【石川和男さんと語る”福島の復興と廃炉”】2021年12月25日放送分

田巻

年末も押し迫っていますが…今週と来週はちょっとスペシャルにお届けしていきます!

大楽

年末年始をまたいで、FirstMakerならではのテーマでお送りしたいと思います!ここからはこの方たちにトークをお渡します。

政策アナリスト 石川和男さん、そしてFirstMakerの番組プロデューサー 野中丈太郎さんです!

石川さん、野中さん、どうぞよろしくお願いします!

石川さん

よろしくお願いします!

野中プロデューサー

よろしくお願いします!


野中プロデューサー

この番組は、実は今回の放送が2021年最後の放送となるわけなんですが…。改めてここで、この番組についてちょっとお話をさせていただきたいなと思ったんですけど。

実は今日ゲストでお越しいただいている石川和男さんは、この番組の立ち上げに多大なる貢献をしていただいたと。

そもそも、実は石川さんから、福島で今どんなことが起きてるのかっていうことをいろいろと伺いましてね。中でも福島はやはりエネルギーで被災した地域なので、エネルギーで復興させようという国の政策を進めていて。”福島新エネ社会構想”であるとか、”イノベーションコースト”等、様々なプロジェクトが実は国も支援する形で進行してるんですけど。

福島新エネ社会構想について|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

福島イノベーション・コースト構想 (fipo.or.jp)

もうその中身の話を聞いてみたらですね、本当に世界最先端といってもいいような再生可能エネルギーだとか様々な技術開発が福島で行われていて!

こんなに福島がエキサイティングで面白い状態になってるんだと。でもほとんどそのことはあんまり知られてないんじゃないかなと。

この番組のミッションとしては、福島の復興の現在はどうなってるのかってことと、もうひとつ福島県内を拠点にものづくりとか再生可能エネルギーなどの最先端技術の開発に取り組んでいる企業だったり人だったりをゲストにお招きし、その現状を幅広く知っていただくということを目的でこの番組スタートしたんですけれども。 

福島は10年経ちましたけれども、これから今後復興についてさらに国が出してる方針、プラスアルファで何ができるのかなってことをこの番組でもちょっと考えていきたいなと思ってるんですけども。

石川さん

福島って言うと、やっぱり2011年の震災、地震があって津波が来て原発事故が起きてしまって…そして避難民の方が未だにいますって言ったら、そういう暗い話題にどうしてもなりがちで。報道の場合はそういった悲しく暗い部分に焦点が当たってしまうのは仕方ないんですけども。

いま野中さんから説明していただいたことの中に、復興という名目での”イノベーションコースト構想”だったり”水素社会”だったり、そのための拠点あるいは研究開発をしようというのは、実は福島で多分に行われていて。

確かに原発事故で不幸な目に遭ったけれども、いやいや不幸なことばかりに焦点を当てないで将来に向けて頑張りましょうと。それを一つの材料として、じゃあこの際だからって、福島に不幸が起こる前よりもドカーンともっと高くジャンプできるようにやりましょうみたいな、ある種のノリっていうのがあって。

かつ福島の地元の人も、確かに避難された方はたくさんいたんだけれども、乗ってくれたという事なのね。だから国と福島の地元の人が上手いことタイアップしてやっているので、こういうところの研究開発だの技術開発だのっていうところがおそらく将来必ず日の目を見ると思うので、楽しみではありますよ。すごく楽しみ。

野中プロデューサー

なるほどね。

福島の復興を考える上でどうしても避けて通れない問題としては、やはり廃炉の問題がありますし、これはもうスケジュール通りに進むとしても何十年もかかりますというもので、壮大な国家プロジェクトな訳じゃないですか。

廃炉というプロセスの中でも、実は一丁目一番地に近いぐらい重要なのは、実は処理水の問題ですね。

廃炉・汚染水・処理水対策ポータルサイト (METI/経済産業省)

この番組がスタートするきっかけは、この処理水の現実を知ってもらって、風評被害を防ぐっていう部分もあるんですけど。やっぱり事実を知ってもらうことが重要じゃないかなと思ってるんです。
そういった意味でも、この番組でもいずれ現地を取材させていただいて、その実態をまた皆さんにお伝えしたいなと思ってるんですけども。

