大震災 当時の状況

大楽
そしてやはりあの東日本大震災が10年前に発生いたしまして、その当時の状況、エイブルさん、そして岡井さんの当時の状況をお聞かせいただいてもよろしいですか。

岡井さん
私はですね、ちょうど地震があったときはですね、福島第一原子力発電所の仕事をしていました。で、私の部署はですね、福島第一の三号機のタンクの点検を行っていました。

大楽
地震があった時、どういう対応をされましたか。

岡井さん
地震があった時は、私は1Fの事務所にいたんですけども、メンバーはですね、現場の方でタンクの点検をやっておりますんで、そちらの方がすごく心配でですね、事務所でみんなが上がってくるのを待ってましたけども。

大楽
どうですかそのあとすぐ、避難とか、従業員の方、ご家族の方の状況とかはいかがでしたか。

岡井さん
そうですね、現場からもうみんながあがってきてですね、あがってきたメンバーの安否確認を行って、全員がですね、怪我もなく無事にあがってきたんで、まず安心しました。

田巻
そうなんですね。

岡井さん
それでメンバーもですね、やっぱり自分のことよりも家族のことがやっぱすごく心配で、あの地震っていうのはですね、ほんとに世の中がひっくり返るんじゃないかなくらいの上下もあればというようなすごいような地震だったんで、仕事どころではないくらいの形の、ほんとにみんな家族のことが心配で帰らしてくれっていうことが、メンバーからみんなから、協力会社も含めて話があったので、今日はもうとりあえず仕事は終わりましょうということでお客さんと話をしてですね、みんな家庭の方に戻るような形をしました。

大楽
戻られてそこからまたいわきから避難されたんですか。

岡井さん
働く人たち色々なんですけども、ほんとに近くにいる人もいればいわきの人もいるっていうことで、私の自宅は原子力発電所から5km管内のところに自宅があったんですけども、私は福島第一を大体夕方の6時ぐらいだったと思うんですけども、記憶があんまりあれなんですけども確か渋滞していて夜の9時ぐらいに家に着いたかなあというふうに思います。それでですね、家に着いて家族とですねちょっと会ったらすごいもう不安そうな顔をしてて、何もできてない、家の中ももう色んな食器とかが散乱してて、家の中もあんまり、ずーっと居るのはちょっとあれだなあということで、それであとやはりライフラインが止まっているので、とりあえず何かおなかに何か入れようと、食べようと思って、それであんまり使ってなかったんですけど石油ストーブがあったんで、それをですね、家の中でつけるのはあれだったんで外に、庭に出してですね、そこで乾麺とかを茹でて家族で夕食をしました。余震がちょっと続く中家の中で過ごすのはちょっとあれだなあということで、朝まで車の中で家族で過ごして、早朝にですね、自治体から避難指示が出て、それで最終的には会社から新潟営業所に集まるように指示があったので、その時も車のガソリンというのがほとんどなくてですね、

田巻
そうでした。

岡井さん
燃料入れるのにも大変でですね、ガソリンスタンドに並んでもほんとに5Lとか10Lしかもらえない状況で、それを色々と色んなところに並んでですね、少しずつガソリンを貯めて、でやっと新潟までたどり着きました。

田巻
思い出しちゃいました。ちょっと。

大楽
何か思いだしちゃいましたね。僕の友達が朝5時ぐらいに並んでも、給油所、もう明け方から並んでやっと12時ぐらいにほんと少しだけもらえるとか、何かこう色々切ない思いで10年前をちょっと思い出してしまう。

田巻
思い出してしまって泣きそうになってしまいました。

大楽
とにかくそういうご苦労があったかと思うんですが、当時は従業員の方々の生活と、そして会社の仕事の両立など、大変だったと伺ったんですが。

岡井さん
そうですね。まあ震災直後はほとんどの従業員は家族を避難先においてですね、自分たちは仕事の1本ということで二重生活でした。当初はですね、私たち本当働いてる形じゃないですけど食べるものがほんとなかったんですね。だけどやはり福島第一の現場をわかってるのは自分たちなので、自分たちがやらなくてはという使命感とともに、1Fの方もすごく緊迫した状態だったので、お腹がすくという感覚がなくてですね、仕事しました。でまあ少し経ってからですね、うちのいわき市にあるエイブルの営業所があるんですけども、そこで物資等いただいてですね、炊き出しを行って、現場の方はあの時はもう24時間体制でやってたんで、1Fの復旧工事を行ってました。

