【福島ロボットテストフィールド】2021年1月2日放送分

大楽
あけましておめでとうございます。FirstMaker~希望のストーリー~。大楽聡詞です。この番組は新しい時代を切り開き日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きし、震災の復興、そして新しい産業のリアルタイムな情報をみんなの皆さんに感じてもらおうという番組です。

そして番組アシスタントは今年もこの方です。

福島県いわき市出身、大学3年生、田巻果奈です。
よろしくお願いします。

大楽
よろしくお願いします。
さあ2021年になりまして、今日から番組の放送エリアが、これまでは福島と茨城に加え、岩手、宮城、そして千葉と、太平洋沿岸地域の皆さんに広くお届けしていきたいと思います。

田巻
日本を元気にしようという方々のお話は大学生の私にも将来のビジョンや夢、勇気をもらえる話が多いので最後まで是非お聞きください。

大楽
さて、自己紹介はまた後でゆっくりするとしまして、本年1回目ということで福島県南相馬市にやってきました。福島県の浜通り地域。太平洋沿岸で北部にある南相馬市は相馬野馬追の開催地の一つです。先ほど原ノ町駅に行ってきたんですが、こちらの駅舎の正面の壁の方ですかね、そちらに相馬野馬追そして侍文化、歴史をイメージさせる城壁風のデザインのもの、二人で行って来ましたよね。

田巻
感じてきましたね。

大楽
そんな南相馬市が今全国から注目される熱いスポットということでやってまいりました。

田巻
今日は、南相馬市にある福島ロボットテストフィールドにやってきました。大楽さん、福島ではロボットが熱いらしいですよ。

大楽
そうなんですよ。施設名にロボットという名前があるだけでね。

田巻
そうなんです。

大楽
なんかもう未来だよね。もちろんこの2021年の幕開けにふさわしい。

田巻
はい。まさに。

大楽
それではそのロボットやドローンの研究開発施設があるということなので、早速お邪魔したいと思います。

今日のゲスト:福島ロボットテストフィールド 中村俊之さん

大楽
福島ロボットテストフィールドの施設運営をされている中村俊之さんにお話をお伺いします。中村さんよろしくお願いします。

よろしくお願いいたします。

大楽
11月に郡山で行われていたロボット航空宇宙フェスタふくしまというのに僕たち見学、見させていただきまして、その時にもやはり福島ロボットテストフィールドの話がいっぱい出たんですよ。

で初めてこの場所に来させていただいて、まずは概要からちょっと教えて頂けると嬉しいんですけど。

中村さん
はい、わかりました。
ここ、福島ロボットテストフィールド、東日本大震災と、その後の原子力災害で失われてしまった浜通り地域との産業基盤を新たに創出する国家プロジェクト福島イノベーションコースト構想というものにおいて、ロボットとドローン分野の産業集積の拠点として作られた施設になっています。

福島ロボットテストフィールド
https://www.fipo.or.jp/robot/

で、ここ南相馬市のエリアですね、東西約1km、南北約500m、トータル約50ヘクタール。大体東京ディズニーランドと同じくらいの大きさになっています。

田巻
ええ、そんなに。

大楽
すごい大きさですね。

中村さん
敷地内ですね、橋だとかトンネルとかといったインフラとか、あとアスファルトに陥没とか亀裂が発生した道路、でその他にも水害でですね、1階部分が冠水してしまった2階建て家屋とかの災害現場、そういったものを再現した施設がございまして、陸・海・空と地球上のあらゆるフィールドで用いられるようなロボットの試験、操縦訓練とかにご利用が可能な施設を用意してると。

大楽
この施設事体って世界に結構類を見ない。

中村さん
はい。陸・海・空、本当にあらゆるフィールドで用いられるようなロボットが、ここだと使えるということで、こういったものは世界でもなかなか類を見ないものになっております。

田巻
すごいですね。

大楽
番組12月の時には、SkyDriveさん、こちらのほうでテストされてると思うんですけど、SkyDriveさんにも出ていただきまして、やはりこの場所じゃないとテストとかが出来にくいってお話をされたんですよね。