いわゆる我々が媒体で聞いている「処理水問題」ですね。海洋放出問題というのは、ちゃんと説明する必要があるかなと思って。まだこの番組でもこれまで具体的にどういうふうに処理されてるのかとかは話したことないんですけども。そのあたり、そもそもこの処理水問題について理解を深めるためお聞きしたいですね。

石川和男さん 福島第一原子力発電所での現地視察( 2019年12月)

石川さん

福島第一原子力発電所は、まず地震があったんですよ。震度7ぐらいの激震、烈震があったんだけどね、あれでなにも起こらなかったんですよ。緊急停止しただけで、ちゃんと止まった訳よ。良かったなぁと思っていたら今度は津波が来てしまった。

原発が止まること、それはそれで良いんだけど…原子力発電所って核燃料なんですよ。これは冷やしておかなきゃいけないんですよ、発電していても停止していても。冷やすための電源、「冷却電源」ってのがあるんだけど、この冷却電源のところに津波が来ちゃって。それで冷却できなくなって、熱くなってブクブクブクブクいって、それで水素爆発。

…なんですけれども、その時に原子力発電所の燃料が、本当は原子炉の中にきちんと入ってないといけないんだけど、ボカンといっちゃったもんだから、原子炉の中の下に落ちちゃったわけ。それだけだったらいいんだけれども、地下水が流れて核燃料に接すると汚染されるんですよ。だから皆さん「汚染水」って聞いたことあると思うんですよね、こっちの言葉の方が流行っちゃったんだけど…。この汚染水をそのまま海に流しちゃうと困るんですよ。ちょっとやばいこれは。あまりにも毒素が強いんで。

なので、これを毒素を除去して基準値をクリアするぐらいに綺麗にして流すきれいにするための処理をした水、だから処理水なんです。この処理水を海に流すことは全然問題ないんです。なので流そうとしていたんですけれども。

主な取組 (METI/経済産業省)

やっぱり野中さんね、ああいった事故を起こしてね、現地の人だって嫌ですよね。なにそれ、汚染水がひどくて処理したとか言ったって本当に大丈夫あなた?みたいな話になっちゃって。ずっと流そうと思ってたけど流せない状態が今の今までずっと続いちゃってて。

それで皆さん見たことあると思いますけど、福島第一原発を見るとタンクがすごくいっぱいあるわけよ。

野中プロデューサー

一時保管ですよね。

石川さん

そう、一時保管。いずれ海に流さなきゃいかん。なぜ海に流せるかと言うと、世の中の事故っていない原子力発電所は全て、原発事業をするとそこに放射性物質があるもんだから多少の放射性物質は含まれるんですよね。でも、それをみんな川とか海に捨ててるわけです。

そういう意味では世界各国どの原発も、日本の原発も全部処理水はやっぱり流してるんですよ。

なのでそっちが OK なのに何で福島第一原発だけだめなの?っていうところが、心の問題があるんでしょうと。

というところでいまストップしてるんだけど、ようやく色々あってようやく日本政府と東京電力が決心をして、2023年の春頃にきちんとした処理水にして流しましょうというふうに決断をしたのが今年の春。

野中プロデューサー

汚染水って、さきほどおっしゃった地下水。これって雨水とかいろんなものが、山とかに吸い込まれたものが全部もとになってるじゃないですか。福島の第一原発のところでは、雨水が入ってこないようにとか、地下水を溜めるための土の壁を一面に作って、そこを凍らせて、一切外からも水が入ってこないようにするとか。

要するに地表から水が染み込まないように、汚染水を作ることができないようにっていう努力も、相当いろんな技術を使ってやってらっしゃると。

石川さん

そうです。おっしゃる通り。

地下水は絶対流れちゃうので、これを止めるために「氷土壁」といって氷の壁よ、すごい分厚いやつをを作っちゃって、今はそれで地下水が流れないようになってるんですけど。

汚染水対策 (METI/経済産業省)

溶け落ちた燃料ってのは「デブリ」という言い方をするんですけど、これって核、核燃料だから熱くなっちゃう。冷やさないといけないんで水はかけてるんです。水をかけてるから必ず汚染水は発生するんです。今も発生してます。これはものすごく大変な毒素がいっぱいあるんですけれども、これは処理するための装置があって。

