今回のゲスト:株式会社リード 営業部本部 菅家 幸次(かんけ・こうじ)さん

田巻
「ダイヤモンドが再生可能エネルギーの技術を支えるカギ」です!
ちょっと…ダイヤモンドと聞いて、もう目がキラキラしちゃったんですけど(笑)でもこの番組では多分ジュエリーのお話ではないですよね?

大楽
それではないですね!(笑)

田巻
やっぱりそうですよね!(笑)

大楽
先ほど田巻さんがおっしゃったとおり、どうしてダイヤモンドが再生可能エネルギーの技術を支えるのかということですよね。

田巻
不思議ですよね…!

大楽
早速聞いていきたいと思います。
本社は神奈川県横浜市みなとみらい。
工場を相馬郡新地町に持つ、株式会社リード 営業部本部
菅家幸次(かんけ・こうじ)さんです。よろしくお願いします!

菅家さん
はじめまして、浪江町出身の菅家です!よろしくお願いします!

株式会社リードについて
大楽
まずは、「株式会社リード」について伺っていきたいんですけど…。
番組冒頭でも触れたダイヤモンド、そして再生可能エネルギーということで、株式会社リードさんではダイヤモンドを使ってどのような事業をされているんですか?
菅家さん
私どもはダイヤモンドはダイヤモンドでも、一般的には砥石と呼ばれる精密加工用のダイヤモンド工具を生産販売しております。なので残念ながらジュエリー関係ではないです(笑)
大楽
残念です…(笑)
菅家さん
市場としましては…お客さんですね、電子部品だったり半導体部品、そして再生可能エネルギーの太陽光。
そこで使われる材料を切断したり削ったり磨いたりする時の加工に使われます。
大楽
なるほど。そうするとノコギリとかやすり的な感じってことですよね、イメージ的には。
菅家さん
まさにその通りです。
私が力を入れている商品は『ダイヤモンドワイヤー』という商品なんですけども。特に今は太陽光パネルのもとになる「シリコンウェハー」の加工にダイヤモンドワイヤーが多く使われております。
大楽
「シリコンウェハー」というのは何ですか?
菅家さん
シリコンの塊、これを『シリコンインゴット』と業界で呼ぶんですけど。
この塊から薄さ140μm(ミクロン)程度の『ウェハー』に切り出す加工、ここにダイヤモンドワイヤーが使われます。
大楽
『ウエハー』っていうのは、よく僕たちが食べ物で食べる「ウエハース」みたいな感じのもの…?
菅家さん
まさに薄い板状のものを指します。
大楽
ということはそこから切って、薄い板状のものつくりだすと。

どこで使われている?
大楽
創業自体はいつなんでしょうか。
菅家さん
私ども株式会社リードは1973年創業ですので、今年で48年目を迎えまして。
従業員が190 人程度おります。
田巻
私たちが普段使うもので目にする製品とかってありますか?
菅家さん
残念ながら当社が生産する商品は、一般的なホームセンターでは販売しておりませんのでなかなかの目にすることはないのかなと思います。
似たような商品であれば、例えば包丁を研ぐ砥石だったり、一般的なホビーだとか工作に使うダイヤモンドやすりなどのものが近いのかなと思われます。
ただ、私の方が携わっている電子部品だとか半導体部品は、皆さんの生活にはなくてはならない商品なんですけども、間接的にみなさんの生活に携わっているのかなと考えてます。
大楽
やはり完成品を手にするまでの工具として使われるということですよね。
菅家さん
そうですね!
田巻
具体的に私たちが手にするものってどういった商品になりますか?
菅家さん
例えばスマートフォン、パソコン、テレビ。
そういうところに間接的に私どものツールが使われた部品がたくさん入ってると。
大楽
手にするまでわからないってことですね。直接的ではないですもんね。
菅家さん
なかなか、説明するのが難しくて。私も未だに自分の職業を家内に説明するときに…うまく説明できません(笑)なかなか難しいですよね。
大楽
人って形になるものじゃないとなかなかわからないですもんね、その途中段階っていうのがね。
田巻
途中段階が一番大切ですよね。
大楽
機械自体、カスタムメイドでつくられているんですか?
菅家さん
必ずお客様と擦り合わせしながら、お客様がどういう工具を欲しいのかと。
なので私ども実は、カタログはないんですよね。それは必ず打ち合わせして。
田巻
そうなんですか!全てオーダーメイド!
大楽
すごい大変ですね…!
菅家さん
営業は大変ですよね…!
大楽
普通の営業の方ってカタログがあったりとかして、例えばこの10種類の中から選んでください、じゃないですか。そうではないということで。
田巻
ということはすごいめちゃくちゃなオーダーとかあったりするんですか?
菅家さん
営業活動して、社内に相談しに行くんですけど…エンジニアとしょっちゅうバトルになりますよね。
大楽
なりますよね、それはね。
菅家さん
ただ、そこでどういう思いでお客さんが望んでいるのかだとか、これをやるとどんな貢献ができるのかっていうのをきちんと話を聞いて、それをエンジニアに伝えることによってエンジニアのモチベーションが上がってくるので。
田巻
でも…ないものを作りたいですもんね?
菅家さん
そうですね…!
田巻
私は技術者じゃないんですけど、なんかそういうものこそやってやりたいって、今ちょっと思ってしまいました…!(笑)
ダイヤモンドワイヤー
大楽
そして今、目の前にダイヤモンドワイヤーがあるんですけど…。
どういう特徴があるんですかね?目の前にあるものはとても細くて…。
田巻
そう!髪の毛くらいの細さですよね!

