【福島の魅力を学び、味わう「水素ツーリズム」~郡山観光交通~】6月11日放送分

田巻

今週フォーカスするのは…

福島の新しい観光スタイルになるかも!浪江町の魅力を集めた水素ツーリズムに注目!

大楽

浪江町の水素ですよ!

浪江町には「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」がありまして、オリンピック・パラリンピックの時に水素を燃料にした聖火トーチが使われていたの知ってます?

田巻

浪江町の水素が⁉知らなかったです!

福島生まれの水素をオリンピックで活用!浪江町の「再エネ由来水素プロジェクト」|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

大楽

その浪江町と関わりのある水素に注目し、福島の食とを結びつけた観光ツアーというのがこの秋スタートするということなんです!

田巻

気になりますね!

出演いただくのは、「水素ツーリズム」を企画運営している、福島県郡山市の郡山観光交通株式会社 代表取締役 山口松之進(やまぐち・しょうのしん)さんです。

リモートでのご出演です。

山口さん、よろしくお願いします!

山口さん

よろしくお願いいたします。

郡山観光交通株式会社 代表取締役 山口松之進(やまぐち・しょうのしん)さん
©郡山観光交通株式会社

郡山観光交通株式会社 (yamaguchi-gr.co.jp)


 タクシー事業から観光業へ 

田巻

以前、番組でご紹介した「孫の手トラベル」を運営している会社です。

まずは改めて、会社の事業内容を教えてください!

山口さん

わたくしどものグループは、昭和30年に郡山市でタクシー事業を2台からスタートさせていただきまして。その後タクシー・バス・トラックなどの整備工場などを取り組んでおります。

そして私が25年前に戻ってきてから、介護事業・旅行業と幅を広げて取り組んでおります。

大楽

僕はホームページを見て驚いたのが、このタクシー事業のドライバーの方全員がホームヘルパー2級の資格を取得してるんですよね。

山口さん

これは平成12年に介護保険が始まった時に、やっぱりなかなか右肩下がりで売上は毎年下がっていく…高齢化社会を迎える中で何か取り組めることはないかと。

そんな時に北九州で、二種免許というタクシーの免許とヘルパーの免許を持って、普通はドアtoドア、玄関までなんですけど、家の中まで入ってベッドtoベッドというサービスが始まったことを聞きまして。

これから高齢化社会の中で地域の足を担うタクシー業界がやるべき仕事だということで、私の掛け声のもと当時40名で一緒にヘルパーの資格を取りまして、この介護タクシーがスタートしたと。

田巻

40名も!すごいですね…!

評判はどうですか?

山口さん

タクシーって、目的地まで安全に行って当たり前、なかなか感謝されることがないんですけども。外出をなかなかしきれない人や、体が弱い方々が相手になっておりますので、当然目的地まで安全に声をかけて優しく対応させていただくと、お客様からありがとうという言葉が返ってくると。なかなか普段のタクシーでは感じられない「ありがとう」の言葉にうちの社員は刺激を受けて、こんな仕事がやれて良かったなと。じゃあまた今度そのお客さんに何かしてあげたいという気持ちが湧いてくる、そんな職業意欲が湧くような仕事が出来ていると思っています。

福祉・介護 – 郡山観光交通株式会社 (yamaguchi-gr.co.jp)

大楽

働く人もモチベーションが上がりますよね!

山口さん

やっぱり働く意味とか誰かの役に立つってのは、お金がもらえるかもらえないかを越えて、自分の存在価値が誰かに認められたってことはやっぱり嬉しいし、そういった日々のハリになってくると。そこから工夫であったりが生まれてくるんだなというふうに思っています。

大楽

その工夫の先に、今度は観光事業も手がけているということですけど、タクシー事業からどうしてこの観光事業の方に行かれたんですか?

