【再エネの最先端研究施設「FREA」 地熱編】2022年1月15日放送分

田巻

さあ今回も、福島県郡山市にあります産総研(産業技術総合研究所)の福島再生可能エネルギー研究所を取材した模様をお届けしていきます!

大楽

前回は風力について伺いました。知らなかったことばかりでしたね…!

田巻

初めて知ったことばかりでした、風力について!

大楽

今回もきっと初めてのことがいっぱいありますよ!

田巻

おおっ!今回は何でしょう?

大楽

今回は「地熱」について取り上げたいと思います。

地熱といえばなんでしょうか?

田巻

やっぱ地熱といえば…私が大好きな温泉ですかね?(笑)

大楽

いやまぁそうですよね(笑)!

いま田巻さんが言ったように温泉というものもありますし、グッと身近に感じる再生エネルギーだと思うんですけど…。この「FREA」でどんな研究をされているのか。その辺りもぜひ聞いていきたいと思います。

それでは早速お話を伺っていきましょう!

産総研:福島再生可能エネルギー研究所 (aist.go.jp)


地熱発電とは?:「福島再生可能エネルギー研究所」地熱チーム長 浅沼さん

大楽

さあ、エネルギー管理棟にやってきました!

こちらでお話を伺うのが、産総研「福島再生可能エネルギー研究所」地熱チーム長 浅沼さんです。浅沼さん、よろしくお願いします!

浅沼さん

よろしくお願いします。

大楽

実は僕たち、「地熱」というのを当番組「FirstMaker」で取り上げるのって初めてなんですよね!

田巻

そうなんですよ!

大楽

そもそも、この地熱発電のメカニズムについてお伺いしてもよろしいですか?

浅沼さん

私たちが普段暮らしてる地面はすごく柔らかいイメージがあるんですけれども、地殻深くにいくと固くなって、その中にたくさんの割れ目や亀裂があります。

その中でも、上に被さるような構造があったりして、雨水が溜まったりするような場所が火山の近くにあったりすると、火山の熱源であるマグマによって温められて、中の水が200℃から300℃ぐらいまで温められているとされています。 

大楽

それってどれくらいの地中なんですか?

浅沼さん

国や場所によっても違うんですけれど、だいたい500m~2000mくらいの深さです。

大楽

そんなに!

いま、200℃という話があったんですけど…僕たちは、100℃ぐらいなのかなーって思ってたんですけど…、水っていうか、下では200℃ぐらいになるんですか?

浅沼さん

そうですね、水の沸点というのは周りから加わる圧力によって決まってくるんですよ。

地面の下ですと、上の岩の重さがあるので水の沸点が高くなって200℃の水の状態で存在してることがあります。

田巻

200℃で水…⁉

大楽

知らなかった…!

浅沼さん

そういった所に我々は、直径200㎝くらいの穴を掘って、その割れ目の中にたまっている水や蒸気を取り出して、発電機のタービンに持っていきます。それでタービンを回して発電するというのが「地熱発電」です。

そして、もう一つやり方があって、温泉。温泉の中でも温度が高い温泉では100℃ぐらいのお湯が出てくるところがあるんですね。例えば大分県の別府温泉とか、福島県の土湯温泉とか。そういうところでは、ただ100℃だと普通の大きいタービンを回すことができないので、沸点が低い物質に1回熱を移して発電機を回してやります。そうするとあんまりたくさん電力は出ないんですけども、それなりに数百世帯分くらいの発電をすることができます。

大楽

ということは…温度をわざわざ下げるということなんですか?

浅沼さん

いえいえ、温度が低いところでも、発電できるというイメージですね。

田巻

どうやって物質を変えるんですか?

浅沼さん

例えばアンモニアであるとか、アルコール類であるとか、沸点が低くすぐ沸騰する物質が世の中にあるんですね。そういうものに熱を移してやると、ちゃんとタービンが回るようになります。

大楽

熱を移すんですか。

田巻

そんなことができるんですね…!