大楽
触ってらせてもらったときに、ちょっとざらつきがあるんですよね。このざらつきがダイヤなんでしょうか?
菅家さん
その通りです!
田巻
どうやってダイヤをつけるんですか?
菅家さん
ニッケルメッキという電気メッキを使いまして、ダイヤをピアノ線に固着していく製法をとっています。
大楽
固着というと、付けていくということですね。
例えば…イメージ的には、接着剤の池の中に髪の毛を入れて、そこにダイヤモンドをまぶしていくみたいな感じなんですか?
菅家さん
イメージはそれで合ってます。詳しいことは…ノウハウになっちゃうので(笑)
田巻
確かに!でもそれで削っても取れないんですね!
菅家さん
そうですね。ニッケルメッキも固いので、取れなくはないんですけれども。
ダイヤモンドメーカーも国内で3、4社あるんですけど、各社メーカーの工夫によってなるべくダイヤが取れないようにメッキをしていくと。
大楽
ワイヤー自体は結構強度が高いというか…強いものを選定しているんですか?
菅家さん
そうですね。強いものを選定して使わせていただいております。
大楽
正直、どのぐらい使えるんですか?
菅家さん
太陽光パネルの150mm×150mmぐらいのシリコンのパネルであれば、一枚あたり1 m のダイヤモンドワイヤーでそのシリコンパネル一枚を切るようなかたちになります。
大楽
何回か左右に、ノコギリ的な感じで切るんですかね?
菅家さん
まさにおっしゃる通りです。
今ですとこのようなシリコンパネルで80分程度で2000枚以上は切ってますね。
大楽
それはあの…早いんですか?すみません早いのか遅いのかもわからなくて…(笑)
菅家さん
早いです!(笑)
以前ダイヤモンドワイヤーが開発される前は、ダイヤモンドパウダーと油を混ぜながら切っていたんですけど、その時は今の1/3、1/4のスピードでしたね。
大楽
やっぱりお客様からは、これを切りたい…この物質を切りたい…という要望があってですもんね?
菅家さん
そうです。
大楽
設立されて半世紀ということで、切るものの質も全然変わってきますよね?
菅家さん
はい、部品の性能を上げるためにはやはり基盤の材料も硬い材料が多くなっていくんですよね。どうしても切りづらい材料が増えてきました。ただそこで音を上げることなく、開発をしてきたと。
そして最近ですとSDGsの流れで、お客さんはなるべく材料のロスを少なくしたいんですよね。
大楽
効率的に、捨てるところをなくしていくということですね。
菅家さん
そうなると例えばダイヤモンドワイヤーの細さを細くしたりだとか、ブレードの厚みを薄くしたりとかすると、その一つの材料からより多くの部品が作れるんですね。なので我々はブレードは薄くしてきましたし、ワイヤーは細くしてきました。
大楽
単純にブレードを細くしたりとかワイヤーとかを小さくすればするほど、強度とかって弱くなるんじゃないかな…?って一般的には思うんですよね。
菅家さん
…いい質問です!
大楽
ありがとうございます(笑)
菅家さん
そこがダイヤモンドワイヤーメーカー開発の腕の出しどころっていうんですかね。
薄くても細くてもきちんと使える道具。こういうものを開発してきたんですよね。
大楽
いやでも難しいですね。強度は保ちながら、もしくは強くしなくちゃいけないのに、薄く細くとかって…全然また逆じゃないですか?それに取り組んでらっしゃるんですもんね。
菅家さん
これは決して私どもだけの力ではなくて、例えばピアノ線メーカーさんと色々開発したりだとか。
大楽
いろいろな企業努力があって、初めて僕達がスマートフォンだったりとかパソコンとかが軽くなったというのを感じる、そういったリードさんのような会社があるからこそなんですね。
菅家さん
ありがとうございます!
田巻
本当にありがとうございます…!
ダイヤモンドワイヤROW | 製品案内 | 株式会社リード (read.co.jp)
福島県相馬郡新地町にある工場
大楽
ここからは福島県相馬郡新地町にある工場のお話を伺いたいと思います!