山口さん

実はこの介護事業からも繋がってるんですね。

私もヘルパーの資格を取って、契約をしにお客様のところを300軒ぐらい、何軒も回りました。そうすると、普段外から見ていると感じられない、小さなおうちの中で一人で暮らして腰を曲げながら一日一回コンビニでお弁当を3回に分けて食べている人がいたり。外から見ると二世帯住宅でも、家の中に入っていくとちょっと冷たい空気を感じられたり。そんな方には楽しみのために外出をしてほしいと。

そんなことから、ケアステーション孫の手から始まったのが「孫の手トラベル」ということになります。タクシーが全ての自宅にお迎えにあがって、うちの会社にお連れしてバスに乗り換えて、出発して旅を楽しんで。またバスが帰ってくるとタクシーが並んでいて自宅までお連れすると。自宅送迎付きの旅行というかたちになってます。

田巻

地域に寄り添っていますね。

©郡山観光交通株式会社

生産者、シェフ、地元と観光客の想いをつなぐ「FoodCamp」

田巻

続いて、「FoodCamp」について教えていただきたいです!

山口さん

時代に合わせてということで、これからはローマ字での「MAGONOTE TRAVEL」をしようというブランディングの中で始めたのが青空レストラン事業「FoodCamp」になります。

©郡山観光交通株式会社

田巻

始めるきっかけは何だったんですか?

山口さん

震災があって、農家さんと話していると風評被害が甚だひどいと。畑でいろんな話をしながら放射線のことを聞いたりすると、こういう品種だからこれはセシウムを吸わないんだよとか、ちゃんと科学的な知識を持っている。そういう話を聞きながらかじらせてもらったとうもろこしの甘さ、茄子のみずみずしさ、感動するぐらい美味しいんですね。

この感動があれば風評ってのはなくなるんじゃないかなと。うちで2トン車を改造したキッチンカーを持っていまして、これを畑に持ち込み、そこにテーブルクロスを張ってナイフとフォークを置いてレストランを作ってしまおうと。

そこで生産者と参加者が収穫体験をしたり、生産者がどんな思いでその場所で農業をやってるかを感じ取っていただいて。その生産者と一緒にテーブルを囲んでお食事をとっていただくと。

田巻

最高ですね!

山口さん

FoodCamp2022の第一発目は4月22日、須賀川市のおざわ農園さんという完熟いちご生産者のところで、郡山の「あ吽」さんというお店の林シェフとのコンビでやらせて頂いて。四日間で満員になって売り切れ御免となりました。

©郡山観光交通株式会社

大楽

どんな料理を出されるんですか?

山口さん

いちごのフルコースですね!

大楽

いちごのフルコース!

山口さん

メインからデザートまでいちご尽くしと。

このあ吽さんって、お肉の懐石料理のお店さんなので、お肉もその中に加わって。あ吽さんのお店の特徴を加味しつつ、毎回のテーマが前菜からデザートまで通して使って頂くと。普通の店では絶対に出さないようなシェフのチャレンジの一日になっています。

田巻

いちご好きにはたまりませんね!

大楽

いちご味のソースが出たりとか。

山口さん

その時はハンバーグがメインだったんですが、その中にいちごが練りこまれているというか…我々スタッフなので実際には食べていなくてわからないんですが、お客様の反応はびっくり仰天というかですね…(笑)!そのアイデアの素晴らしさがプロの所以だなあというのを毎回毎回感じております。

©郡山観光交通株式会社

【おざわ農園】完熟苺と奥会津牛のコースランチツアー | 孫の手トラベル (magonotetravel.co.jp)

大楽

生産者の方からはどんな声が上がっていますか?

山口さん

畑というのは職場なんですね、生産者さんにとっては。自分が汗水たらして働いている場所。そこに人が来てくれること自体が嬉しいと行ってくれる農家さんがいて。

そこに20名から30名のレストランが突如として現れると。お客さんがバタバタと来てワイワイ楽しんで、美味しいものをお客さんと一緒に食べて。終わってお見送りをして、当然我々が片付けをするわけですね。そしてまた数時間後には何もない畑に戻ってる。あれ…今日本当にFoodCampあったのかなと、なんか幻想のような、夢のような一日だったという声を言ってくれる生産者さんが何名もいらっしゃいます。

田巻

ツアーの参加者って、県内と県外どちらの方が多いんですか?

