ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2021 (robotfesta-fukushima.jp)

大楽
今週も次世代に向けて注目される二つの団体をご紹介していきます。
突撃取材、早速行ってみましょう!
アバターロボット技術で”身体のアップグレード”を目指す
:株式会社メルティン MMI
大楽
ロボット部門のブースにやってきました!
こちらは株式会社メルティン MMI さんになります。
お話を伺うのが、代表取締役 粕谷 昌宏さんです。よろしくお願いします!
粕谷さん
よろしくお願いします!

大楽
株式会社メルティン MMI ですが、2013年創業ということで。
東京都に本社があって、福島県南相馬市に開発拠点を構えるということですよね。
粕谷さん
そうですね。
大楽
生体信号、そしてロボット技術を利用したサイボーグ事業を行うベンチャー企業ということで。
2018年にコンセプトモデルとなるアバターロボット「MELTANT-α」(メルタント-アルファ)。
そして2020年に、実証実験機ということで「MELTANT-β」(メルタント-ベータ)を発表されたんですよね。
コンセプトモデルと実証実験機ってどこが違うんですか?
粕谷さん
僕たちはワイヤー駆動技術の方を特徴としておりまして、コンセプトモデルの方はそういった内部のメカが見えるようなモデルになってると。逆に、中のメカが見えるということは粉塵が舞ったりすると結構弱いんですね。
なのでそういった部分を全部カバーして、実際のフィールドにも入れるようにしたのが実証実験機「MELTANT-β」という位置づけになっています。
大楽
実践的なものがβなんですね。
経済産業省によるスタートアップ支援プログラムの 「J-Startup」の認定企業ということですよね。これはどういった形なんでしょうか?
粕谷さん
こちらは、国としてスタートアップが例えばユニコーン企業となっていくという…今それによって日本の今後の経済を支えていったりするまでに。
そういった有望な企業を選出いただいて、その中にも入れていただくことができたということですね。
大楽
実はですね、昨年の「ロボット・航空宇宙フェスタ」で、初めてメルティン MMI さんのアバターロボットを僕たちも拝見したんですけど…!
実際に手の操作を見た時に…もう面白くて!何回も来ちゃったんだよね!
田巻
来ちゃいましたよね。本当にまるで本当の人の手のような動きでしたよね。
大楽
これは生体信号なんですよね?
粕谷さん
実は「MELTANT」は生体信号ではないんです。
「MELTANT」は人の動きを計測して動かすというところで、生体信号を使ってるのは医療機器の事業の方になりますね。
ただ、将来的には生体信号とも統合して、体を動かさなくてもこのアバターロボットが動くというところに向かうというのが最終的なビジョンですね。
大楽
もともとなんでこの生体信号に着目したんですか?
粕谷さん
僕自身、身体をアップグレードしたいっていう思いがありまして。
自分にないような身体を動かすにはどうしたらいいんだろうって考えた時に、例えばテレビゲームのコントローラーみたいなものを使いましょうってなったら、10本の指で操作できる以上のことはできない訳ですね。
そこを、じゃあそれ以上のことをやろうとした時にどうしようかってなった時に、「なるほど、考えただけで動けばいいんだ。」って思って。
それで、「考えただけ」ってどういうことだろう…っていろいろ技術的に突き詰めていた時に、生体信号かなっていうところに行きついたと。
大楽
それっていつぐらいに思ったんですか…?
粕谷さん
生体信号まで行き着いたのは…中学生ぐらいですかね。
大楽
中学生で!
そして今回、生体信号そして AI ロボットを一つにして、それをリハビリの方で活用したいということだったんですけど。これは具体的にはどういった内容なんですか?
粕谷さん
ターゲットにしているのは脳卒中の方なんですけども。
脳卒中になると身体がうまく動かない、自分の意思通り動かないというところがありまして。一方で僕たちの生体信号の技術を使うと、その人がどういうふうに体を動かしたいかを抽出することができるんですね。なのでそれによって、自分の思った通り身体は動かないんだけれども、ロボットの方が逆にそれを感知してくれて、自分が動きたいようにロボットがアシストしてくれると。
田巻
ということは…寝たきりの方が働いたりとか、生活のお手伝いをしてくれるっていうことですね。
粕谷さん
そうですね。
僕もいろんな方と、実際に障害を持った方々とやり取りをする中で、やっぱり自主的に生活することができてるかってところは結構重要で。
自分の力で自分のやりたいように自分のペースで生活する、仕事をすることは非常に重要だと思ってるので。そういう意味で生体信号を使って、自分の意思で全部やるんだというところの未来を僕としては作りたいなと思ってますね。
大楽
これって具体的にはどのぐらい先の未来なんですか?
粕谷さん
最終的には、本当に寝たきりだろうがなんだろうが、好きなことを満足にできますみたいな形になるのはおそらく2040年ぐらいかなと思っています。
若干何十年かはあるんですが、それまでにいろんな医療機器とかアバターロボットを出しながら、企業としても成長していければなと思っています。
大楽
これから少子化というか、人口がだんだん少なくなっていくなかで、介護に人を割くってところは難しくなってくると思うんですよね。そういう部分においてこういうロボットって本当にいいですよね。
田巻
需要がありますよね。
最後に、メルティンMMIさんが福島と描く未来を教えてください!
粕谷さん
福島のロボットテストフィールドの方にも、産業創造センターというところにも入居させていただいてるんですけども。
特にアバターの方で、危険な環境で働くっていうことを考えておりまして。例えば廃炉の事業であるとか、いろんな産業およびテストフィールドのような試す場があります。
現場と密に連携をしなければ僕はいいものが作れないと思ってますので。そこで是非とも福島をベースとして、危険な場所の労働を解決するアバターというソリューションを作っていきたいなというふうに考えています。
大楽
すごく日本の未来って明るいんだね…!
田巻
すごくて、壮大すぎて、テレビとか映画の世界が本当に現実に起こるんだなって思いました。
お話を伺いしました、株式会社メルティン MMI 代表取締役 粕谷昌宏さんでした。
ありがとうございました!

