【石川和男さんと語る”日本のエネルギーの未来を導く福島”】2022年1月1日

大楽

新年あけましておめでとうございます!

田巻

あけましておめでとうございます!

大楽

今年も福島のことをさらに、昨年以上に発信していきたいですね!

田巻

頑張っていきましょう!

前回に引き続き、ゲストは政策アナリスト 石川和男さん、そしてFirstMakerの番組プロデューサー 野中丈太郎さんです!

石川さん、野中さん、どうぞよろしくお願いします!

石川さん

本年もよろしくお願いします!

野中プロデューサー

よろしくお願いします!


野中プロデューサー

2022年、最初のFirstMakerの放送と。賑々しくお届けしてまいりたいと思います!

まず、福島がテーマなんですけども。これまでも色々と話してきましたが、実は福島ではいま世界で一番テーマになっている”再生可能エネルギー”だったり、”持続可能社会”を作っていくための様々な取り組みが福島で行われていてですね。実証実験とか事業開発をする様々な環境が実は福島にあって。

そういう流れの中で、”世界と福島”という観点から見た場合、福島を見ることで世界のエネルギー事情がわかってくるんじゃないかと思っていまして。

日本、そして世界のエネルギーの未来についてお話をさせていただきたいなと思います。多分石川さんが一番得意とされる分野じゃないかと思いますけどね。

エネルギー政策って、安全保障問題そのものじゃないですか。特に去年はコロナに始まりコロナに終わったというところもありますが…。ただそのグローバリゼーションの影響でサプライチェーンの部分、ロジスティックスの部分がコロナの影響で人がいない。荷揚げををする人がいない、荷を積む人がいない、処理する人がいないと…。

サプライチェーン製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れ。供給連鎖。

ロジスティクス原材料調達から生産・販売に至るまでの物流。その過程の流れ。
ロジスティクス - Wikipedia

世界中の港に船が溜まっちゃってて、部品届かない、素材が届かないってことが世界中で起きてるわけですよね。

その中でもやっぱり天然ガスだとか石油の値段も相当乱高下したと。

石川さん

というかもう暴騰ですよね。

野中プロデューサー

近年稀にみる値段の上がり方をしましたよね。

例えばそれは国際情勢、中国と台湾、あるいは中国とフィリピン、シンガポール…というような国々が海洋権益を争って、いま様々な熾烈な争いが行われているじゃないですか。その中で国際情勢が緊迫してくると、当然エネルギーの価格的に影響は出てきて…。

石川さん

もう困っちゃう!

野中プロデューサー

もうほんと日本に入ってこなくなるんですよ。

いかに自前のエネルギーを担保しておくかということがものすごく重要。

石川さん

そう! 

…リスナーの方でね、お生まれになってない方もいらっしゃるかもしれませんが、1973年にオイルショックというのがあって、中東で第四次中東戦争が起きて本当に石油等が来なくなっちゃった時期があったわけですよ。これ石油危機と言って。

【日本のエネルギー、150年の歴史④】2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

その時に、日本もそうだし多くの国が、これはどうも中近東の石油だけに頼っているととんでもないことになるということで、多様化しようと。

まず中東以外から石油を持ってこようというのが一つ。

それから、石油じゃないものとして天然ガスと原子力を使おうというふうに、なんとなく世界でブワーっとなって、そして日本もそうなりましたということで。

日本では原子力をその後推進してきたんです。それでだいぶ石油火力発電所が減ってきて。これは震災の前だけど、2010年以前ですけど、電力源の比率で原子力は25%から30%ぐらいまでで。石油火力は一桁ですよ。そして石炭はね、これは日本の技術でクリーンコールという最先端の技術を用いていて。

震災の前までは原子力、石炭、天然ガスと結構いい塩梅だったんですよ。それが、震災でもって原発がダメだ…となった。じゃあ、原子力はもちろん使うんだけど、再稼働含めてなかなか世論が厳しいなとなったときに、何を入れるんだと。

天然ガスを入れるという選択肢はもちろんあるしやってきたんだけど結構高い。何が高いかというと船賃。これは下がらない。

じゃあ石油をもう一回入れるかというとそれはなかなか難しいんですよ。石油火力発電所がほとんど無くなっちゃってるから。

じゃあ石炭入れるかと。石炭は結構活躍してくれるんですけど、昨今のCO₂がどうのこうのということで、「脱石炭」となって困っちゃうので。

じゃあ他国に頼らないエネルギーってなにかって言うと、国内には地熱と水力があるんだけどこれだけでも足りない。

よって、太陽光とか風力とか、再生可能エネルギーを入れていきましょう、という流れが2011年の震災以降ずっと出てきて。

結構日本は再生可能エネルギー、”再エネ”頑張っていて。太陽光なんて2011年なんて殆どなかったわけ。今や世界第三位ですよ!

