【福島南相馬発のロボット「MISORA」】2021年9月4日放送分

今週のゲスト:南相馬市原町区の機械設計会社 YUBITOMA(ユビトマ)代表  「MISORA」製作のチームリーダー 五十嵐伸一さん

田巻

今回フォーカスするのは、

福島南相馬生まれのロボット「MISORA」に注目 !

大楽

番組では久々の、ロボットの話題なんですけど、田巻さん覚えてます?
例えば昨年末、空飛ぶ車「SkyDrive」があったり。

田巻

きましたね…!覚えてますよ!

ロボットと福島の関わり、ご存知ない方もいらっしゃると思います。
そもそも南相馬市といえば、福島県浜通りにある地域。
この一帯は金属加工の機械産業が盛んな場所なんですよ!

大楽

福島には世界に誇る研究施設南相馬にあります。

それは「福島ロボットテストフィールド!」

最先端のロボット研究がされている場所なんです!

そんなロボットと縁の深い福島 南相馬で、地元の企業11社が力を合わせて新しいロボットを開発。

その名も「MISORA(みそら)」と言います。
南相馬で生まれたロボット「MISORA」は災害対応に着目したクローラー型のロボット
10月に開催するロボット世界競技会「ワールドロボットサミット2020(WRS)」にエントリーしている、今大注目のロボットなんです。

田巻

ロボット業界において、南相馬が世界トップクラスだなんて、すごくないですか⁉

今回は「MISORA」の開発にかかわった方をゲストにお迎えしました。

南相馬市原町区の機械設計会社YUBITOMA(ユビトマ)代表  MISORA製作のチームリーダーでいらっしゃる五十嵐伸一さんです!

リモートでお届けします!

五十嵐さん

今日は「MISORA」のお話をさせていただく機会を頂き、ありがとうございます!

どうぞよろしくお願いします!!


クローラ型ロボット「MISORA」 とは?

大楽

五十嵐さん、色々と気になることがあるんですけど…

まず、今回開発されたクローラ型ロボットの「MISORA」について伺ってもよろしいですか?

十嵐さん

はい!よろしくお願いします!

先ほどから『クローラー』っていう言葉が出てるんですけど、これは分かりやすく言うとどんな形なんですか?

クローラー型ロボット「MISORA」

五十嵐さん

キャタピラの戦車のような…というのが大きなイメージなんですが。
そこにはベルトのようなものが巻かれていて、悪路をかみながら進むという『クローラー』というものがあるんですね。

イメージ的には戦車なんですが、戦車だと大きすぎるので、災害対応のもので、前後ろ二本ずつ、四本足がついてまして、せりあがったり、あるいは狭いところだと上に持ち上がったりという。

要は自由自在にトランスフォームするような、そんな機械になっています。

大楽

すごい…トランスフォームすると…!

田巻

ベルトコンベアーみたいな感じですよね、ぐるぐるぐるぐる回って進んでいけると!

五十嵐さん

そういうことです!

大楽

例えば山とかがあっても進んでいけるということですよね。
斜面が結構急でも…どのくらいまで急でも大丈夫なんですかね?

五十嵐さん

今回の対応するテーマの中に「階段を上る」というものがあるんですね。それは45°の階段を上るようなものじゃないと審査が通らなかったんですよ。

田巻

厳しいですね…!

五十嵐さん

第三次まで審査があるんですが、一次審査が書類審査、二次がビデオ審査でして。
45°の階段を上る様子をビデオに撮って送って審査してもらって、通ったということです。
ですからいまのところ45°ですね。それ以上の角度はまだ試してませんが、そのぐらいが限界かなと思ってますけども。

田巻

そんな高機能の「MISORA」ですが、どこで使われるものなんですか?