中村さん
SkyDrive様は空飛ぶ車開発しております。ここ福島ロボットテストフィールドにはですね、80m×150m、高さ15mの緩衝ネット付き飛行場と呼ばれる、全体がネットで覆われたドローン用の施設がございます。その中ですと、通常航空法だと規制されていて飛べないものが、中、航空法の適応外、屋内扱いになって適応外になりますので、自由に落下試験だとか夜間に飛ぶだとか、そういった通常規制されてなかなか難しい、ちゃんと承認もらってからでないと飛べないとかっていうようなものも自由に実験できるということでこちらに来て実験いただいてるっていうそういう状況になりますね。

大楽
そうすると24時間、例えば夜とかを想定した実験とかそういったことも行われるということですよね。

中村さん
そういったこともできるようになってます。

大楽
研究として具体的なものとかってありますか。

中村さん
やっぱりインフラ点検のものが非常に多いですね。橋とかトンネルーーここロボットテストフィールドにある橋・トンネルは、テストピースと呼ばれるヒビを敢えて埋め込んであった上に、天井をそれぞれ変えてあったりだとか、ライトの色を変えたりとかっていうふうな形で、画像認識ですね、ドローンに搭載したカメラでそういったヒビを認識できるか、そういったような試験なんかを行っていたりします。

大楽
あとあの陸海空でいいますと、海ですね、水中部分で、タカワ精密さんのほうで水中ロボットというのも去年ですね、私どものほうで取材させていただきましてその実験自体も行われてるんですよね。

中村さん
はい。屋内水槽試験場と呼ばれるプールのところで試験を行っています。こちらですねあの壁面部分にやはりテストピースと呼ばれるヒビ、埋め込まれているとか、水流を起こすことができまして、河川だとかダムだとかを模した実験だとか開発というものができるようになっています。

大楽
すごいですね。じゃあもうありとあらゆることが、先ほどおっしゃっていたようにここですべて賄えるというか、実験ができるという。

中村さん
こちらで。はい。本当に陸・海・空のあらゆるフィールドで活躍するロボットのための色んな施設だとか設備というのをご用意して。

田巻
すごいなあ。

大楽
すごいですね。色んな技術とかってこれからも必要だとは思うんですけど、やはり大切なのが、たくさんの投資が結構必要だと思うんですよね。それでベンチャー企業であれば、アイディアや技術があっても実現化するためのハードルとなるのはどうしても研究開発費であると伺ったことがあるんですけど、このあたりはどうなんでしょうか。

中村さん
ちょうど南相馬市さんがですね、今度ベンチャーキャピタルとの連携協定を結びます。で、我々ロボットテストフィールドのほうの入居者さんにもそういったベンチャーキャピタルさんとのマッチングの場とかそういったもの、実際設けまして、繋がりを作れるようにということで、入居者支援の方も我々の方で行っております。

大楽
じゃあそういうのもくっつけながら良い人材が、良いアイディアがあればこちらの方で「育てる」ということなんですかね。

中村さん
そうですね、一般に結構インキュベーション施設なんて呼ばれたりしますけれど、そういったベンチャーさんだとか、そういったちっちゃい企業さんが育っていく上での支援ですね、そういったこともここのロボットテストフィールドでは行っております。

ロボットとは何か

あのー、中村さん。素朴な疑問なんですけど、ロボットって一体何をするんですか。

素朴すぎるね。

何か、イメージとしては、戦うロボットのイメージがあるんですけど。

中村さん
本当に色々な種類がございますね。
工場の生産ラインなんかですと、ロボットアームだとか、人間の代わりにですね、操作を行って他の物を組み立てたりだとかそういったものをするロボットもございますし、ここで、全自動運転なんて呼んでますけれど、人が操縦しなくても自動で移動してくれるような車、人が乗っていただいてもいいですし、これがまあ全自動で、例えば消毒とかですね、後は掃除だとか、草刈りだとか、そういったことをしてくれるロボットもございます。その他にもですね、空飛ぶ部分と言いますと、いわゆるドローンですね。今多いのは上空から撮影ですね、そういった形で、いろんな形でロボットがあります。

大楽
何かロボットっていうとほんとに僕たちアニメの世界であったりする、人型のロボットを想像してしまうんですけど、それ以外でも、かなり細かいところでロボットという名称て使われるものがいっぱいあるんですね。

中村さん
いっぱいございます。
もちろん人型のロボットもございます。こちらですと人機一体さんと呼ばれるところとか、あとメルティンMMIさんと呼ばれるところが実際に人型のロボットを作って、遠隔操作をしたりだとか、人に代わって重い荷物を運んだりだとか、そういったことができるような開発しております。

