【ムラコシ精工】 2020年11月7日放送分

おはようございます。firstmaker希望のストーリー。大楽聡詞です。この番組はふくしま FM と茨城放送の2局をネットしてお送りしていきます。

新しい時代を切り開き、日本に新たな産業を起こそうとしている企業や研究者にスポットを当て、彼らが目指す未来をお聞きし、震災の復興そして新しい産業のリアルタイムな情報をリスナーの皆さんに感じてもらおうという番組です。 東日本大震災から間もなく10年になりますね。もう10年、まだ10年。感じ方はリスナーの皆さんそれぞれだと思いますが、誰もがみんな仕事に生活に頑張ってきたと思います。

復興に取り組んでこられた方、新しい生活を送っている方も多いと思いますが、同時に震災をきっかけに新しい産業の立ち上げや前を向いて新しい事業を取り組んでいる人も数多くいます。実は私たちが知らない会社や研究もあるんですよね。そんな人をクローズアップしていくのがこの番組、firstmakerです。最先端を作り出す人という意味も込めた番組名なのですが、このfirstmakerがきっかけで、リスナーの皆さんが紹介していく企業と直接コンタクトを取って新しいものを作り出していって欲しい、そんな希望を思い描きながら番組をお届けしていきたいと思います。

大楽聡詞

と言っても私一人で紹介するのではなくアシスタント MC と一緒にお伝えしたいと思います。いわき市出身の大学生、田巻果奈さんです。よろしくお願いします。

田巻果奈

よろしくお願いします。番組をお聴きの皆さんはじめまして、福島県いわき市出身田巻果奈です。よろしくお願いします。

大楽
田巻さんは福島県いわき市出身とのことですが、震災のときは何歳だったんですか?

田巻
小学五年生でした。

大楽
で、今大学生ということで。どんな勉強をしているんですか。

田巻
大学では、東京の大学なんですけど、国際ビジネスを学んでいます。英語は絶対なんですけど、あと貿易だったり、発展途上国のことをやったりとか。

大楽
将来は?。

田巻
英語を使って自分で誰かのために人を助けられるような新しいビジネスをしていきたいなーって思ってます。

大楽
すばらしいですね。じゃあこの番組を通して。

田巻
そうですね、成長していきたいです。

大楽
当時小学生だった田巻さんのように今大学生や社会人になって地域のため、日本の将来のために勉強してる人も多いと思います。
そのような方にも先輩たちがどのように逆境を乗り越えてきたのか、またこれから新しいビジネスや産業立ち上げようと志を持っているのかこの番組のインタビューを通じて感じていただければと思います。

田巻
そうですね、私自身も初めてのことだらけでとても緊張してるんですけども、ゲストの皆さんのお話を聞いて勉強していきますのでよろしくお願いします。

今日のゲスト:株式会社ムラコシ精工 村越雄介さん

大楽
今日のゲストをお呼びしましょう。
番組第一回目のゲストは株式会社ムラコシ精工 代表取締役社長 村越雄介さんにお越しいただきました。村越さんよろしくお願いします。

村越雄介さん

今日はよろしくお願いします。

大楽
株式会社ムラコシ精工のご紹介しましょう。
東京都小金井市に本社を置き、福島県いわき市などに工場を展開。自動車用の部品の製造を行うと同時に住宅用製品の開発・販売も行なっている会社です。
創業100年を超える老舗企業の4代目社長が今日のゲスト・村越雄介さんです。村越さんの会社も東日本大震災で被災しましたがそこから復活。さらに飛躍を遂げるため現在様々な活動されているそうです。

村越さん、まずはムラコシ精工の事業内容というのを教えていただけますか。

村越さん
大きく分けて仕事三つありまして、一番大きなものは車業界の部品を作ってるところと住宅用の部品を作っている。それともう一つはですね工作機械を作ってる。ロボットのような、いろんな工場の中で、省力化って言うんですけど、人の手を使わないで自動的に品物が工作できるとか、加工できるとか、品物流すとかそういったものもやっている。元々は我々の工場の中の一部門が独立した会社。そういうものの三つの事業でやってます。

大楽
その三つが柱なんですね。
その中で福島県いわき市でやられているのが自動車。

村越さん
自動車がメインなんですけども、もう一つは住宅用の方の事業のアルミサッシ、ですね。今、室内用のアルミサッシっていっぱいあるんですけども、それを作ってる工場があります。全部で4か所、工場ですね、あります。

大楽
そして東日本大震災で福島県の工場もかなり大変だったとお伺いしたんですけど、当然自社だけではなく、関連する会社も被災されたりとかご苦労があったとお伺いしたんですけど。