五十嵐さん

これは、今回の「ワールドロボットサミット」が「災害対応」という一つのコンセプトがありましたので、災害現場で使えるようなかたちをイメージしています。

災害現場と言っても、下が悪路の場合もありますし、コンクリートの場合もありますし、場合によっては砂場ということも考えられます。
そうするとクローラー、別名フリッパーとも言いますが、クローラーのベルトを交換することによって、様々な現場で活用できるようにしようという、そういうコンセプトを持って作り始めました。

今回の大会は、一連の床がコンクリートで階段がついてるだとか、斜めに走るだとか、狭いところをぬっていくというようなことなので、下はそんなに心配はいらないんですが、実際の災害現場ってどうなってるか分からない。その時に、床に合った足に交換をしながら進めると。

ですから現場で足だけ交換するということもできるように設計しています。

クローラー型ロボット「MISORA」

大楽

こうしてお話を伺ってても、結構大変だと思うんですけど、この製作自体というのも南相馬市の企業11社が関わったということですよね。

どんな企業がどんな関係性でロボットを作ろうって思ったんですか?

五十嵐さん

まず、この災害対応ロボットをつくろうという風に決めたのは…テストフィールドが福島に誘致されました。

福島ロボットテストフィールド

https://www.fipo.or.jp/robot/

その段階で、我々の協議会がベースになって、新規参入の企業がテストフィールドの工場近くに参入した場合に、なにかテストをするじゃないですか。 

そうすると部品が壊れたり…そんなこともありますよね。そうするとすぐに対応できるということが必要になってくるので、この南相馬では我々の協議会があるので、そういうことができますよと。

ですからバックアップを全面的にしますのでぜひテストフィールドをこの南相馬に持ってきてくださいというようなお願いを国や県に働きかけしてたわけですね。

で、そういうふうなことも実りまして、じゃあ南相馬にテストフィールドを開設しようというふうにしていただいた。そこで今度、国際的な災害対応のロボットの大会があるよといった時に、南相馬の協議会で参加の希望しないわけにいかないよねと。

田巻

なるほど…!

五十嵐さん

いままで偉そうに、何でもできるみたいなことを言ってね、バックアップしますって言ってたにもかかわらず、災害対応のロボットの大会に出ないんですかと。逆に言うとそれはおかしな話でね。

そういうことで災害対応のロボットのクローラーについてはまず作ったこともないんですが、今までの産業機械の技術さえあれば、それなりに大変だけども作れるだろうということで、エントリーしようということで始まった。

ですからこの「MISORA」のコンセプトは、災害対応の競技会「 WRS」 の競技科目をクリアできるような仕様にしようということで作ったのがベースです。
なおかつ、その後も実際の災害で使えるようなロボットにしましょうというコンセプトを、二つくっつけた形ですよね。そんな形で仕様を決めました。

「MISORA」という名前に込めた想い

 大楽

この「MISORA」というネーミング、どこからつけたんですか?

五十嵐さん

「MISORA」というネーミングについては…

我々は南相馬のロボット産業競技会という名前なんですね。これを横文字で書いてみようと。ということで書いてみると、

「MINAMISOMA Robotics Industry Association」

になるだろうと。英訳して、頭文字を取って「MISORA」というふうにしました。

それとですね、我々の地元には「野馬追」という文化財、お祭りがあるんですね。


「MISORA」と言うと「美空ひばり」、「ひばり」と言うと「雲雀ケ原(ひばりがはら)」、「雲雀ケ原」と言うと「相馬野馬追」…というふうに関連付けというか、そんなのをイメージしてみたというのがいいかなと思って。気持ち的にも晴れ渡って、これから飛び出すぞという、そんなイメージを持っていただけるかなということもあって。

そんなことで「相馬野馬追」ということと、南相馬ロボット産業協議会ということと、明るいイメージというので「MISORA」がいいかなということで命名させてもらいました。

大楽

「MISORA」という名前だけにも、いろんなものが込められているということですね!