空飛ぶ車やドローン…次世代航空分野の先進地へ: ふくしま次世代航空戦略推進協議会
田巻
航空宇宙部門のブースにやってきました!
ふくしま次世代航空戦略推進協議会 事務局 高橋さんです。よろしくお願いします!
高橋さん
よろしくお願いします。
田巻
こちらはどんな取り組みをされている団体なんですか?
高橋さん
我々、福島次世代航空戦略推進協議会は福島県を拠点にしまして、空飛ぶ車やドローンなどの次世代航空産業の研究開発に取り組む民間企業が集まった団体になってまして。
学生等の人材育成とか、実証実験の充実などを民間主導で進めていくと、福島県を次世代航空分野の先進地にさせることを目的として設立いたしました。
ふくしま次世代航空戦略推進協議会(FAS) (fukushima-aviation.com)
田巻
ちなみに何社くらいが集まっているんですか?
高橋さん
まず設立段階では、主だって5社。
イームズロボティクス様、スペースエンターテインメントラボラトリー様、SkyDrive(スカイドライブ)様、パスファインダー様、そして当社テララボが中心となり設立をいたしました。
大楽
過去に当番組、FirstMakerにゲストで出演していただいた企業もありますよね!
田巻
聞きなじみのある企業でびっくりしました!
なぜこのような団体を作ろうと思ったんですか?
高橋さん
我々、特徴がある5社になってまして。
無人の回転翼のドローンを作られているイームズロボティクス様とか。
イームズロボティクス株式会社/トップページ (eams-robo.co.jp)
固定翼では我々テララボであり、スペースエンターテインメントラボラトリー様、この二社は普通の一般的な固定翼型のドローンですけれども。
スペースエンターテインメントラボラトリー様は水上から離発着できるという特殊なドローンを開発していますし。
Space Entertainment Laboratory (selab.jp)
SkyDrive様は空飛ぶクルマですね、完全に人が乗るということを想定した空飛ぶクルマの開発をしてらっしゃる会社です。
空飛ぶクルマ -株式会社SkyDrive(スカイドライブ)- (skydrive2020.com)
またパスファインダー様は、皆様ご存知かもしれませんけれども、エアレースパイロットの室屋義秀さんが代表を務められている会社様ですので。
Company - 空の総合カンパニー - PATHFINDER(パスファインダー) (path-finder.co.jp)
無人機の会社と有人機の会社と、これらが手を取り合って福島から日本全国に向けて航空産業をより活性化していきたいという思いで発足いたしました。
大楽
いつくらいから設立したんですか?
高橋さん
実は空の日である、今年の9月20日に設立総会を行いまして、その日を設立としております。
大楽
3ヶ月ぐらい前なんですね!
田巻
福島で航空宇宙分野を研究する魅力だったり、メリットを教えてください!
高橋さん
我々は主に福島県浜通りという地域で活動しているところなんですけども、そこには「福島ロボットテストフィールド」と言って国内で唯一のロボット総合研究施設というものがあります。
我々はその施設をフル活用いたしまして。滑走路もあり、試験用のトンネルとか、土砂災害現場の想定された崩落フィールドであったりと様々な複合的な施設がありまして。そこでロボットを使った様々な試験とか、研究開発とかができるようになってるんですね。
ロボットフィールドは南相馬市というところにあるんですけども、南相馬市はいま”ロボットの街”というものを目指しております。
あの辺りは、ご存知だと思いますけども、東日本大震災、大きな津波によって非常に大きな災害に遭った場所になります。その場所に我々は新たに産業を興したいということで。
そこに我々が集結し試験を行っていくということを、実は自治体も含めて地元の皆様方に非常にあたたかい理解をいただけると…そういったところが非常にやりやすいフィールドになっているところはありますね。
田巻
福島ロボットテストフィールドは、陸・海・空の試験場があって、世界でもに類を見ない場所って言われてるんですよね。そういった魅力がもっともっと発信されたら、地元で働きたいっていう雇用が増えるのかなって思います。
高橋さん
本当にそうだと思います。