村越さん
私自身もね、その当日からもうずっと被災者でいたんですけれども、我々ちょっと高台に工場はあるんで水の被害はなかったですね。

大楽
そうなんですか。

村越さん
ただ、火事だしちゃいまして。火災を出してしまいまして、工場一つ燃えてしまいまして。それ何が燃えたかって言うと、我々鉄の加工してますから、焼入れっていう作業があるんですよね。
鉄をこう、熱して、ある程度の硬さにしなきゃいけないってそういう機械があるんですけど、
それが揺すられて火が出てしまったと。
当然その時は、もう各地で津波だの火災だのいろんな状況なんで消防署がきてくれなくてですね、
もう初期消火はしたんだけど全く間に合わなくて。で防火用水も全く足りない状態ですから。
もう燃えるに任して終わっちゃったっていうことなんですけど。
それが一番大きかったですね。
あと建物の被害ですね、ガラス割れたり屋根落ちたりですね。
ちょうど今日お持ちした、その時僕が撮った写真もあるのでちょっとみていただいて。

大楽
こちらの写真もホームページにアップさせていただきます。

村越さん
はいあの私自身が撮ったんでご覧ください。

大楽
そんな中で、会社というのは運営しなければいけないじゃないですか。
震災から色々学んだこともあるかと思うんですけど、同時にリスクヘッジしなくてはいけないということも思ったと。

村越さん
まず震災の瞬間ですね。
実は私その時は専務でして。代表取締役の専務でして、社長は私の父が社長だったんですけれども、社長はですね、東京に戻った瞬間なんですね。前の日がちょうど会議、全体会議があって。で父だけ先に帰って。

大楽
10日の日に会議があってということですね。

村越さん
はい。11日は東京にいたと。でまあしばらく連絡なんかできなかったんですけども、次の日か次の日ぐらいかですか、やっと携帯が繋がるようになって。一瞬ですね。それで連絡を受けた時にですね、とにかくそのお客さんに迷惑かけるなと。
どうしても車の部品が、供給責任っていう言葉がありますけど、ラインを止めちゃいけないっていう我々は非常にそういう気持ちで日頃仕事してるもんですから、特に重要な部品なんで、我々が品物作れなくなると車全体が止まってしまう。
またさらに我々の工場で作っている品物はですね、日本で作る車だけじゃなくて世界中に作られる車で使われる部品が多いですから、非常にキーになってるんですね。

大楽
ちょうどブレーキ部分ですね。

村越さん
そうですね重要保安部品という、そう言われてる部品なんですけども。そういう非常にキーになる部分なんで、絶対ラインは止めるなって社長から指示がありまして、もうその次の日から、実は機械の復旧作業に入っていったんですね。

田巻
早い。

大楽
すごいですね。

村越さん
それが後々のリスクヘッジという考えにはなっていくんですけども。まずはその復旧作業。で、ラインを止めるなっていう。その思いだけでやってました。

大楽
そしてそういう中でも新しいことに対しても取り組んでいきましたよね。

村越さん
新しいことっていうのも、必要にかられての部分もあるし、私自身の考えっていうので始めたこともあるんですけども。例えば、改正してたら、メッキ屋さんなんかですね、内製化してラインを止めないっていう、自分たちでもこう、持ってなかった工程を作ってみようだとか。
もう一つは太陽光発電事業ですね。こちらの方が規模大きいんですけども、元々我々っていうのは非常に電気がなければ仕事はできない業界ですよね。

大楽
鉄を加工するって。

村越さん
そこのところに震災がきて、その上に原発事故が起きてしまって。非常に電気について考えさせられた。
僕自身としては、地震が起きて原発事故が起きたから単に原発反対とは言いたくなかったんですね。なぜかって言うと、ちょうど40歳の時に僕はあの震災になったんですけども、40歳まで育ててもらったの電気のお陰だし、自分たちで使う電気の何割かくらいは自分たちで作ってからまあ将来のこと考えようって始めたのが太陽光発電で。

大楽
なるほど。

田巻
そうだったんですね。

村越さん
実はですね、その前からも各工場の上には太陽光パネルはつけてたんですね。

大楽
そうなんですか。

村越さん
小規模なものは。ただ単に工場の環境対策と言うか環境活動という概念でやってたんで、それぞれの工場にあるだけだったんですけど、震災を機に、始めたメガソーラーなんですけど、ちょうど1メガぴったりの発電量のあるのを北海道安平町ってどこに作りまして。もともと我々の持ってる遊休地だったんですかね、工場用地だったんですけども、グリーンパワー事業って始めたんです、名前をね。


大楽
今週は株式会社ムラコシ精工 代表取締役社長 村越雄介さんをお迎えしています。
さてあの震災をきっかけに新しい事業を福島で展開していくということだったんですけど、これは具体的な活動が先ほどおっしゃっていただいたグリーンパワー事業だったんでしょうか。

村越さん
グリーンパワー事業というのはですね、太陽光発電の、我々がやっている取り組みのブランディングのためにつけた名前なんですけれども。始めてみたらですね、非常に効率よく発電してくれて非常に助かっているんですけども、その収益がありますよね。当然、売電専門でやってますから。

大楽
そうですよね。

村越さん
電力を売って、それを原価低減も力にしようということでやるのが考えにあったんですね。実際に我々海外に工場いくつか持ってましたけども、今はもうほとんどもう日本でものを作って世界に売ってくっていうのを、これはもう社是と言うかポリシーにしてますんで。