浅沼さん

ちょうど車のラジエーターというのは、エンジンの中を回ってきた熱い水の熱を空気に移して、エンジンを冷やしてますよね。それと同じように、地下から来た水を他のものに熱交換器を使って移してやるっていうことができるんですよ。

沸点 - Wikipedia

田巻

地熱発電のメカニズムについて分かったんですけど、この「FREA」では地熱発電のどんなことを研究されているんですか?

浅沼さん

私たちは研究開発のモットーとして、『地熱の適正利用』という言葉を使ってます。

それは地下や地熱がある地域の状態に合わせて、地熱エネルギーを安全安心に使おうという考え方です。

大楽

その土地土地によって、地域によってということですか。

浅沼さん

そうですね。発電をした時に地域にどういうメリットが生じるのか。あるいは発電をすることによって利害関係者が出てきたりするんですけれども、その人たちがみんな満足できるような形で発電を行うと。

大楽

それって結構難しいような気がするんですが…。

浅沼さん

自然科学と社会科学、両方混ざった課題になってきますね。

大楽

具体的にはどういった取り組みをされるんですか?

浅沼さん

特に私たちは自然科学、特に地球科学の専門家が集まっているチームですので、例えば地熱開発の一番の問題は地下を目で見ることができないということ。それがいろんな問題を生み出してるわけですけれども。様々なモニタリング技術を開発したり、あるいは温泉と地熱発電、ともに同じ地下の熱エネルギーを使ってるんで、それが共生できるための計測システムを作ったり。あとは社会の情勢や状態に合わせて地熱発電をうまく組み込むための研究などを行っております。

産総研:再生可能エネルギー研究センター 地熱チーム (aist.go.jp)

田巻

地熱発電のメリットとデメリットを教えてください。

浅沼さん

地熱発電のメリットは、世界で第三位くらいの熱エネルギーが地下にあるということ。膨大なエネルギーがあります。

それから、純国産エネルギーであること。近頃石油の値段が上がったということで、物価も一緒に上がったりしていますが、そういった危険が非常に少ないということ。

それからもう一つは、再生可能エネルギーの中でも時間や季節を問わないで発電できるということ。つまり、太陽光発電は夜発電できません、風力発電は風が吹いてないと発電しませんっていうことで、非常に不安定な電源なんですけども。地熱発電は常に一定の電力を出してくれるということで。用語で言いますと「ベースロード電源」として働くことができるということです。

あとはグリーンエネルギーとしてのメリットで見ると、他の再生可能エネルギーの中でも二酸化炭素の排出量が少ないということで、環境に優しいという点もメリットになります。

大楽

逆にデメリットはなんなんしょう?

浅沼さん

先ほど申しました、地下が見えないので開発が非常に難しいということが一つデメリットです。ですから地下が見えないんで、いまここら辺に地熱のエネルギーがありそうだと言って穴を掘っても失敗するリスクがかなりあるという事が一つのデメリットです。

田巻

時間がかかってしまいますよね。

浅沼さん

それからあとは、環境に配慮して開発を進めますので、地元の方のご意見を伺いながら慎重に進めていくので、計画してから発電所が運転するまでにだいたい日本では10年くらいかかるということになります。

大楽

ちなみに福島での地熱発電の今後の広がりというのはどうなんでしょうか?

浅沼さん

いま福島では大規模な地熱発電所として、柳津町に柳津西山地熱発電所という発電所があって。約45000世帯分…これは会津若松市の一般世帯の数くらいですけども、それくらいの電力を供給できる発電をしています。

発電所・PR館のご案内|柳津西山地熱発電所 PR館|東北電力 (tohoku-epco.co.jp)

それからもう一つは福島市の土湯温泉に小型の温泉発電装置…バイナリーの発電装置があって、700世帯分くらいの発電をしています。

土湯温泉では温泉につかった後のお湯を使って、エビを養殖したりですね…。

大楽

エビ⁉

浅沼さん

はい、エビです。観光地ですので、観光客の方が来た時にエビ釣りをしてもらって、お子さんがホテルに持って帰って焼いてもらうとか、なかなか素敵なことをやってるんですよ。

田巻

ユニークですね…!