大楽
そして福島県浜通りは、最近のニュースで国際教育研究拠点としての取り組みを行うということが発表されましたよね。
震災10年半 整備検討進む 浜通りから新産業創出 復興へ「国際教育研究拠点」 : ニュース : 福島 : 地域 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
ここで世界最先端の研究をして、先ほど高橋さんがおっしゃってたように人材の育成、そして産業の創出をするということがテーマになっています。
一緒に協力し合っていくというかたちなんでしょうか?
高橋さん
そうですね。福島県は「Real Sky(リアルスカイ)プロジェクト」、実際にレース機の機体を用いて、学生さんを本当の飛行機を作って本当に飛行機を飛ばすということを実現していくという取り組みをされていらっしゃいます。
レース機パーツ開発「Real Sky(リアルスカイ)プロジェクト」始動 - 空の総合カンパニー - PATHFINDER(パスファインダー) (path-finder.co.jp)
田巻
すごい!
大楽
学ぶってことがイコール形にしていくってことですよね。そしてその先にはビジネスがあるということですよね。すごいなぁ…!
ちなみに、ふくしま次世代航空戦略推進協議会において、今後予定されている事業についてオンラインでの説明会などがあるんですか?
高橋さん
おかげさまでいろいろなところから入会したいというようなご相談などお問い合わせが入ってるところにありますので、近々、オンライン説明会を随時開催していく予定ではあります。
その中では会の趣旨だとか、これからの活動計画だとかお話しさせて頂きながら、どのような形で入会をしていただき、入会していただいた方に対してどういう活動を期待しているかといったお話をさせていただく予定をしています。
協議会のホームページを立ち上げておりますので、そちらで随時情報を発信していきます。
大楽
ふくしま次世代航空戦略推進協議会の目指す姿を教えていただけますか?
高橋さん
我々は次世代航空を研究・開発してきているという会社が集まってはいるんですけども、それを産業化していきたいと、そこに一番強い思いがあります。
すごく技術を持った会社が、すごく国内にたくさんあるのに、それを事業化ができない、産業化ができないのはなんでだろうかと。そういうところにすごく課題を抱えていまして。
より航空産業っていうのを発展させていくということを目的とした場合に、県や国に対して、こういった形でこういう新しい産業となっていきたいということを発信していき、そこを国の方から支援していただくといった形で、新しい次世代産業として航空宇宙業界というものを盛り上げていきたいなと考えています。
それが盛り上がっていくことによって、そこには人材が必要としてくると。すると県内で学ばれた学生さんが県内で新しい企業に就職をし、産業が活性化し、もしかしたら地方から出て行ってしまった元学生さんとかが U ターンして来られて、地元の産業を活性化していくだとか。そういったかたちのサイクルにつなげられたらいいなという思いを非常に持っております。
田巻
最後に、高橋さんから見た航空宇宙の魅力とはなんでしょうか?
高橋さん
「ドローン」という言葉で長らく語られているんですけれども、空という領域はまだ自由に使える領域が多いと思っておりまして。
現状は移動するとか、報道で撮影するとかぐらいの話でしか使われていないんですけども、そこに物流が乗っかってくるとか、小型の移動する手段…いわゆる自家用車みたいな形で空をうまく使えるようになったりすると、様々なところに産業が発展していくんじゃないかなと思いますし。
離島だとか山間部などの過疎地に対しても、空からのルートが作られることによってその地域が活性化していく事っていうの考えられるかなと思うんですよね。
そういうことを考えると、この次世代航空、この産業化っていうのは国にとっても非常に重要なことなんではないかなと考えています。
大楽
日本が抱える問題として過疎化っていうものがあるので、そういった問題を解決する手段になるかもしれませんもんね。
ふくしま次世代航空戦略推進協議会 事務局 高橋さんにお話お伺いしました。
ありがとうございました!


