田巻
四倉海岸からスタートして、道の駅よつくら港、夜の森の桜並木!
小名浜港に、トマトのテーマパーク ワンダーファームと、道の駅なみえ!
浜通りの魅力をたっぷりお伝えしました!
初めての一人現地リポート、いやー本当に難しかった…!でもとても貴重な体験でした!ラジオって奥が深くて面白いですね!
田巻
今回の取材で、自然も食べ物も、そしてそこに住むあたたかい町の人も、改めて皆さんと一緒に福島の魅力を再発見できました。
復興に向かって頑張っている地元の方々や、それを応援してくれる県外の農家の方々など、人と人とのつながりにあたたかい気持ちになりました。また個人的にも行ってみたいと思います!
福島県浜通り、日帰りでも十分楽しめます!春先の行楽の一つに福島県浜通りを入れてみてはいかがでしょうか?

ここからは、過去に放送したゲストトークを再編集してお届けしていきます。
2021年6月に放送した、株式会社eロボティクス 代表取締役 板羽昌之さんへのインタビューの模様を再編集してお送りします。
ここからは大楽さんも登場します、それでは改めてお聞きください!

大楽
福島県南相馬市原町区に本社を持つ、株式会社eロボティクス 代表取締役 板羽昌之さんをお迎えしています。
板羽さん
よろしくお願いします。

大楽
今注目の医療分野の話からお伺いしたいと思うんですが…。
”医療用の陰圧クリーンドーム”、あまり耳馴染みがないかもしれませんが、写真とかニュースで最近目にした人も多いかと思います。
これは新型コロナウイルス対策のため、医療現場の最前線で使われている簡易型ドームということなんですが…。
そもそも陰圧ってどういう意味なんですか?
板羽さん
陰圧は一般の環境、我々が存在している環境よりも少し圧力を低くした空間を作って、風の流れを強制的に起こしてあげるというようなものが陰圧と言われてます。
大楽
なるほど。少しだけ気圧が下がっているということですか?
板羽さん
そうです。気圧が低い状態を強制的に作ってあげるということです。
大楽
作ることによってどんなことがあるんですか?
板羽さん
今回で言えば患者さんの頭部の周りですね。呼吸域のところを陰圧にしますと、患者さんの呼気、咳をしたりする時の飛沫が、外に拡散しないというところが特徴です。
大楽
広がらないということですね。
そして可搬型陰圧クリーンドーム『ハッピーバード』というのが正式名称でして。
この”可搬型”っていうのは持ち運びができるということなんですよね。

板羽さん
例えば救急車で搬送する時、ストレッチャー(患者さんを乗せる台)で救急車に乗せる時に、搬送する場合でも追随できるような軽量コンパクトで持ち運びできる軽さを備えてます。
陰圧にしたときに出る空気は、一般的に私たちはHEPAフィルターって呼んでるんですけども、99.97%の除去効率があるフィルターで患者さんの呼気をろ過して、それを排出しています。
大楽
今スタジオの方にもお持ちいただいたんですけど…正直こんな簡単なと言うか。
頭部部分は段ボールで作ってあるんですよね。