大楽

エビ釣りに来て、温泉も入って、エビも食べるみたいな。

浅沼さん

あとは地元への貢献として、発電した電力を売って得た収益、高校生の通学のための費用に充てたり、給食のために充てたりするということで。地元にも発電することによって直接メリットが出るようにしてるという非常に工夫がされている取り組みとして知られますね。

田巻

もっと広がってほしいですね!

地熱発電が被災した温泉地に活力もたらす(福島県・土湯温泉) | シリーズNo.14 | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)

大楽

今後、地熱発電のさらなる可能性なんですが、どんなところまで広がるような感じがしますか?

浅沼さん

我が国の地下には大量の地熱資源が存在してるんですけども、時間がかかったり、掘り当てるのが難しいとか、あるいは地域との共生が困難な事例があるなどいろんな事例があるんですけども。

これから脱炭素社会に向けて、ありとあらゆる再生可能エネルギーを導入しなければいけないと思ってるんですよ。その中で、やはり地熱エネルギーっていうのはいろんなメリットがあるのでそれを活かしていきたい。

特に我々が今着目してるのは、これまで我々が熱源だと思っていた「マグマ」。その一番上のところに大量の地熱エネルギーがある可能性があると。そういうことを開発できれば、今まで地熱発電のデメリットだと言われたところを全部解消する可能性があるということで。

ただ非常に難しい問題なんで、今すぐにはできないんですけども、2040年頃に最初の発電所ができるようにということで。「FREA」を含めて、日本の国内の大学や様々な企業と連携して研究開発を行っているということになります。

大楽

地熱発電、まだまだ可能性ありますね!

田巻

本当に!

「福島再生可能エネルギー研究所」地熱研究チーム長 浅沼さんにお話伺いました。ありがとうございました!


FREAについて:「福島再生可能エネルギー研究所」所長 宗像鉄雄さん

大楽

ここで前回に続き再び、産総研「福島再生可能エネルギー研究所」宗像所長にご登場いただきます。

宗像社長、よろしくお願いいたします。

宗像所長

よろしくお願いいたします。

田巻

前回、宗像所長にお話を伺った後、「風力」「地熱」の最先端研究をされる方々にお話を伺いまして。風力も地熱も発展し続けていて、可能性が詰まっているんだなって思いましたよね。

大楽

具体的にいろんなことを教えていただいたので…。今まで、僕たちは風力や地熱に関しては絵でしか見たことがないというか…。それが具体的にこういう取り組みをされてるんだとか、そういった深いところまで分かった気がしますね!

田巻

本当に理解が深まりました!

田巻

宗像所長はなぜこちらの施設に来られたんですか?

宗像所長

私自身、産総研の前身の研究所で「機械技術研究所」というところへ1988年に入所しました。

大学院では機械工学専攻の中で、熱光学・伝熱工学という分野を選択しました。具体的な工業製品では種々のプロセスで熱が使われますけれども、その熱を上手に整理してより良い製品を作るというのが目的です。機械研に入ってからは、最初はヒートポンプ関連技術の研究では再エネというよりは省エネの研究ですけれども、こちらを行いました。こちらはいま「FREA」の中では、例えば地中熱のヒートポンプというところで行なっている研究の一部ということになります。

伝熱 - Wikipedia

その後、太陽電池関係の、特に基板用のインゴットを作るプロセスっていうところで、やはり熱の制御は品質に大きな影響を及ぼすということで、こちらも担当しました。
また、その後「ニューサンシャイン計画」というところで、新エネとかいろんなものを兼務しまして。
そういったものを踏まえてNEDOにも出向してまして、産業技術部というところに。
あと省エネ部門にもに行ったりしてますし。

そういった意味も含めて、種々のエネルギーに関する省エネ・新エネ環境はだいたい概略的なところは知ってるというところもふまえて、私が選ばれたのかなというふうに思います。

再生可能エネルギーの歴史と未来|再生可能エネルギー・新エネルギー|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

大楽

宗像所長はもともとそういったものに興味があったんですか?学生時代であったりとか。

宗像所長

学生時代に選んだのが「伝熱」という熱の移動するところですので。エネルギーには少しは絡んでいたかなというところはあります。

大楽

いつぐらいからそういったことに興味があったんですか?

宗像所長

学生の時に配属されてからですかね。研究室に入ってからということになりますね。

大楽

それまではあんまりそういうものに縁がなかったというか…?

