
田巻
そうですね、しかも12段の棚でレタスが生っているという…!
10mですよ!

大楽
すごいですね!
そこをロボットが行き来して栽培してるってことだもんね。

田巻
びっくりでしたね!

大楽
今回は沼上さんのお人柄にも触れていきたいと思います!
前回に続きゲストは、
株式会社A-Plus(エープラス)代表取締役 沼上透(ぬまがみ・とおる)さんです。
リモートでのご出演です。
沼上さん、よろしくお願いします!

沼上さん
よろしくお願いいたします。

©株式会社A-Plus
企業情報 | A-Plus | 福島県田村市 (a-plus-tamura.com)
大楽
沼上さんのお人柄ということで、プロフィールをご紹介していきたいと思います。
1968年、埼玉県生まれ。半導体商社に就職し、家電メーカー等を取引先として20年以上、電子部品の営業に携わる。
勤務先が太陽光発電に参入したのを機に、太陽光の有効活用先として植物工場事業を担当。
この事業をスピンオフして独立する形で2017年11月に独立。
2017年に株式会社A-Plusを設立ということなんですね。
その前の太陽光発電を有効活用というところから、なぜこの植物工場という全く違う分野である農業に来られたんですか?
沼上さん
私がもともといた電子部品業界からの話になってしまうんですけれども。
1990年代、アナログからデジタル化という大きな流れがあったんですね。例えばテレビがフラットになったり、それからカメラで言うとフィルムからICメモリーに替わったり。アナログからデジタルへの大きな変換点があったわけなんですけれども。
その際、海外メーカーでも簡単に家電が作れるようになっちゃってですね、日本の家電メーカーの業績はどんどん悪くなっちゃったんですよ。デジタル化と時代の変化って怖いな…って思ったんですけども。
逆に、野菜はアナログ的なものなので、そういったアナログ的なものとデジタル的なものを組み合わせれば非常に面白いなと思って、それが農業に進んだ大きな理由になりますね。
田巻
面白い視点ですね…!

大楽
それですぐ、じゃあ自分で独立しようってなったんですか?
沼上さん
そうですね、前職でも従来型の植物工場を手掛けてましたので。
最初はもうちょっとハイテク化できるんじゃないかと思って。それで独立したという経緯があります。
大楽
最初に独立された時は、LEDを使ってという今の工場の構想も既に頭の中にあったんですか?
沼上さん
そうですね。もう大体構想は出来ていまして、そこに日本の素晴らしい工業技術…例えばロボットやIT関係、そういうものを組み合わせれば素晴らしいものができるんじゃないかなと考えていました。
大楽
最初からレタスって決まったんですか?
沼上さん
レタスが一番植物工場で作りやすいっていうのと。
それから年間50万トンから60万トンの需要がありますので、市場性もあるというところでレタスを選んだと。

大楽
元々、沼上さんって埼玉県生まれじゃないですか。何で福島で本社を立ち上げたんですか?
沼上さん
東日本大震災の時、私は東京にいたんですけれども。テレビから流れてくる映像を見て、いつか復興に貢献できたらって思いが常にあったんですね。
それと、工場の候補地を探すときに、田村市の職員さんが非常に親身になって下さって。今回補助金事業を使っているんですけれども、補助金の申請などかなり親身になってお付き合いしてくださったので。その2点が理由になっていますね。
自立・帰還支援雇用創出企業立地補助事業 – 復興支援|公益財団法人 福島県産業振興センター (utsukushima.net)
大楽
最初、いろんな候補地を探していたと思うんですが、その期間ってどのくらいかかったんですか?
沼上さん
だいたい半年ぐらいは検討してたと思うんですけども…。
大楽
その期間、日本国内のいろんな所に行かれたんですか?
沼上さん
最初はやはり関西方面にもいろいろと、各自治体に問い合わせしていました。
田巻
田村市の魅力を教えてください!
沼上さん
まず、自然が非常に豊かだということと。それから地元の方も非常に優しくて、非常に魅力的だと思っています。