板羽さん
当初はがっちりしたプラスチックのようなもので作ったんですけども、それは一回一回消毒しなくちゃいけないんですよね。患者さんが変わる都度。
で、ある病院の看護部長さんからの要望で、その部分を使い捨てにできないかとお話があって。使い捨てにするんだったら紙だろうなというところで。日本ですと折り紙が紙を用いた技術ですから。
実は鳥取大学のベンチャー企業にこの折り紙を、段ボールを用意してそういった容器を作ってる会社がありまして、そこと連携して作ったものが『ハッピーバード』なんですね。
ですので、『ハッピーバード』という名称も、福島の”福”がハッピーで、鳥取の”鳥”がバードなんで、それでハッピーバードと命名したわけなんですよ。
田巻
素敵な名前!
大楽
既に使用されている自治体とか企業様があると思うんですけど、どのような声が届いてらっしゃいますか。
板羽さん
今までであれば、救急車の中全体をビニールシートで養生したり区画して。患者さんがまた病院の方に入って入れ替わると、全部シートで養生したものを撤去して消毒しなくちゃいけない。
それが患者さんの周りだけ囲ってあれば、それを撤去してストレッチャーの上だけを消毒するというような形で。かなり手間がかからなくなったというところですね。
田巻
実際に最前線で活躍されてるんですね。
ちなみに、このドームの中は苦しくないんですか。
板羽さん
陰圧にしてる分、通常のように外から空気が入ってきますんで、苦しいとかはないですね。
大楽
この可搬型の陰圧クリーンドーム『ハッピーバード』というものを開発されましたが、開発の途中段階でどんな部分が苦労されましたか?
板羽さん
私たちとしては「これでいいんじゃないか」と思ってた仕様が、お客様にお使いになっていただくと、様々な意見が出てくるんですよね。
どこまでその意見を製品の方に反映すれば使っていただけるのかっていうのが、3か月くらい。これで完璧と思ったんですが、その後部分改良したりして、なかなかその最終版ができるまでに時間かかったというところが非常に頭が痛かったですね。
大楽
そういった声にちゃんと答えて改良版を諦めずに作ったってことですよね。
板羽さん
そうですね。それは諦めませんでした!
田巻
eロボティクスさんは、福島生まれの技術で”守る人を守る”という事業コンセプトのもと、今お話しされていた医療用の陰圧クリーンドームの他にも、ドローンを用いた環境調査などのサービス提供をされています。
2021年6月の放送時点では、今よりも大変なコロナ禍の真っ只中!実際にスタジオに持ってきてくださった陰圧クリーンドーム”ハッピーバード”は多くの病院でも活躍したそうです!
スタジオで実際に大楽さんが”ハッピーバード”の中に入って体験されていたんですが、コンパクトで簡易的なのに高機能で、これから絶対に需要が高まりますねという話をしていたんです。

そしてこの放送後さらに開発を進めて、車椅子用のコンパクトサイズの製品化に取り組んでいるそうです。
板羽さんに、陰圧クリーンドームのその後についてお話を伺ったところ、番組でご紹介した時はベッドに寝た状態での使用を前提に作っていましたが、 withコロナのこれからの時代は、移動している時も陰圧空間に包まれた状態が求められると予想し、現在は車椅子での移動の際に邪魔にならない頭巾タイプのコンパクトな陰圧クリーンドームを開発しているそうです。こちらはまもなく発売予定ですよ!
そして、更なる陰圧クリーンドームの進化系も開発中とのこと。
なんと、歩きながら陰圧空間に包まれた状態になるという製品も試作されているそうです!年内には製品化、しかも海外展開を予定されているそうです。
こうした現代の新たな社会課題に向けて、福島生まれの技術が活躍するのは本当に素晴らしいですよね!これからも応援していきます!

大楽
前半では医療分野でのご活躍に注目しました。後半はドローンを使った環境調査のお話を伺っていきます。
田巻
ドローンを使った環境調査、具体的には現在どのような調査を行っているのでしょうか。また特徴も教えてください。
板羽さん
ドローンの利点とは、人の行けないところにロボットとして行ってくれる、というところですかね。
特に、私たちドローンを使った環境調査では、上空の気象とか、火山が噴火した時の噴煙の流れとか、化学工場が万が一爆発した時にどっち方向にどのくらいの量の有害物が飛散してるか…というような調査が可能になるんですね。
通常であれば、測定点は地上に置いてあって。火山が噴火した時ってそれを飛び越えて周辺の所に拡大するじゃないですか。化学工場なんかも。だからそういったところでは発生してるレベルと同じ高さまでドローンを飛行させて、そこで直接その空気をサンプリングして計るっていうのができるようになったんですね。

田巻
風とか雨とかに負けないんですか。
板羽さん
そこが重要なポイントで、小さいドローンはそれだけ留まっていようとする力がないですから、風に関してはおおよそ風速10mくらいが上限になってくると思いますね。
あと雨については、電気系統のいろんな部品があるんで防水性と、ただあんまり防水性高くしちゃうと熱がこもっちゃいますから、そこの塩梅を見ながらですので、なかなか難しいですね。
大楽
ドローン自体が隊列飛行させるシステムとお伺いしたんですが。
板羽さん
今火山の例を出しましたけども、どっち方向に噴煙・粉塵が流れてるかは、例えば火山の噴火口の四方にドローンをホバリングさせておくと、そこで空気を採取します。それぞれの濃度分布を後で調べることでわかります。
あとは例えば立方体状にドローンをに置いておくと、竜巻が起こる瞬間というのは局部的に大きな気圧の変化が起きてるはずなんですね。そういったところを、空間を3次元で捉えて気象情報を一気にリアルタイムで取るということが今後可能になってくると思うんですよ。
田巻
そんなこともできるんですね…!