「ALPS」(アルプス)という機械があるんですけど、多核種除去設備って言って。小難しいんですけど、多くの核の種類を除去して処理する…これをALPS処理と言います。

ALPS処理水の処分 (METI/経済産業省)

その処理をした水だから「ALPS処理水」。ところが、処理して良かったじゃんってならないんですよ。最後にね、トリチウムってのだけは絶対残っちゃうんです。これは、実は自然界にあるものなんですよ。

野中プロデューサー

そもそもトリチウムってなんなのっていう話ですね。

石川さん

トリチウムというのは三重水素と言って、水の中とかにあるわけ。例えば水道で水を飲んでますよね。あの中にトリチウムって必ずあるんですね。これは全部除去できない。そしてする必要がないと。あんまり濃度が高いのは駄目ですよ、放射性物質だから。だけどある程度の濃度以下にしちゃったらどうってことはない。

ちなみにトリチウムっていうのは毎日毎日我々浴びてるんですよ。太陽から。なのでそれ自体はそんなに怖いものではないんですけど。

でも、やっぱりね、特に福島の地元の方とか政治家の方と話をする機会があるんですけれども、その時によく言われるのは、いやいや科学的に大丈夫なのは頭ではわかってるんだけれども、しかし…なんか事故った…?原子炉の…?そこからきたのは嫌だね、と。

石川和男さん 福島第一原子力発電所での現地視察( 2019年12月)

野中プロデューサー

やはり福島は世界的にも有名になってしまった事故なわけですね。事故として有名になってしまった上に、潜在的にイメージが悪くて。世界的にもやっぱり福島から水を出すって言った瞬間にいろんな方が反応したんですけど。

ここに対してきちんと客観的に調査・監視をしようってことで、IAEAが第三者機関としてモニタリングを実施してですね。世界中のいろんな国の方々から問い合わせが来ても全然大丈夫なように科学的エビデンス(証拠)を全部整えていると。IAEA的には、ALPS処理水は国際的な基準から見ても全く問題ないって確認されてるんですか。

石川さん

もうね、問題ないどころかIAEAの定める基準に対して、実際に出す時には何十分の1かぐらいに下げちゃうんですよ。日本ってやっぱそこから真面目なんですよね。

国際原子力機関(IAEA) | 国連広報センター (unic.or.jp)

だからそういうことでいま野中さんがおっしゃったIAEAという、国際原子力機関といって、国連の関係の国際機関なんですけども。日本は非常に透明性を重視して、世界の国際機関、各国に本当に情報開示しながらやってきたので、科学的には全然問題ない。

だからその心情的に嫌だっていうことは分かるんですけれども、そこは政治家とかそういう行政がきちんと説明をし説得をしてなだめながら。
あともし仮に、これ科学的に問題ない処理水ではあるんですけれどもやっぱり風評というものはどうしても拭えないきらいがあると。

処理水を流したら、例えばですよ、あんまり想定できないけど漁獲高が減っちゃったりとか、あるいは売った魚が売れないとか、無いと思うけど仮にそういうことがあったらこれって風評被害になっちゃうんで、それに対しては日本政府あるいは東京電力がきちんと賠償という形でやるという計画もちゃんと立てているので。そういう点で言うと、ほとんど心配はないというのが実情なんですよね。

そこを政府や東京電力の立場として考えれば、きちんとしつこいぐらい丁寧に丁寧に。

廃炉プロジェクト|福島への責任|東京電力ホールディングス株式会社 (tepco.co.jp)

野中プロデューサー

それしかないでしょうね。

石川さん

それしかないと思う。これは本当にね、科学的に、1+1=2とかそんな簡単なものじゃなくて、一度昂った気持ちってなかなか抑えられない。

野中プロデューサー

なかなか難しいですね。

石川さん

反対してる人も急にね、いや科学的に正しいから俺やっぱり賛成するって言えないじゃないですか。

野中プロデューサー

そうなんですよね。

石川さん

そこのプロセス。だから2023年というのは時間はかかるんだけども、今からまたそういうことをやっていいんじゃないかなと思います。

野中プロデューサー

もうこれ以上は場所もないし物理的に無理なんですよね。必ずこれはやらなきゃいけないしそれをやらないと廃炉が進まないわけですよ。廃炉を進めるための一番重要な最低条件

石川さん

最低限の。

野中プロデューサー

そのためにこれは幅広く、日本国内、海外の方々に対しても心配を払拭するようなネット力は今まで以上に必要だと思うんですけど。

いまIAEAなどが発表しているデータを見せられてもね。そうなのかと、いろいろ説明を受けても、まあそうなんでしょうねってぐらいで、あまり感情的なところは修復されないまま来てしまってるので。