株式会社人機一体
https://www.jinki.jp/
株式会社メルティンMMI
https://www.meltin.jp/

大楽
それ以外にもそういった全てのロボットの開発拠点になりうるのがこの福島ロボットテストフィールドなんですよね。

中村さん
そういうことでございます。

大楽
今中村さんの話を聞いてて、研究されてる人たちの話も伺いたいなあなんてちょっと思ってるんですけど。

中村さん
それは是非。特にですね、こちらのロボットテストフィールドに入居しているロボコムさんっていうところが、ロボットの工場の生産ラインとかでパッケージングとかというシステムを作ってるんですけど。

大楽
それは僕たち見させていただいても大丈夫ですか。

中村さん
ぜひロボコムさんにお話伺って、聞いてみたいと思います。

大楽
わかりました。それではそちらの方に今から伺いたいと思いますので、ここまでお話を伺ったのは福島ロボットテストフィールド中村俊之さんでした。中村さんありがとうございました。

中村さん
ありがとうございました。

田巻
ありがとうございました。

今日のゲスト:ロボコムアンドエフエイコム 山口仁さん

大楽
福島ロボットテストフィールド中村さんにご紹介いただいて、ここで研究されているロボコム・アンド・エフエイコム株式会社山口仁さんにお話をお伺いしたいと思います。
山口さんよろしくお願いします。

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社
https://robotandfa.com/

よろしくお願い致します。

田巻
よろしくお願いします。

大楽
ますロボコム・アンド・エフエイコム、この名前っていうのは、ロボコムさんでお呼びしても大丈夫なんでしょうか。

山口さん
はい、ロボコムで大丈夫です。お願いいたします。

大楽
ありがとうございます。じゃあ具体的に、ロボコムさんて何を開発している会社なんでしょうか。

山口さん
はい。私ども、4つの事業の柱がありまして、1つ目がロボットシステムのお客様に使って頂く共通項を見つけてパッケージ販売

大楽
共通項を見つけてパッケージ販売。

山口さん
はい。ロボットシステムのパッケージ、要はお客様にプラモデル感覚でロボットを買ってもらうと。ロボットシステムのパッケージ販売。こちらが1つ目。
2つ目が、お客様からオーダーがあれば、なんですが、ロケットエンジンのような大型で精密な加工

大楽
それはじゃあプラモデルを作った状態ということですよね。

山口さん
はい。より複雑で大きなものもできますよという加工ですね。

大楽
なるほど。それが2つ目なんですね。

山口さん
はい。で、3つ目が、なかなかそちらを作る際に現物どんというわけにはいきませんので、3D プリンターで試作モデルのほうを作りますと。

大楽
なるほど見本をということですね。

山口さん
そうです。で4つ目が、日本国内・海外のエンジニアの教育。こちらの4つを事業の柱とさせて頂いてます。

大楽
全部なんかちょっと違うような気も。

山口さん
はい。何か別会社4つがくっついたみたいな。

田巻
確かに。

大楽
最初パッケージというものがあったんですけど、これは、要は工場の中を作るということなんですかね。

山口さん
工場の中も作りますが、今、ロボットシステムというのは、お客様Aさん、Bさん、Cさん、それぞれ皆さんに一品一葉――AさんにはAさん用、BさんにはBさん用、CさんにはCさん用ということで、わざわざゼロベースで作り上げてしまっているんですね。そうしますと、お客様が変わると1から作らなければいけないと。期間も金額もものすごくかかってしまうので、共通項を見つけて皆様にお買い求めしやすい値段で提供していくと。そうすることによってロボットステムの普及ですね。これを何とか成し得ていきたいと。

大楽
カスタマイズされるということなんですか。

山口さん
はい。これがどうお客様のターゲットを決めていくかというところが最大のポイントでして、例えばそれを業界ごとで決めていくのか、工程で決めていくのか。例えば自動車業界に共通して使えるものですよとか。食品業界で共通で使えるものですよとか。あとはネジを締めるという行程に共通してますよとか。モノを持つという工程とか。そこをいかにターゲットを決めていくかというところが最大の勝負だと思っています。

