大楽
おはようございます。FirstMaker希望のストーリー。大楽聡詞です。この番組はふくしま FM と茨城放送の2局をネットしてお送りしていきます。新しい時代を切り開き日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きし震災の復興、そして新しい産業のリアルタイムな情報をリスナーの皆さんに感じてもらおうという番組です。

田巻果奈です。今週もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。冒頭からちょっといつもとは違う雰囲気なんですよね。

そうなんですよね

実は今週番組初のロケです。11月27日28日開催のロボット航空宇宙フェスタふくしま2020の会場からお届けします。
田巻さんどうですか、この感じ。
ロボット航空宇宙フェスタふくしま2020
https://www.robotfesta-fukushima.jp/

圧倒されてます。すごいですよね。
郡山市のビッグパレットふくしま。このとっても広い会場にロボット航空宇宙の最新技術が詰まっているなんてすごいワクワクしてきます。
もちろんしっかり新型コロナウイルス対策万全でロケに挑んでいます。

僕はロボットは昔から好きで、ドローンとかも自分で作ってるんですけど――ちっちゃいのですよ、マイクロドローンっていうのを自分で作ったりしてるんですけど、人間の体くらいのドローンを見ると超興奮します。すげえ!って思って。

本当にいろんな種類ありますよね。

農業用であったりとか撮影用、それだけじゃないですからね。

本当に。数えきれない。
今日のゲスト:株式会社タカワ精密 渡邉光貴さん
大楽
ロボット航空宇宙フェスタふくしま2020の会場からお送りしていきたいと思います。こちらはロボットと航空宇宙に関連する製品、技術が集結したイベントで、今年はロボット関連が77の会社団体、そして128のブースが出展。業界の最新技術を一堂に会した熱い会場でもあります。
そこで今週と来週はこのロボット航空宇宙フェスタふくしま2020、こちらのロボット関連に出展された、株式会社タカワ精密に注目します。取締役渡邉光貴さんです。よろしくお願いします。