田巻
私当時小学5年生で、いわき市内の学校通ってたんですけど、その時はもう明日生きることに必死で、当時自分たちのことで精一杯。スーパーも何も売ってないし、コンビニさえも何も売ってなくて、そんな中でこうやって人々のために、家族をおいてまで作業してもらったっていう、何かほんとにありがたいし、胸が苦しくなっちゃいますね。ありがとうございますほんとに。

岡井さん
いえいえ。

大楽
皆さんの色んな思いを抱えながら頑張ってこう10年間生きてますよね。色んな人に支えられてね。

田巻
はい。

大楽
後半もですね、震災後の対応などまだまだお話、お聞きしていきます。

廃炉作業の今

大楽
さあ今日は株式会社エイブル専務執行役員岡井勇さんにお話を伺っております。震災からもう間もなく10年になりますけど、エイブルさんはその間にも廃炉作業に関わったということですもんね。

岡井さん
そうですね、震災当初から元受けではありませんが、いろいろな主要プロジェクトに参加しておりました。現在は震災直後と比べてですね、作業環境も随分よくなっております。だけどもまだまだ放射線量が高くて近づけないところがたくさんあります。

田巻
そうですよね。

1FOR ALL JAPAN 廃炉のいま、あした 1Fを守る仲間たち

https://1f-all.jp/interview/56/

岡井さん
まあその一つにですね、元受けとして弊社のほうで行った1・2号排気筒上部解体工事があります。こちらの方は、120mの高さを持つ排気塔は、廃炉作業にクレーンワークとかでですね、干渉してくるっていうのがありまして、解体が求められていました。で、通常はですね、この煙突の解体っていうのは、上部で作業ができるように地上から足場を組み立てて、人が上に上がって解体を行うんですけども、そこの場所というのが非常に線量が高く、そういう足場を組んだりっていうことが、そのような解体方法ではちょっとできない状況でした。

大楽
人が近づくことができないってことですもんね。

岡井さん
そうです。人が近づいて作業するにはほんとに人体に影響を及ぼすっていうような数値オーバーだったんで、人がいかないでできることを考えなくてはと。で、そのために弊社の方でですね、もうほんとに斬新な発想のアイディアで、今回排気塔の解体っていう遠隔でですね、解体をするっていう方法を、東京電力の皆さんとですね、一緒に、装置の機能を追加したりっていうことを考えながら開発しました。例えば切断している最中にですね、放射性物質が飛散しないものにしなくてはいけないとかの課題が出てきて、それでうちの方で切断しながらそこの切断部位を要は吸引をしながら、放射性物質を外に出さないようなものをつけたりとかですね。

大楽
全く違うことを同時に行うってことですよね。

岡井さん
そうです。今の装置に追加でそういう機能を持たせるというようなことをしました。

大楽
なるほど。

岡井さん
あとは切断はですね、いろんなものがあるんですけども、例えばガスで切ったりとかプラズマで切ったりとかですね、いろんな切断ツールはあるんですけども、それを色々、要素試験を行って、現状に合ったものに、今回この装置はですね、切断ツールってのは選びました。

大楽
なるほど。ありがとうございます。

田巻
ありがとうございます。

大楽
まだまだお話は尽きませんが、来週はですね、今までの技術をさらに発展させる詳しい内容を岡井さんにお伺いしていきたいと思います。岡井さん来週もよろしくお願いいたします。

岡井さん
はい。よろしくお願い致します。

田巻
よろしくお願いします。

エンディング

大楽
今週は株式会社エイブル専務執行役員岡井勇さんとリモートで繋いで、福島第一原子力発電所の解体作業などのお話をお伺いしました。

もう10年なんだよね。

あっという間ですね。でもこの10年、廃炉作業の現場の声を聞いたことがなかったので、すごい衝撃的でした。みなさんこういった方々の活躍を知ってほしいし、忘れちゃいけないですよね。

そうだね。ほんとに難しい問題なんですけどね。どうやったら安全に作業ができるのかっていうことをですね、いろんな技術を用いて立ち向かっているという話、伺うことができました。

来週も株式会社エイブル専務執行役員岡井勇さんにお話を伺っていきたいと思います。