大楽
すばらしい。

村越さん
やはり僕自身も日本人が食べていくために日本で仕事するんだっていう心構えがありますから、そういった意味でそういう売電っていうのは非常に大事なところで、それが電力の使用削減と共に、会社のために、何か社員のために使えればいいなと思っているのがその事業です。
で、その理念を名前にしようと思って、ブランドにしようと思って名前をつけたのがグリーンパワー事業という。形にして。

ムラコシ精工:環境への取り組み
https://www.murakoshiseikou.com/torikumi/environment/

大楽
今回の名前ですね。

田巻
なるほど。

村越さん
全部今までの発電のシステムを合わせて一つのブランドにしたんですね。

大楽
ムラコシ精工さんで活用してる製品の紹介ですとか、そういったものをご紹介いただければと思うんですが。

村越さん
先にお話ししたように、元々は鉄を加工するというOEMの会社ですね。お客さんの品物を代わりに製造するというのがまあ元々なんですけれども。

大楽
それは発注があって、ということですよね。

村越さん
車の部品が非常に多い。いくつかお待ちしてますけれども、日本で作る車の6割7割は使われてるとかっていう部品もありますし。

大楽
すごいですね!?

村越さん
ほぼ100%うちで作ってるというのも。

田巻
えー!すごい。

村越さん
そういうのもありますね。

大楽
この部品事体というのももう一貫生産なんですよね。

村越さん
そうですね、材料の発注から加工が色々あって。熱処理というのもありますし、メッキまで今、震災後はそのリスクヘッジの一つなんですけれど、もう一枚で始めようということで始めたりとかですね。で最後の検査までして出荷まで全部自社でできるようになってます。

ムラコシ精工:生産設備
https://www.murakoshiseikou.com/fc/facility/

それと同時に、自社生産だけじゃなくて、売り上げの半分は外注生産なんですね。

大楽
外注なんですか。

村越さん
ええ。協力会社、何十社もありまして。我々の協力会社として日々ほんとに親しくお付き合いしているのもですね、60社くらいあるんですけども、全部入れると100社くらいあると思いますね。

田巻
すごいなあ……。

村越さん
そういったものを協力し合いながらものを作るっていってやってるっていう。二通りの作り方があります。

大楽
今こちらスタジオの中のテーブルの上にはですね、いろいろなものをご用意いただいたんですが。

村越さん
住宅の方もより付加価値なものにしようってことで、今作られているのがこの耐震ラッチっていうね。

ムラコシ精工:耐震金具シリーズ
https://www.murakoshiseikou.com/lc/product2/

地震がきたときに、家具の固定を皆さんしますよね。ですけど、実際家具は倒れないんだけど中身が出てきちゃうっていうのが多いようですよ。扉が開いて。

大楽
商品だけが倒れてこちら側に来てしまうということですよね。

村越さん
それが非常に危なくて、ガラスが割れちゃったりして逃げられなくて怪我しちゃうっていうのがあるわけです、実際にそういう事例が。それを防止するために地震がきたときに扉をロックしてくれる。

大楽
地震で反応するんですか?

田巻
へえーすごい!

村越さん
揺れてるときに、ロックがかかって扉が開かないようになる。

大楽
通常は普通に僕たちが扉を開けて、それが地震が来たっていったらロックがかかる。

村越さん
ロックがされる。でまあ他社部品なんかではまあロックした後に解除する作業なんかも必要なんですけども、我々の場合はこう地震がきてるときだけロックするという品物です。

大楽田巻
へえー!

田巻
すごい最新。

大楽
耐震ラッチという。

村越さん
はい、耐震ラッチという商品で売ってます。
我々の会社は、3+(サンプラス)という、理念と言うか、スローガンを掲げてまして、これは先代の社長が考えたものなんですけども、特に住宅の方の事業部はですね、サンプラスという。これはどういう意味かっていうとですね、”セーフティ、スムース、サイレント。“静かで安全でスムーズに動くものを、商品を提供するとお客さんのサティスファクション――満足は得られるよっていう。3にプラスがつくという。

大楽
へえー、なるほど。

村越さん
そういったこう開発の理念、をもとに色々作ってます。

大楽
だから生活がすごく楽になるというか、僕たちが使っていてスムーズになってるということですよね。

田巻
そのとおりになってますよね。

大楽
なってますね。商品にすごくその理念が反映されてますね。

村越さん
ありがとうございます。

大楽
村越さんには来週もご出演いただきたいと思います。ムラコシ精工の今後そして村越さんの熱意、未来への希望などをですね、来週お伺いしていきたいと思います。

村越さん
よろしくお願いします。

エンディング

今週は株式会社ムラコシ精工の代表取締役社長村越雄介さんをお迎えしました。

名前を知らないけど僕たちの生活の中で当たり前のように使ってるものってあるんですね、いっぱい。

ありまくりでしたね。

本当驚きましたね。そして今日は村越さんの方から色々お話もありましたが、
グリーンパワー事業などもありましたし、そういったものはムラコシ精工さんの
ホームページをぜひ確認していただければと思います。

来週も引き続き村越雄介さんをお迎えしてお話を伺っていきます。