山口さん

ほぼ半々ですね。我々としてはこういうツアーだと特別感を出してお客さんを呼ぶ…観光業だとそういう発想になるかと思うんですが。

自分達は、例えば海外に行ってパリだイタリアのミラノだと行った時に、レストランに入りましたと。そこが日本人だらけだったら…海外に行った気持ちにならないじゃないですか。それが、地元の人が愛されているお店にたまたま入って、たまたま隣の人と喋ってみたら「よく来たね!」みたいに地元の方に声かけられたらその土地に行ってすごく嬉しいじゃないですか。

なのでこのFoodCampという場も、地元の人がちゃんとある程度参加していて、東京から来た人をウェルカムするような、そんな雰囲気ができて本物の場の主催ができたということになるんじゃないかなと。地元の方からすると、自分より交通費をかけてこのツアーに参加いただくってことは、自分の選択が正しかったと。その価値が、地域が褒められたようで嬉しくなって、「明日どこに行くんですか?」「ここに行くならあそこ行った方がいいですよ」「これお土産買った方がいいですよ」…そういう勝手なおせっかいが始まって。そのおせっかいが、遠くから来た人が「あぁ福島に来たんだな」っていうことを実感する…お互いにとって素晴らしい出会いができるのが本物の観光なんではないかなというふうに思って、お客さんの割合をすごく気にして運営をしております。

田巻

聞けば聞くほど我々も参加したくなりますね!

©郡山観光交通株式会社

新たな取り組み「水素ツーリズム」とは?

田巻

新たな取り組みとして展開する「水素ツーリズム」について。

水素ツーリズムが誕生した経緯について教えてください!

山口さん

FoodCamp、年々重ねてだいぶ評価を頂いて。その成果として2019年に環境省の第7回グッドライフアワードという、循環型社会を表彰する賞の環境大臣優秀賞を受賞することができました。

それまで「生産者をヒーローにする」、生産者メインの取り組みだと我々は思って頑張っていたんですが、環境省からそんな賞をいただいて改めて見たときに、「生産者と消費者を新たなカタチで繋げた」「生産地である畑の価値を伝えた」と、そんな声をいただいて環境に資する事業なんだなと。

©郡山観光交通株式会社

じゃあ、その環境の視点でもう一度見直した時に何ができるんだろうといったところで、地域の魅力をプロデュースするという価値観、福島県で動いている取り組み、環境の取り組み。

その中でたまたま浪江町さんと縁ができまして、FH2R、福島水素エネルギー研究フィールドで作っているクリーン水素。普通だとCO₂とかH₂とか、化学記号が出てくると拒絶感を示してしまうんですが、それをFoodCampと絡めることで、受け入れる受容力が高まって、環境と水素のつながりを伝えるツアーができないかと考えて始めた次第です。

大楽

FoodCampを行いながら、水素の施設をまわるみたいな感じなんですか?

山口さん

そうですね。昨年テストで環境省さんの委託事業ということで水素ツーリズムのFoodCampを開催しました。

その際には、9年ぶりに再開しました請戸漁港に朝一番でお邪魔をして、漁師さんの水揚げを体験して。当時は白魚の選別体験をしていただきまして。

©郡山観光交通株式会社

その後、FH2Rに移って水素製造の仕組みを学ばせて頂いて。

©郡山観光交通株式会社

そして隣にありますロボットテストフィールド浪江の滑走路の格納庫の中でFoodCampを行ったと。

大楽

格納庫の中で行うんですか⁉

山口さん

そうですね!普通は畑の中なんですが、3月という寒さもあったので風を避けられる場所ということで格納庫でやりました。

©郡山観光交通株式会社

その日は請戸のお魚を使ったブイヤベースをメインにさせていただきました。また鈴木酒造さん、10年ぶりに戻ってきた酒蔵さんのお酒をソースに使ったり、地元のほうれん草を添え物に使ったり、山菜の天ぷらを出したり…全てが地のもの。いま日本・世界全体で四季感がなくなってきている、どんどん地場のものがなくなってきてる。そういったところでやっぱり環境が維持されてこそいま食べているものが食べられる。そこにつなげることによって、環境の大切さや何で水素が必要なのかってところも一緒に、FoodCampという外で食べるということを通じて感じとっていただけるのではないかなと。

©郡山観光交通株式会社

そして水素をより感じていただこうということで、せっかく滑走路なので水素燃料電池車「MIRAI」の乗車体験をしていただいて。

©郡山観光交通株式会社

普段我々のキッチンカーってのは発電機をつないだりするんですが、その「MIRAI」から発電した電気を使ってその日は運営、 CO₂ゼロのFoodCampを達成したと。