大楽
なぜドローンを使った事業展開をされたんですか。
板羽さん
ドローンっていうよりも、ロボット、ロボティックス、 AIというところで。
元々私は原子力の技術屋だったもんで、福島の事故で停止するまでの間、サポートしたんですけども…結局人が中に入らざるを得ないような状況だったじゃないですか。
あれはやっぱりロボットに行ってもらって、人が行ける状況なのかをロボットに調査してもらって、戻ってきてその結果をもって人が中に行くとか、どういう装備を付けていけばいいかっていうところでやっぱり必要性を感じました。
現場の状況を正しく確認するというところで、空だったらドローン、水中だったら水中ドローンがあるんですよ。
地中ってのはどうなってるかまたわかんないじゃないですか。例えばサンダーバードってご存知ですかね、ドリルで地中に入っていく。ああいう物が出てくると、地中で何が起こってるかってのが分かるんですね。だから陸・海・空においてロボットに人が行けない場所に行ってもらって、調査してもらう。
大楽
ご自身でそういった経験があって、その現場に入れなかったもどかしさとかそういったものが今の仕事につながってるということですね。
eロボティクスが描く未来
大楽
これからの未来について、会社としてはどのようにご想像されていますか?
板羽さん
まず、対象とする事業領域が5つございます。
環境調査、スマート農業を含めての農林水産、ドローンによる物流、ドローンによるインフラ点検。
そしてまさに陰圧クリーンドームのような防災利用。
この事業領域については、まんべんなくこれからも対応していこうと思っています。
そのなかで、未来に向けてどのように会社を舵取りして進めていくか。
バックキャスト思考という、未来の夢・ゴールから逆にたどってきて何をすべきかっていう考え方と、
フォアキャスト思考という、今から未来に向けて何をどう進めていくかっていう考え方があります。
「バックキャスティング」
未来のある時点に目標を設定しておき、そこから振り返って現在すべきことを考える方法。地球温暖化対策のように、現状の継続では破局的な将来が予測されるときに用いられる。
goo辞書「バックキャスティング」 https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0/
「フォアキャスティング」
過去のデータや実績などに基づき、現状で実現可能と考えられることを積み上げて、未来の目標に近づけようとする方法。
goo辞書「フォアキャスティング」https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%A2%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0/#jn-190809
コロナ禍だけ取ってもいつ収束しているのか分からない中、世の中これだけ不確定な状況になって、未来って一体どうなるんだろうって皆さん考えられてると思うんです。
未来予想図を立てて、そこから何をやらなくちゃいけないのかをバックキャストで考える…というのを、今までなら会社の社長とかリーダーが考えれば良かったんですが、これからは社員全員が未来を描いて逆に辿って行動を起こすというやり方を進める必要があるかなと。
さらにその中で、ある時はバックキャストで未来から遡るし、ある程度見えたらフォアキャスト思考で現状から未来に向かって進む…ということを切り替えしながら進めていき、会社としてそういう状態を育成することが一番かなと。
大人も子供も関係なく、「こういう風になりたいな」とか「こういう未来があったらいいな」と思うところを、今勉強しなくちゃいけないのか、体力つけなくちゃいけないのかっていうところをまず自分で考えるような社会にならないと、なかなか日本も新しいものが出てこないっていう状況になるんじゃないかなと思ってますね。
田巻
eロボティクスさんのドローンは、お話にあった環境調査の他にも、災害時に避難誘導するためのサーチライトを搭載した機種も開発されているそうです。
ドローンが環境ビジネスとロボット産業の進化に欠かせない存在となっている今、このジャンルは福島だけではなく日本の産業の新たな担い手になっていくのではないかと思います!

田巻
また、eロボティクスさんが所属する、一般社団法人環境ロボティクス協会。
一般社団法人環境ロボティクス協会 | Environmental Robotics Association (e-robotics.or.jp)
5月13日に開催される”サステナブルなライフスタイルで美しさと感動を”をテーマにした名古屋未来環境 EXPO 2022、こちらの環境ロボティクスフォーラムを開催されます。
板羽さんはそこで登壇をされるそうです。さらに、その司会をするのがなんと!大楽さんです!すごい繋がり!しかもこの番組がきっかけだったそうなんです!
未来の技術開発が生まれる一場面に当番組「FirstMaker」が関われたこと、すごく嬉しいです!そして私もこの分野をもっともっと勉強していきたいと思います!

田巻
前回、前々回と2週に渡って、田巻果奈が巡る”春のふくしま散歩”をお届けしましたが、皆さん聴いてくださいましたか?