大楽
沼上さん、どんなお子さんだったんですか?
沼上さん
子供時代は…父親によく博物館に連れてってもらったんですね。恐竜とか化石だとか、それから昆虫、ミイラに至るまでいろんなものに興味を持って過ごしてました。
例えば絹糸を出す蚕を自分で育てて、それで最後…蛾になっちゃってですね…(笑)家中逃げてしまって…卵を産んじゃって親に怒られたりですとか。トカゲをとってきて…家の中でやっぱり逃げちゃってまた怒られたり…(笑)そんな子ども時代でした。
大学時代はそのノリで学生になっちゃいましたので、考古学を勉強して常に発掘ばっかりやっていました。
大楽
すごい、インディジョーンズみたいな感じですね?
沼上さん
そうですね、あこがれてました(笑)
田巻
考古学者になろうと思わなかったんですか?
沼上さん
最初はそういう方向も考えてたんですが…考古学ではご飯を食べていけないってのが途中でわかって…(笑)
田巻
そうなんですか⁉
大楽
現実的ですね!(笑)
沼上さん
それで私が社会人になる当時、半導体というのは「産業の米」って言われていて。すごく伸びていく業界だったので、それで半導体商社に入社したという経緯ですね。全く分野が違うところなんですけれど。
大楽
いま福島県でお住まいなんですよね?福島の魅力って何ですか?
沼上さん
やっぱり食べ物が美味しいっていうのと、それからお酒も非常に美味しいので。それから景色がいいところが非常に多いので。
当時学生の時はバイクでツーリングによく五色沼とか桧原湖あたりに行ったりして。それから喜多方ラーメンですね。食べながら、キャンプしながら、転々とするようなこともやってましたね。
A-Plusの未来 次に植物工場で作るものとは…?
大楽
沼上さんが描く株式会社A-Plusの未来についてお聞きしていきたいと思います。
いま社員って何名なんですか?
沼上さん
今日現在、社員が34名、パートさんが14名いらっしゃいます。
大楽
今後も工場は増やす予定なんですか?
沼上さん
今後はいちごの完全閉鎖型植物工場を実現させたいというふうに思っています。
大楽
それはやはり田村市の方で?
沼上さん
そうですね、できれば田村市の方でと考えています。
田巻
沼上さんが思う農業のこれから、どういうものですか?
沼上さん
先進国の中でも日本は少子高齢化が進んでいますので、すでに高齢化している農業についてはロボットやAIの工業的な技術を使わざるを得ないと思っています。あまり日本のハイテク企業は農業分野へ本格的には進出してきていないんですけれども、やはりそれは儲からないためであって。もっと世界的な視野に立ってグローバルの展開というのがこれから必要なんじゃないかなというふうに考えています。
大楽
今後いちごを作っていくということだったんですが、それ以外にも考えている野菜・果物はあるんでしょうか?
沼上さん
まずは医薬品の原材料ですね。
大楽
医薬品?
沼上さん
最近では新型コロナウイルスのワクチンなんかも開発した会社がありまして。そういった医薬品の分野にも今後進出できたらなというふうに考えています。
大楽
今の知識を持って医薬品の分野にも行けるんですか?
沼上さん
はい、例えば雑菌が少ないですとか、安定的に生産できるっていう面ではそういった分野にも十分入れるんじゃないかなと。
大楽
ということは、その工場でワクチンを作るんですか?
沼上さん
そうですね、ワクチンを作るための原材料としての植物を育てていくっていうかたちです。
田巻
何年後になる予定ですか?
沼上さん
まだちょっとどの時点でそれが実現できるかどうかってところはあるんですけども。製薬会社との連携が必要だったりしますので、私たち独自でできるわけではありませんので、今後そういったところとコミュニケーションを取りながら連携を深めていければなと。
大楽
ワクチンを作る原材料って何なんですか?聞いちゃっても大丈夫なのかな…。
沼上さん
最近発表されたんですけれども、タバコの葉の由来の植物に新型コロナウイルスのウイルスを注入して、そこからワクチンを生成するという技術が確立されています。
例えばそういったタバコの葉っぱですとか、他にもいろいろとあると思いますので、そういった技術を生かしていければなと。
大楽
なるほど、そうすると今ある工場の中で作業が出来るって事なんですか?
沼上さん
実際には今の工場ではレタスを作っていますので、そういったお話があればまた別の工場として、医薬品の原材料だけを作る工場っていう展開ができるんじゃないかなと思ってます。

大楽
沼上さんが福島県と一緒に描く未来、この福島の農業のこれからってどうなんでしょうかね?
沼上さん
福島県の場合は特に風評被害を受けて。これまで農家の皆さんが大変な苦労をされたと思います。
一方で他の県よりも安心安全の面で強く意識されて取り組んでこられたと思いますので、GAP認証もそうなんですけども、そういう取り組みを逆に強みとして活かしていければ、これからの福島、農業の未来は明るいんじゃないかなと考えています。

田巻
明るい未来のために、いま私たちができることなどありましたら教えてください!
沼上さん
野菜を買っていただけるお客様の立場としても、やはり単に値段だけで判断するのではなくて、安心安全な野菜がどういうものなのかという意識を持って選んでいただくということがこれから必要なんじゃないかなって思います。
田巻
そういうものって、商品にラベルとかが貼ってあるんですか?
沼上さん
GAP取得された工場・農場で作られた野菜にはGAP認証のマークが入っていますので、そういったものが一つ参考になるんじゃないかなと思います。
大楽
これから僕たちも野菜を買う時に確認して購入するようにします!
田巻
意識してみます!
沼上さん
ぜひとも!

大楽
沼上さんの将来に対する思いなどをお伺いしてもよろしいですか?
沼上さん
日本政府としても、ハイテク企業の福島県の誘致という面で必死になって支援してくれてますので。今後地元企業様との連携を深めながら、私たちも福島から世界へ展開していけるような企業になって。少しでも福島の復興に貢献が出来ればなと考えています。
大楽
ありがとうございます。
やっぱ僕たちがいつも思うのは、メイドイン福島のものを世界に発信したいっていう思いがありますので。これからもぜひ力を貸していただければと思います。
二回にわたって、株式会社A-Plus 代表取締役 沼上透さんにお話を伺ってきました。
ありがとうございました!!
大楽
海外進出、いちご、そしてワクチン…!すごいよね!
田巻
壮大だし、夢が広がりますよね!
大楽
本当に!レタスとかいちごだけじゃなくて、システム自体も売れるっておっしゃってましたもんね。
俺たち何で絡もうかな…(笑)
田巻
(笑) 大楽さんもやるんですか?
大楽
ちょっとやりたいなと思いました…!

大楽
前回は、株式会社A-Plusの事業内容と取り組み、福島県田村市都路町にある完全閉鎖型の植物工場を取り上げました。
窓一つないって言ってましたもんね!