大楽
3回に渡って、福島県郡山市のビックパレットふくしまで開催された「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2021」の模様をお伝えしました。
最先端の技術のお話盛りだくさんで紹介しましたが…田巻さんはいかがでしたか?

田巻
この1年間で、技術ってこんなに発展するんだなって思いましたし。
前回来た時の私に比べて1年後のいま、すごい知識が深まってるなと実感しました!
大楽さんはどうでしたか?

大楽
ロボット・宇宙という世界っていうのが現実だなって思っていたのが、その先、医療とか災害対策ということで僕たちの生活にさらに近づいてるなと感じましたね!
編集後記
● アバターロボット技術で”身体のアップグレード”を目指す株式会社メルティンMMI。身体が不自由であっても、ロボットのアシストによって、自分の意思で自分の動作をコントロールする未来を創る。
●空飛ぶ車やドローン…次世代航空分野の先進地を目指すふくしま次世代航空戦略推進協議会。”空”というまだまだ自由度の高い領域を活用して、物流・移動手段を発展させていく。
●新しい次世代産業にスポットを当てた今回。最先端技術を駆使して課題を解決していく企業。その開発・実証実験拠点として環境が整っている福島。地元とつながり、雇用が生まれ、そして産業が活性化、そしてまた雇用が生まれ…というサイクルが福島の発展につながります。
(HP担当)
田巻
今週も福島県郡山市の「ビックパレットふくしま」で11月19日・20日に開催されたロボット航空宇宙フェスタふくしま2021の模様をお届けします!
これまで2週にわたってロボット、そして航空宇宙、それぞれのブースに出展の企業/団体の皆さんをご紹介しました。