よろしくお願いします。
大楽
それでは株式会社タカワ精密さん、簡単にご紹介していきましょう。本社は福島県南相馬市。1979年の創業以来、常に高品質のものづくりで発展されている会社です。FA 設備を始め精密機器の設計、製作、製造販売を行っています。ロボット産業への取り組みもされていて災害時に活用する水中探査用ロボットの開発など、地球にやさしいモノづくりで注目されています。今年創立40周年を迎えました。
株式会社タカワ精密
http://www.takawaseimitu.co.jp/
というわけでまずは創立40周年おめでとうございます。
田巻
おめでとうございます。
渡邉さん
ありがとうございます。
大楽
渡邉さんは他で社会経験を積まれてるということだったんですけど、その前に私の方でちょっと先ほどご説明させていただきましたが 、”FA 設備”、具体的にはどういった内容なんでしょうか。
渡邉さん
はい、ちょっとこれは略なんですけども、略さないで言うと”ファクトリーオートメーション”っていうことなんですけど、要は工場にある機械、――もっと分かりやすく言うと皆さんが持ってるスマホ。スマホに入っている部品を作っている機械を作ってます。
大楽・田巻
部品を作っている機械。なるほど。
渡邉さん
なので直接スマホを作ってるとかってことではないんですけど、それを構成する部品を作る機械。
大楽
じゃあかなり細かいというか、結構難しいものですよね。
渡邉さん
そうですね、かっこよく言うと、もうその部品っていうのはスマホが変われば変わっていくので、世界に一台しかないような設備になります。
大楽
ちなみに渡邉さんは他で社会経験を積まれてからこのタカワ精密さんの方に入ったということなんですけど、もともとは何をされてたんですか。入社前とか。
渡邉さん
はい。私は元々コンピューターとかすごく興味があって、大学もそういった関係のところに行ってですね、実際その東京のソフトウェア会社、まあITの企業ですかね、でソフトウェア作ってました。
大楽
そしてその後地元の方に戻られてという形なんでしょうかね。
渡邉さん
そうですね、ちょうど震災の前の年ですかね。2010年代に戻ってきました。
大楽
それはどういったきっかけが。何かあったんですか。
渡邉さん
そうですね、まあ基本的にはソフトウェアをやっていた時に6年くらいやると、何となくこれくらいのことができたなとか、満足感と言うかある程度見えてきて、ソフトウェアをやってると今度、ハードウェアがすごい気になるんですよ。
大楽
そうなんですか。
渡邉さん
やっぱりソフトウェアは目に見えないものなんですけど、それを動かすものっていうか、動くもの、というのもすごく興味もありまして、ハードウェアも行ってみたいなという風に思ってました。
大楽
なかなか実家の仕事って継ぎたくない人もいるじゃないですか。そういうものに関して抵抗とかはなかったんですか。
渡邉さん
はい。すごくありましたと言うか、もともと私は継ぐつもりはなかったです。ソフトウェアがすごくやりたくて、極めたいなと思ってたんですけど、やはりいろいろ見てくと景色もやっぱりかわってきてやっぱりハードウェアもすごく大事だなと思って。
大楽
それで地元の方に戻られたということですね。
2010年ということは翌年東日本大震災がありまして、それも地元の方で被災されたということですかね。
渡邉さん
そうです。本当にちょっと仕事現場で仕事をしている時に震災が発生したということですね。
大楽
その時って会社ってこの後どうなるのかなとか不安になったりとかすると思うんですけど。
渡邉さん
はい、やはり今までに経験したことのない災害だったので、はっきり言ってもう多分仕事はできないので、次何しようかな、もしかしてソフトウェアにもう1回戻るのかななんていうところまでは考えてた記憶はあります。
大楽
でもそこで踏ん張ってというわけじゃないですけど、南相馬で御自身の会社で頑張ろうってなったわけですよね。復興に対してその将来への地図と言うか、どういう風に思い描いたんですか。
渡邉さん
当時は今受けている仕事を少しずつこなして、とりあえず区切りのいいところまでやろうというのが、実は積み重なって今に来てるんですけども、やっぱりその復興のビジョンっていうのは震災とかも経験して、やはり私の中でも地元に少しでも貢献したいなとか、やっぱりもっと、今人口がすごく減っているので、みんなに戻ってきてもらいたい、そのためにはもっと自分たちが企業単位で頑張っていい街にしていく必要があるのかなあ、なんていうところまで考えるようにはなりました。
大楽
なるほど。そういった中で今回のこのロボット。どのタイミングと言うか、どういうところから。
渡邉さん
はい。実際の開発はですね、まあ今その水中ロボットで実は三代目ぐらいになるんですけども、別のプロジェクトとかもやってまして、一番初めにあった水中ロボットっていうのが2012年に始めているので、もう8年。
大楽
その時というのは震災後すぐに取り掛かったんですか。
渡邉さん
そうですね。震災後にイノベーションコースト構想っていう国のプロジェクトが立ち上がりまして、まあ南相馬市という地元でロボット、イノベーションコースト構想の中でもロボットに力を入れていこうという流れになりまして、その時に地元の企業でできるところはないかみたいなので、県の補助金だったりそういったものを使ってまず初めに取り組もうということでそこで始まりました。
福島イノベーションコースト構想
https://www.fipo.or.jp/
具体的には二つぐらいのプロジェクトを平行して、同じ水中ロボットなんですけどやってまして、僕はそれの片方は猪苗代湖の泥を取ってきて放射線量測る、みたいなのが福島大学さんと一緒に行ったんですけど、それは一つプロジェクトは完了して。
環境放射能調査用水中ロボットの開発とイノベーション・コースト構想
https://www.fukushima-u.ac.jp/news/Files/2019/05/takahasi.pdf
その別の、今ちょうどやっている対放射線性、放射線に強い水中ロボットっていう。水中ロボットをまだ開発しているという状態ですね。
大楽
なるほど。やはりロボットが好きだったというお話をお伺いしまして、東京に行かれてソフトウェアの会社をされてたと。そういうのがやっぱり役立ってますかね。
渡邉さん
そうですね。これはいろんな方が最近言われてるんですけど、ロボットっていうのはソフトウェアでもなくハードウェアでもない、デュアルウェアって言われてるんですけど、やはりどっちかの知識だけだとうまくできないんですよね。
大楽
そういう意味では渡邉さんは適任だったんですね。両方を。
田巻
どっちもやられてるから。
渡邉さん
奇跡的に。奇跡がおきたんですね。
大楽
ロボットが復興の大きなビジネスチャンスになるという話もありますので、それは一曲挟んでこの後詳しく伺っていきたいと思います。
大楽
今週は株式会社タカワ精密取締役の渡邉光貴さんをお迎えしています。ロボットが復興の大きなビジネスチャンスになるという話だったんですけど、実はこのロボット航空宇宙フェスタふくしま2020でも実物が展示されているということで、先ほど見てきました。
大楽
ただいまロボットフェスタふくしま2020福島工業高等専門学校のブースの前に来ています。目の前にあるのは水中ロボットシステムということなので。

福島工業高等専門学校
http://www.fukushima-nct.ac.jp/
渡邉さん
そうですね。言い方は水中ロボットとか水中ドローンっていうような言い方するんですけど、水の中で動くロボットですね。
大楽
これはどのような形で動くんですか。一瞬(見ると)ポットみたいな感じの形と言うか。