野中プロデューサー

三位にまでなったんですか。

石川さん

すごいですよ。中国、アメリカ、日本ですから。発電量が。太陽光は日本すごいんですよ。

風力発電・太陽光パネル イメージ

野中プロデューサー

福島では再生可能エネルギー研究所みたいなところがあって。再生可能エネルギーに関しては世界でもリーダー的なポジションになりつつあるんじゃないかと思って。

令和2年度エネルギーに関する年次報告 (エネルギー白書2021)PDF版|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

石川さん

やっぱり日本政府が相当お金つぎ込んでますから。

ただ野中さん、これ注意しなきゃいかんのが、太陽光パネルひとつとってみても、日本の技術は素晴らしいんですけど、最終的に日本って、他の製品なんかもそうだけど高いんですよね。人件費が。

だから、太陽光パネルなんかは、皆さん見たことあると思います。屋根とかあるいは野建ての広いところに立ってるところを見たことあると思いますが、あれはほとんど中国製。”世界の工場”なんだよね。

野中プロデューサー

原材料のシリコンもね。

石川さん

野中さんも安全保障のことをおっしゃったように、石油・石炭や天然ガスは外国から船で持ってこなきゃならないけど、 仕入れの問題でもしなにかあったら海を封鎖されちゃって来れないと。じゃあ太陽光やろうとなって日本がいっぱい太陽光を入れたら今度は中国からだから。これが「ヤダね」とか言われちゃうと困るわけですよ。なので、太陽光パネルの調達先についても日本国産も含めて、中国以外のところで分散してかなきゃいけないから。

これは実はね、再生エネルギー政策あるいは再生エネルギー産業において隠れた課題だと思っていて。やっぱりね、中国は確かに近いしね、安いですよね。最近は太陽光パネル、中国製でも非常に良いのが出てきてね、確かに世界的にも人気あるんですけれども。過度に一国に集中すると、そっぽ向かれたらアウトですから。その辺のところもきちんと考えてこれからやっていかないといけない。

野中プロデューサー

そういうことですね。


野中プロデューサー

もう去年は、特にコロナの話題ばっかりだった中でですよ。環境問題、「COP26」が開催された。それは随分メディアでも取り上げられた気がするんですけどね。

COP26閉幕:「決定的な10年間」の最初のCOPで何が決まったのか? |研究コラム|国立環境研究所 社会システム領域 (nies.go.jp)

COP26の成果文書「グラスゴー気候合意」要旨: 日本経済新聞 (nikkei.com)

脱炭素社会」…「ゼロ・エミッション」とかいろんな見方がありますが。とにかく国際的にはそういった部分が強くなっていて。だから COP 26で出された指針をやろうとするとえらい苦労するわけですよね。

ゼロ・エミッション – Wikipedia

ところがね、日本は世界的に比べてどのくらい排出してるかと言うと、もうほとんどが乾いた雑巾を絞るぐらいに絞り切っちゃっていて、もうこれ以上削れないぞというくらいまで削ってきてるんですよね。

石川さん

これはどういうことかというと、一つの指標としてあるのは、省エネ率…エネルギー消費効率っていうのがあるんだけど、一つのエネルギーを生み出すのにどのぐらい CO₂ 出しますかという、そういう指標があるんですけど。日本って世界で一位二位をイギリスと争ってるんです。

野中プロデューサー

優秀ですよね。

石川さん

2019年現在の公式データだと日本は第二位、イギリスが一位なんですよ。2020年にどうなったかはちょっとわかりませんが、日本はトップクラスで、どうしても乾いたタオルで絞っても出てきはしないと。

野中プロデューサー

そうなんですよね。

一方で隣の中国さんとかは世界的にも爆発的に排出している訳ですよ。

石川さん

野中さんおっしゃるように、日本のクリーンコール、綺麗な石炭技術…これはドイツも持ってるんですけど…本当はそういった技術を、中国とかインドとか、あるいはこれから石炭が増えると思われる東南アジアといった国々にどんどん供与するようにやっていかないと。

クリーン・コール・テクノロジー推進事業 | NEDO

東南アジアにしても中国にしてもなんにしてもエネルギーがないんですよ、使えるものが。だから中国とインドはやらないとは決して言わないの。だって困っちゃうじゃん。そういう時に日本の技術、ドイツの技術がどんどん行けばいいと思うんですけども、そうはならずに「石炭止めてしまえ」的なね。

野中プロデューサー

それが僕本当に不思議でしょうがないんですよ。

ちょっとこの話を福島に戻しますと、福島は原発の再稼働はないわけですから、昨今問題になっている再生可能エネルギー、水素を含めた様々な再エネ技術、太陽光・風力・水力だけじゃなくて地熱などいろいろあるんですけど。

そういったものをまさにベストミックスするって、どういう風にあるべきなのかなってことを、モデルケースとして福島がつくっていこうとしてるんじゃないかなと。

やっぱり少なくとも火力プラス再生可能エネルギーのベストミックスとはどうなるのかなっていうのは。福島ではいっぱい再生可能エネルギーを集中してやっているわけで。開発もしてるし研究もしてるし。そこが何か見えてくる回なんてのがあったら面白いなと思って。

石川さん

再エネを増やすには、正確に言うと再生エネルギーを安定的に増やすには…。

なぜ”安定的に”と言うかというと、太陽光と風力ってのは天候でぶれちゃうんですよね。夜なんかは太陽光発電しないでしょ?夜は月光だからね。「月光発電」じゃなくて太陽光発電だから。