大楽

「ワールドロボットサミット2020(WRS)」。

World Robot Summit 2020 福島大会

https://wrs.nedo.go.jp/fukushima/

このロボットの世界競技会が10月8日から10日まで、南相馬にある福島ロボットテストフィールドで開催されます。

田巻

そちらの競技会で「MISORA」はインフラ災害対応部門に出場されます。

大楽

このインフラ災害対応部門、どんな競技になるんでしょうか。

五十嵐さん

カテゴリが5つあります。

田巻

そんなに!

五十嵐さん

この5つに対して、トータルで点数の高い方が優勝するというようなことです。5つについてご説明しましょうか。


一つはですね、高いところ…1m80cmがマックスのところに、 QR コードが貼り付けてあります。
それを何パターンか読み取るタイムトライアル。タスク EXP1 広い面積の検査

一つは、メーターが各バルブ、圧力計ですけども、それが何箇所か設置してまして、それをカメラで読み取ると。その読み取ることと、バルブを180度回す。自動で行ってバルブをカメラで見つけて、握って180°回す、そういう風なメーターバルブのタスクが一つ。 ※タスク DEX1 メーター/バルブ

あとは、階段を上る。45°がマックスで、階段を上って下りてくる…そのタイムトライアルと。
※タスク MOB1 キャットウォーク

あとは、狭いところに棒が何本かささってまして、その棒をくぐり抜けてコースを回ってくるもの。
※タスク MAN1 ネゴシエート

それとL字の棒がありまして、それを握って90°回して棒を引き抜く、でそこには障害物のパイプが乱立してるんですが、それをかいくぐって、握って引っ張り出すタイムトライアル。
※タスク DEX2 不整地上でのL字障害物

これら5つがタスクになっていますね。

WRS 災害対応標準性能評価チャレンジ

https://wrs.nedo.go.jp/wrs2020/challenge/disaster/standard.html

大楽

本番の競技がまもなくということですが、五十嵐さんの役目とはどういう形なんですかね?

五十嵐さん

本番での役目は、今回私は「MISORA」のチームリーダーをやらせていただいてますので、当日的には私がベースマシーン…フリッパー・クローラーのところと、本体の部分を設計しましたので、その部分が万が一動かなくなった場合のメンテナンス

それと、あと他のチームがどんなクローラーを作っているのか情報の収集。それをとって、今後、出れない企業の人たちにも参考になるようにとってきたいなという風に考えています。


大楽

このワールドロボットサミットで「MISORA」が活躍すれば、南相馬の製造業っていうのがアピールにつながりますもんね。

今後は南相馬の技術っていうのやっぱり世界に届けたいんですよね?

五十嵐さん

世界となると大げさになるかもしれないんですが、ネーミングに始まり想いを込めて「MISORA」をつくったんですが、そんな想いを国内・海外のメーカーに見てもらって、こんな技術で考えてモノづくりしてるんだ、であればうちはこんなものができるかなと。

災害対応のロボットに限らず、一般産業機械もそうですね。
我々の出自は一般産業機械の出なので、そっちを引き合いがあって、そういう風な企業とコラボができて新しい製品が生まれれば「南相馬発」になりますし。それがワールドロボットサミットに出場した実績にもなるだろうと、そんなふうに考えています。

そして災害対応のロボットだけを販売しようという、そういうことでは…災害もここ最近頻繁に起こりますけども、このロボットが本当に必要かと言うとそんなに需要はないだろうと思いますので。

一般使いをして、通常使いをしていて、なおかつそれが被害災害の時に活用できると。そういう風なことが一番大事なのかなと思っています。

大楽

やっぱり南相馬の全部の力を結集してですからね。

田巻

明るいニュースにもなりますしね!

本当に私たちも「MISORA」の活躍、そして「ワールドロボットサミット2020」の成功を応援します!


今回は、「 福島・南相馬生まれのロボット「MISORA」に注目 !」と題して

UBITOMA(ユビトマ)代表 五十嵐伸一さんにお話お伺いしました。ありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!!

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