宗像所長

そういうわけではないんですけども、学部の授業の中で伝熱とかを教えてもらいますので。ただ実際に研究っていうのを自分の手でやるというのは、大学に入ってからということになります。

大楽

宗像所長は、伝熱の研究を以前されていて、いまされているのはこの再生可能エネルギーですけど。伝熱を研究されてる時から現在の再生可能エネルギーまでって、繋がって考えてましたか?

宗像所長

その当時にも、太陽熱利用の温水器であるとか、熱利用の太陽熱発電というのもありまして、再生可能エネルギーと熱っていうのは密接に関係してはいました。

ただ日本において太陽熱発電っていうのは、ほとんど太陽の光が弱いというところもあって。実際には実証などしましたけれども、実用化には至っていないという技術になっています。そういった意味で、伝熱は直接的にそこに行くってわけではないんですけれども。

最近ですと、例えば水素などのエネルギーキャリアってすごく表に出てきてますけれども、そういった技術に関しては、燃料電池であるとか水電解装置といったものを使っている。この時の燃料電池の運転する温度というのは、年々高温化してきてまして。これは高効率化を目指す上では絶対必要な技術にはなってるんですね。ですからそういったところで、高温化すること、というのは逆に言えば、やはりそこを冷やさないといけないですね。冷やすためにはやっぱり伝熱っていうところは効いてきますので。

効率的に冷やすといったところで我々の伝熱の専門家がそこに色々携わっていないといけないと。

田巻

福島再生エネルギー研究所のこれからについて教えてください!

宗像所長

世界的にも「カーボンニュートラル」が重要な目標になっていますので。福島県も「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」の中で、2040年に県内のエネルギー需要の100%を再エネで、という目標を掲げています。この目標達成に協力するとともに、県内で再エネに関する産業集積にも協力し、福島県が再エネに関するさきがけの地となり、東日本大震災からの復興に協力したいというふうに考えてございます。

もちろん国内に限らず、世界的にも標準化や認証が必要な技術がありますので、世界各国とも協力を進めていきたいと考えてございます。

福島県再生可能エネルギー推進ビジョン2021~持続可能な社会を目指して~ - 福島県ホームページ (fukushima.lg.jp)

大楽

宗像所長は福島県のご出身ということなんですけど、福島県と描く再生可能エネルギーに関する未来、どんなものをイメージされていますか?

宗像所長

やはり福島県が掲げている目標がありますので、その目標ができるだけ早く実現できると。それによって、再エネというところでこれから先本当に福島県が生き残っていくっていうところを期待したいというふうに思います。

大楽

僕たちも福島出身なんでね。是非そういったものを皆さんに伝えていきたいと思いますので、今後とも是非よろしくお願いいたします!

産総研「福島再生可能エネルギー研究所」所長 宗像さんにお話伺いました。

ありがとうございました!

編集後記

産総研「福島再生可能エネルギー研究所」、通称「FREA」(フレア)。
福島県再生可能エネルギー推進ビジョンでの目標「2040年に県内のエネルギー需要の100%を再エネで」の達成と、東日本大震災からの復興への協力を目指す。

FREAでは「地熱の適正利用」をキーワードに、地下や地熱がある地域の状態に合わせた、安心安全な地熱エネルギー使用の実現のため、日々研究が進められている。目に見えない地下状況をモニタリングする技術や、地域との共生ができるよう計測するシステムを研究している。

地熱発電のメリット:①日本では地下に膨大な熱エネルギーが存在。②純国産エネルギー。③再エネの中でも時間や季節を問わずに発電可能な「ベースロード電源」として活用できる。④CO₂排出が少ない。 これからの脱炭素社会に向けて、まだまだ可能性のある再エネとして開発に期待されている。

当番組で初めて取り上げた地熱発電。福島県の土湯温泉では温泉地熱発電の排熱を二次利用し、エビを養殖、エビ釣りなどの観光事業にも活用しているとのこと。被災した温泉町を復活させるべく立ち上げられた地熱発電事業発電しながら地域との共生を実現する取り組みとしてとても興味深いお話でした。

(HP担当)

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