大楽
でもカスタマイズと言うとその物事体というか機械自体を設計するのが結構大変だったりするんじゃないですか。

山口さん
おっしゃる通りです。そこでゼロからその設計をしてしまうと大変なので、今いろんなそのロボットのアームのところ、腕のところですね、のところを販売している商社さん・メーカーさんがいらっしゃるんですけれども、その中から共通項を見つけると。その人間の関節に当たる部分、そのコンピューターのロボットシステムのジョイントですね、その軸がいくつあるか、とか。高速に作業を出来るとか。重たいものが持てるとか。いうところでこの業界にはこのロボット、この動きにはこのロボット、ということで決めていくんですね。

大楽
山口さん、じゃあそのロボットをどういう場所で作っていくんですか。

山口さん
はい。こちらはですね、生産現場、皆様のところにある工場ですね、こちらの方で作っていくんですけれども、私どものその工場というのは2021年の5月稼働開始ということでまさに今建設中なんですけれども、

大楽
間もなくですね。

山口さん
今日取材を頂いている場所のすぐ横、福島県の南相馬市に今そちらの活動拠点の方を作っております。

大楽
4か月ですねあと。

山口さん
はい。急ピッチで今作っているところです。

大楽
なぜ南相馬新工場を建設というふうになったんでしょうか。

山口さん
はい。元々私ども、工場というのを日本のどこかで持ちたいなという思いは長らく思っていたんですけれども、いろいろ工場の場所を探している時にですね、福島県のほうから南相馬市さんのご紹介をいただきまして、まだ南相馬市がどういう街か、というのもわからない段階で南相馬市役所のほうにお邪魔させて頂いたんですね。その時にその担当課長の方はじめ皆様、企業誘致課の方々に、いろいろご説明をいただきまして、そこでそのロボットに対するロマンですとか、復興に対する思いというのを聞きまして、で生産現場を作りたいというところから是非この方々と一緒にお仕事をしたい、ということに私たちの思いが変わったんですね。

大楽
それで今工場を作られてるということなんですよね

山口さん
はい。私たちも頑張っているんですけれども、南相馬市の方々にもものすごく協力をいただいております。

大楽
なるほど。先ほど僕ちょっと気になったのが、ロボコムさんの事業って全部で4つあるっておっしゃってまして、その4つ目が人材育成というお話がありまして、なんか海外からも集めてるとお伺いしたいんですけど。

山口さん
はい。私どもがですね、就職するタイミング、もう20何年前になりますけれども、その当時っていうのは製造業ってみんながなりたいランキングナンバーワンだったんですね。製造業に就職することがもう人生の半分のゴール、目的みたいなところがあったんですが、今は日本の製造業ってとてもその皆さんが目標とするような業界ではなくなってしまったと。ただ、海外で日本の生産技術、ロボティクスに対する尊敬の念というのは非常に高いんですね。でまだまだその生産現場、工場というのは海外では未成熟なところがありますので、私たちは日本の技術が詰まった日本産の工場を日本の外貨獲得手段としてアジアに広く発信していきたいと。例えばミャンマーの方がミャンマーに帰られて、そのタイミングで南相馬の方も一緒にミャンマーに行かれて日本の技術をともにアジア・ ASEAN から発信していく、とかなると面白いですよね。

田巻
素敵。

大楽
そうするとあれですもんね、商品自体もメイドイン南相馬になるわけですよね。

山口さん
そうです。メイドイン南相馬です。

大楽
福島ロボットテストフィールドに入居しているロボコムアンドエフエイコム株式会社山口仁さんにお話を伺いしました。山口さんありがとうございました。

山口さん
ありがとうございました。

田巻
ありがとうございました。

エンディング

今週は福島ロボットテストフィールドにお邪魔してきました。

田巻さんいかがだったでしょうか。

研究施設ってなかなか見る機会もないですし、どんな研究開発してるのか興味があったんですけど、皆さん夢をもって取り組んでいるんだなって思いました。

福島ロボットテストフィールド、南相馬市に、インフラであったりとか、あとは災害の対策、あとは不測の事態に対応する、何か起きた時の対応のための施設があるのなんて僕たちでも知らなかったし。

そうですね。わざわざヒビつけてるんですもんね。トンネルだったりとか。

そうなんですよね。その時の為にね。

そうなんですよね。

あとは僕たちが取材した時にもちょうどこの施設を利用して防災訓練が行われてたんですよね。
福島県出身の僕達も知らなかったので、こういうことをこのラジオを通じて皆さんにどんどん発信していきたいと思います。

来週は南相馬市産業創造センター、そちらに取材に行きたいと思います。