渡邉さん
そうですね、基本的にはスラスター呼ばれるプロペラが、これが6個ついてるので、基本的にはもうどの方向、全方向に動けるような配置にしてあります。
大楽
これは具体的にどんな。
渡邉さん
廃炉、福島第一原子力発電所の廃炉に向けてこの水中ロボットを使っていろんな調査だったり、サンプルを回収してきてその廃炉に繋げましょうというために作った水中ロボットになります。
よくテレビ、ニュースで流れてます処理水っていう、そういった今そのたくさんのタンクが今並んでるって言うようなニュースがあると思うんですけど、そういった部分の調査をメインでやるようなことも考えてます。
大楽
人は入れないですからね。
田巻
意外とプロペラ小さいんですね。想像以上に。
渡邉さん
そうかもしれないですね。
田巻
何かもっと水の中だから大きいのかなと思ってましたけど。
大楽
大体なんていうんですかね、大人の手でグーを握ったような、握り拳と同じぐらいのプロペラが全部で6個、真ん中あたりとあと下の方についてますけどね。
田巻
自由に動くんですもんね。
大楽
これもう実用化されてはいるんですか。
渡邉さん
まだ最終的にテスト段階ですけども、今年度中には完成させる予定です。
大楽
じゃあ来年の3月には。僕今持たしてもらってるんですけど、結構重いですよね。
渡邉さん
はい、そうですね。だいたい重さは10キロぐらいあるんですけども、実はこの水中ロボットは重さとか浮力とかすごく難しくてですね、水中ロボットを水に入れたときに一番いいと言われてるのは『浮きもせず沈みもせず』っていう、一番真ん中のところが重要なんです。なのでこの下の方に見える無駄なように見えるこの重りみたいなのは実はそのバランスをとるためにつけてる。
大楽
ジムで行くとあるような重りですよね。
渡邉さん
我々南相馬市で言うと、”馬の馬蹄”のイメージなんですけども。
大楽
あの足につけるやつですよね。確かに。
大楽
水中ロボットの開発を進めていくなかで活用法も様々広がったということなんですけど、日本って最近どうしても災害が多いイメージがありまして、その災害でもカスタマイズって可能なんですかね。機械自体の。
渡邉さん
そうですね、このロボットはすごく小さい、小型なので人が入れないような場所ですとか、人が入ると危険な場所なんかにも投入することはできるかなという風に思ってます。
大楽
そうなんですね、なるほど。あと先ほどちょっと見る中で田巻さんからも質問もあるという。
田巻
あ、そうです。さっき見てきて思ったのが、これって量産しないんですか。
渡邉さん
この水中ロボットはですね、対放射線性ってことで特定の環境下で使うことを想定してるので大量生産は考えてないです。
田巻
結構災害時とかにあったらいろんな人が使うのかなって思って。対放射線性ですもんね。
大楽
そこだけに特化したってことですよね。
渡邉さん
そうですね。特徴は小型とか、制御的にオペレーターが楽なような制御にしてありますよとかっていう中の一つに、対放性っていう特徴があります。
大楽
田巻さんが質問したように、これって量産しない、多く作らないってお話だったじゃないですか。
ということはこれからその場所場所によってカスタマイズを出来る、次なんか想定される場所とかってあるんですか。
渡邉さん
そうですね、この水中ロボット特徴の一つに対放射線性ってことがあるって先ほど言ったんですけども、やっぱり放射線って廃炉の現場はもちろんですけど、他に放射線が強い場所ってどこかあるか分かりますか。
大楽・田巻
どこですか?
渡邉さん
宇宙なんですよ。ちょっと放射線の質っていうのはちょっと違うんですけども、宇宙も放射線がすごく高い場所で対放射線性の技術ってのは宇宙でもやられてる技術なので、この廃炉で作っているかもしれない水中ロボットは、ゆくゆくはもしかしたら宇宙で動く、宇宙ロボットに変わるかも。
田巻
震災を機に始めたのが宇宙にまでつながって行っちゃうって……
大楽
まだまだお話尽きないので、渡邉さんには来週もご出演いただきたいと思います。
渡邉さん、来週もよろしくお願いします。
渡邉さん
こちらこそよろしくお願いします。
エンディング
大楽
今週は株式会社タカワ精密取締役渡邉光貴さんにお話をお伺いしました。
対放射線の水中ロボットということですごかったですよね。

すごかったですね、あそこまで出来るまでに地道な作業じゃないですか。

あの形になるまでね。

プロペラの数だったり向きだったり。それまでに形になるまでの研究の回数とか計り知れないんだろうなーって思ったら、なんか感動しちゃいました。

なるほど僕はそうかこのぐらい重いものなのかと、だいたい10kgぐらいあったんですけど、持った時の重量感ね。だいたい円柱で40cmで10kgある。それが水の中ではちょうどいいバランスだっていうのはね。陸上とは違いますね。

沈むイメージでしたけどね。それが浮くんですもんね、ちょうど良い高さに。びっくりしましたね。

来週はどんなお話が飛び出すんでしょうかね。

楽しみですね。
そして番組アシスタントはこの方です。