©郡山観光交通株式会社

より水素社会の一端を感じていただくということ、それを「水素ツーリズム」という名前をつけて、これからどんどん多くの方に水素の価値観であるとか、福島県の全体の取り組みであるとかを伝えるようなツーリズムにしていきたいと思っております。

大楽

美味しいものも食べながら、やっぱり学ぶことは大切だし。

水素って言葉では分かるんだけど「どういうものですか?」「どんなところで作られてるんですか?」って言うと…具体的に答えることができないので。その現場を見ながら、そして見るだけじゃなくてやっぱり食べられるって言うのはすごく美味しいツアーですよね!

浪江町の魅力を集めた「水素ツーリズム」モニターツアーを開催 | 孫の手トラベル (magonotetravel.co.jp)

田巻

福島の新しい魅力に特化したツアーもできるのではないかと思います。どのように考えられますか?

山口さん

FoodCampというのは、「地域のアイデンティティ、想いを伝える手段」だというふうに思っております。

FoodCampの使い方として、昨年今年でも結婚式で使っていただいたケースがあります。今後はお城の下でのFoodCampをやったり、国立公園の中でFoodCampをやったり、母校の校庭でFoodCampをやりながら同窓会を楽しむとか、そんなこともできるなと思っています。

また、福島県がいま取り組んでいる復興の出来上がった姿ではなくて、過程を見せる手段として、企業研修・環境教育といったものを受注できたらいいなと思っております。

©郡山観光交通株式会社

大楽

FoodCampっていうキーワードでいろんなものが膨らみそうですよね!

山口さん

そうですね、我々は場所に連れて行くのではなくて、そこにいる人と人をつなぐ。その人の想いを我々がどう解釈して、我々のFoodCampという道具を使って、いかにその想いやアイデンティティを伝えられるかと。

ですので、ツアーを作る段階ではほぼ3回ぐらいは行って、その人の生い立ちや成り立ち、どういう気持ちでその仕事や家業に戻ってきたのかなどの苦労話を全部聞いて、本人も気がつかないような価値を伝えられている。だから終わった時に、自分自身の仕事への再発見になったり。

農家さんも、自分が生産したものを直売所で買う人の顔を見るところまでは結構ありますが、それを家に帰ってどう食べているかはなかなかわからない。それがFoodCampだと、隣の人が自分の作った野菜を料理人さんが宝石のように皿の上に飾りつけをして、それを自分が食べて美味しい、それを横にいる人がお金を払ってくれて、食べている人が満面の笑みで喜んでいる…自分の作ったものが人を喜ばせてるということを体感をして、この農業という仕事をやっててよかったなと言ってもらっている。

そしてシェフ自体にもFoodCampの1日だからこそちょっと面白いチャレンジができたり新鮮な生産物があって自分がシェフができてる、そんな原点に立ち返ることができる。

ですので、福島県のいろんな魅力を組み合わせる事によって、福島県だからこそ、その場に行ったからこそ感じられる魅力を伝えていきたいなと思っています。

©郡山観光交通株式会社

田巻

想いを伝える手段、素敵ですね!

大楽

僕たちも話を聞いて、旅行というと外に行きがちだけど、自分の故郷のことを知らないことっていっぱいあるので、福島の魅力を再発見したいと思いますね!

田巻

本当ですね!参加したいです!

郡山観光交通株式会社 代表取締役 山口松之進(やまぐち・しょうのしん)さんにお話伺いました。ありがとうございました!


大楽

今回のお話聞いて、いかがだったでしょうか?

田巻

県内外に福島のことを深く知ってもらえるいい機会なんじゃないかなって思いました!

大楽

そうですね!

このツアーについて、郡山観光交通株式会社のWebサイトをご確認ください!

そしてFoodCampについて興味のある方、「The Food Camp」という本を自費出版されてるそうなんです。

こちらは福島県内の書店で売られているということですので、ぜひ手に取って見ていただきたいと思います!

読むFoodCamp!~FoodCampが本になりました~ | 孫の手トラベル (magonotetravel.co.jp)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。