この工場なんですが、リードさんは全部でいくつくらい、工場が日本国内にあるんですか?
菅家さん
全部で三つ、保有しております。
新潟の胎内(たいない)というところと、宮城県の亘理(わたり)というところ、あと福島県の新地町の三つ、保有しております。
大楽
福島県の新地町にある工場はいつぐらいにできたんでしょうか。
菅家さん
2014年に計画しまして、翌年の2015年5月に竣工しました。
大楽
割と新しいんですね。
田巻
福島の工場では何が作られてるんですか?
菅家さん
ダイヤモンドワイヤーという商品をメインに生産しております。
田巻
なぜ福島県に工場を建てようと思ったんですか?
菅家さん
地震から数年経った時に、やはり福島の復興に何かお役に立ちたいと、今の社長が強い思いを持って福島県で工場を探し始めて。
県南あたりから近いところで、高速道路も近いですし非常に利便がいいところだということで決めました。
大楽
菅家さんは浪江町出身ということで…それに対しては結構思いが強かったんじゃないですか?
菅家さん
単純に嬉しかったですね!
まさか自分が就職した会社が福島に工場を建ててくれるって言った時は、福島の復興に寄与できるのかなと思いまして。
大楽
僕たちもやっぱり福島出身なので、地元の方での雇用であったりとかってすごく心配してしまって。そういったところはすごく必要だっていう時に、リードさんみたいな福島県内に工場を作ってくださる会社はすごくありがたいなと思いますね。
田巻
採用状況とかってありますか?
菅家さん
竣工してから、地元の新地町中心に相馬市や南相馬市などから従業員の方が入ってくださいましたし。私の地元の高校から新入社員が入社してますので、雇用という面では少し貢献できるのかなと思います。
社内での取り組み
大楽
リードさんのホームページを見てて、「ES」…従業員満足っていうところがあるんですよね。
従業員への責任と行動 | 社会とのつながり | 株式会社リード (read.co.jp)
菅家さん
年に一回、「CS」アンケート…顧客満足度をとるんですけど。
お客さまへの責任と行動 | 社会とのつながり | 株式会社リード (read.co.jp)
結果を従業員の方にお知らせして。例えば従業員の方が心を込めて作った製品が、どういうところでどういう評価を受けてます、喜ばれてますっていうポジティブなフィードバックもさせて頂いてます。
田巻
やる気に繋がりますね。
大楽
さらに「こんなことやっていこう」とか、社員の方から出やすくなるんじゃないですかね。
菅家さん
そうなんですよ。
最近ですと梱包の方が手書きで「購入ありがとうございます」だとか、手紙を商品の中につけることも開始しまして。今まではそういうこともなかったんですけど、社員自ら考えてみんなでアイデアを出してスタートしたんですけど。お客さんが喜んでくれるんですよね。
大楽
そしてあともう一つ、ホームページで。「健康宣言」っていうのがあるんですよね?
菅家さん
そうですね。9月から8月までが一年期のスケジュールなんですけど。例えば期が始まるまでにマラソンをして5キロ痩せますだとか、自分で宣言するんですよね。自分なりの健康を目標を立てて、それをお互いに宣言しあって掲示板に貼ってますね。
大楽
すごい!そういうのを共有するんですね!
田巻
新しいですね、取り組まれていることが。
大楽
僕、 Web サイトの方を見させて頂いた時に、通常の会社のホームページって自分たちの製品であったりとかそういったものを全面に確認できるホームページが多い中、リードさんのところは会社の取り組み以外に「健康について何やるんだろう?」とか、「従業員の満足…ESってなんだ?」とか…すごく面白くて興味をそそられる Web サイトなんですよね。
菅家さん
ありがとうございます。
今までは確かに売上売上を考えてやってきたんですけど、ここ最近3年ぐらい前から社長が、売り上げだけじゃなくて幸福だとか健康、社員の働きやすさを追求していこうということを掲げていただきまして。
ただまあ…我々は営業なんで…売上売上で…(笑)
大楽
まあそこは全体的なバランスを考えて頂いて(笑)
そのあたり考えながら菅家さんにも健康について取り組んでいただいて!
菅家さん、ぜひ次回もよろしくお願いいたします!!
大楽
今週フォーカスするのは…