これが2023年というロードマップが出てる以上、やっぱり我々も含めてこの処理水のことをいかに理解をしてもらうか。少なくとも世界的な標準のレベルからはるかに低いレベルのものを処理して出そうとしてるわけなので。

石川さん

それでも安心してもらう一つの材料として、比較だと思うんですよ。

いや外国はこうですと、あるいは日本の他の原子力発電所はこうですと。そして全然何の被害も起きていません。実際何の被害も起きてないんですよ。

だからそういうところと比較して、数値が低いから大丈夫ですって言うのは、ひとつの説得材料ではあると思いますね。

野中プロデューサー

この問題に関して言うと、いろんな角度からの見方があると思いますが、安心してもらうための情報伝達というのはすごく重要になってくると思いますね。

石川さん

二年後って言ったって、これ結構目の前なんですよ。あっという間に来ちゃうので、政府あるいは東京電力、地元の福島県の、流そうと決意してくださった方々のご協力をいただきながら。

なかなか全員の賛成が得られるものって無いんですね、他の政策を見たって。多少の反対があったっていいと僕は思います。緊張するから。しかし本件については、それでもやっぱり流しますということで、渋々納得してもらうぐらいのプロセスなんじゃないかなと。

野中プロデューサー

とにかく福島の復興のためには、これはもう避けて通ることができないことですので。全国の皆さんが安心できるような体制を。体制は出来ているんですけど…。

石川和男さん 福島第一原子力発電所での現地視察( 2019年12月)

石川さん

ひとつね、野中さん。なぜ2023年かというと、実はいま福島第一原発に溜まっているタンクの中の半分以上はまた毒素を除去しきれていないんですよ。

最終的に毒素を除去するための二次処理、それを作るのに1年ぐらいかかる。簡単に言うとフィルターですよ。そのフィルターを通して最後にきれいな水になるので、その機械を作るのにだいたい1年から1年ちょっとぐらいかかって…というスケジュール感。

野中プロデューサー

つまり既存のALPSで処理したものをもう1回処理すると。

石川さん

もう一回やるんです。念のためもう一回というのと、処理しきれてない部分が確かにあるので、それをちゃんとやりましょうという話です。

野中プロデューサー

この話は尽きないんですけども、やっぱりこの福島の復興を語る上では避けて通ることのできないテーマなんでね。


田巻

今回、処理水について本当に理解が深まりました。

政策アナリスト 石川和男さん、そしてFirstMaker 番組プロデューサー 野中丈太郎さんにお話を伺いました。

編集後記

エネルギーにより被災した福島。エネルギーで復興するべく、 ”福島新エネ社会構想”や”イノベーションコースト”等、国も支援する形でプロジェクトが進行している。地元の方々の協力を得ながら、よりよい将来のために最先端の技術開発が実践されているからこそ、福島はエキサイティングで面白い!

福島の復興と廃炉。廃炉において最も重要である処理水の放出を行うにあたり、国際的な基準をクリアするためにいろんな技術力を駆使している。例えば、汚染水が作られないように、地下水の流入を防ぎ留める「氷土壁」や、多核種除去設備を用いて汚染水から放射性物質を取り除いた「ALPS処理水」など。

福島復興において避けては通ることのできないテーマである”廃炉”。科学的根拠に基づいた正しい情報を丁寧に発信し続けることで、風評被害を防ぎ、理解を得ながら廃炉作業を進めていく。

震災から10年。復興を超えて、震災前より一層明るい未来を実現すべく、福島では様々な試みが実践されています。
センシティブな問題と捉えがちな”廃炉”や”処理水”に関して、正しい情報を常に得ていくことが復興において重要だと改めて感じました。

(HP担当)

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