風力発電 イメージ

風力だってそうで、風っていいときはいいんだけどダメなときはダメで。日本の場合は、ヨーロッパと違って台風が来るんですよね。いろんな気象条件があって、そういう風に太陽光・風力を進めるときはぶれちゃうんですよ、出力が。

すると、我々が住んでいる、今生きている環境の中で電気がゆらゆらしちゃうわけ、それをやってると。電気がゆらゆらしないために、一定の明かりがずっとついている状況を保つには、太陽光や風力がぶれる部分を火力で埋めなきゃいけない。

だから野中さん、どういったものがベストミックスかっておっしゃったじゃないですか。原子力は厳しいのでちょっと除外して。再生エネルギーをどう増やすかってなった時の一つ目というのは、再エネをやっていく時の不安定性を火力で埋めるということでのベストミックスね。

そうなると再エネは、もとは不安定なんだけど、火力ときちんとベストミックスさせていけば安定供給になるじゃん!と、これがひとつと。

あともうひとつは、これも福島で研究投資がなされると思うんですけど、「蓄電池」といって。

ぶれて、気象状況によっては作りすぎることもあるんですよ、太陽光とかって。だから今は捨ててる部分があるんですよ、太陽光発電。沢山入れると困っちゃうの。電力ネットワークがぱちんとはじけちゃうの、停電起きちゃう。もう入れないで、やめてといった感じで捨てちゃうの、アースで。でもなんかもったいないじゃん。これは、電線に流せないんだったら溜めればいいじゃんみたいな形で。

蓄電池っていうのはこれからおそらく日本も含めて世界で大きな産業になっていくと思います。理由はね、そういう再生エネルギーを溜めるっていうのと。もう一つはね、EV。電気自動車ってバッテリーでしょ?バッテリーって蓄電池だからね。だからEV は今後ガソリン車に取って代わられていくってたぶんなると思うんです、長期的にね。といった時には、これを軽量化してって運べるぐらいの軽さにまでする技術。

再エネをバッテリーみたいなところに溜めて、そのバッテリーでもって、例えば各家庭に供給すればそこで電気つけれるよねいう世の中が、遠い将来を見据えて、この二つだと思いますよね。 


野中プロデューサー

福島が、未来のエネルギー政策のショールームみたいになるといいなと思ってるんですよね。今、実例がたくさん見れる、ここに来れば見れますよと。

例えば福島水素エネルギー研究フィールドひとつとってもそうですけどね。世界でも最先端の様々な技術が福島にたくさん存在しているし、そこから新しい未来のエネルギー社会の形ってのがおぼろげながらにみえてくるんじゃないかと。

石川さん

そうですね、せっかくなんでもう一つ言いますと。廃炉ってあるでしょう。

日本で初めて…いや世界で初めてですよ、津波でやられたという点では初めてなんですけど。そこに行くと分かるんですけどね、僕が行った時には、1日延べ3000人いるんですよ。日本で今最多人数を抱える…今や工場。だから人が要るということですよ。

石川和男さん 福島第一原子力発電所での現地視察( 2019年12月)

廃炉という、ある意味津波による事故の後処理があるんだけど、それもすごい技術が必要なので。逆手にとって、そういう事故炉の処理技術がそこで集積されるんですよね。

野中プロデューサー

事故炉に限らず、これから先世界中の原子炉が老朽化していって、廃炉せざるを得なくなってくる時に、日本が獲得した、福島があったがゆえに図らずも獲得してしまった、この技術の集積はおそらく将来非常に大きな価値を持つんじゃないかと。

石川さん

つまり輸出なんですよ。廃炉技術の輸出で日本人が活躍する、ないしは日本の廃炉会社が外国に誘致されて、それで日本に外貨が入っていくってこと。簡単に言うと日本が儲けるということよ。そのためにも、この廃炉技術というのは非常に需要なものだと思いますね。

野中プロデューサー

本当にそういう意味では、エネルギーという一つのテーマで見ただけでも、福島には大きなポテンシャルがあるなと日々思っているんですけども。

これからもこの番組では、福島県内、あるいは地域で未来に向けて活動してらっしゃる技術者の方、あるいは起業家の方やもちろん一般の方も含めて、その活動の内容をぜひいろんな方に知って頂きたいと思いますので。

引き続き番組でもいろんな方々をお呼びしてお話を伺っていきたいなって思っております。

石川さんにもぜひ、また機会あるごとに節目節目でお呼びしたいと思います。

石川さん

呼んでいただければ!

野中プロデューサー

知見のレベルが違うんですよね、石川さんは。いろんな方の話を聞いていても、マクロとミクロの両方を併せ持ってエネルギー問題を話していただけるので。非常に勉強になりました。

石川さん

ありがとうございます。


大楽

二週に渡って、いろんなお話をお伺いしました!

野中プロデューサー

収録では四週分くらい話しちゃったかもしれないね(笑)

政策アナリスト 石川和男さん、そして番組プロデューサー 野中丈太郎さんをお迎えしました。

ありがとうございました!

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