【オムニア・コンチェルト~農業で目指す脱炭素社会~】2021年8月21日放送分

今週のゲスト:株式会社オムニア・コンチェルト 
代表取締役 藤原慶太さん

田巻

今回フォーカスするのは…

スマート農業の最前線 その鍵は CO2 」です!

大楽

CO2 を使って CO2 を減らすという…
農業の分野で脱炭素社会を目指す、その最先端の話らしいんですよね。

田巻

そうらしいですよね!

ところで、木や植物の成長には CO2 二酸化炭素は欠かせないということ、知ってます?

大楽

ちょっと昔すぎるけど、なんとなく覚えてる…。

田巻

小学生のころ勉強しましたよね!

大楽

「光合成」なのかな…?

田巻

そうですそうです!

その仕組みが鍵なのかなと思うんですけど、どうなんでしょうか…?

ということで今回、株式会社オムニア・コンチェルト 代表取締役 藤原慶太さんをお迎えしました。

よろしくお願いいたします!

藤原さん

よろしくお願いします。


CO2 を有効活用する”スマート農業

大楽

株式会社オムニア・コンチェルト。


冒頭でも CO2 を使って CO2 を減らす取り組みをしているということだったんですけど、どんなことをされてるんですか?

藤原さん

正式に言うと、CO2 を有効に使うと。

今まで空気中に放出されてた CO2 を果物とか野菜とか…はたまた林業でいう無花粉のスギとかヒノキとかに与えて、それを有効的に使いましょうと。
だから空気中に放出してたのを、我々は局所で葉っぱの周辺だけに与えて

今まで捨てていたのをそういうふうに使うことで、趨勢(※ある方向へと動く勢い)を良くしたり収量をあげたり、あるいは木を育てるのに二年かかったのを一年にするとか。
あとは、わかめなどの藻にあげて、それでオイルを作ったりとかいろんなことを今やってますね。

大楽

もともと今日本って脱炭素に動いてるじゃないですか。脱炭素社会
その中で CO2 をあえて使うんですよね?

藤原さん

そうですね。
皆さん小学校とか中学校の理科とかで習ったと思うんですけど、植物が光合成で CO2 を吸収している
ただ、実は植物も呼吸してるので、実際には酸素を吸って二酸化炭素を出している。
と同時に、日光があたって CO2 を吸収して酸素を出すと。

昼間は酸素を吸うよりも二酸化炭素を吸う方が量が多くなっちゃうんで、そうするとビニールハウスの中で閉じ込めて、真冬にでも収穫しようとしてる農業だと、どんどん CO2が足りなくなってきてCO2 飢餓になってしまうと。

大楽

足りなくなるんですか、 CO2 が⁉

藤原さん

足りなくなるんですね。昔はそれが感覚的にはよくわかんなかったと言いますか。

世界の農業とか、オランダとかでは古くから知られてるんですけど。
数値で見ることができていなかったのが、最近はセンサーがどんどん小型化・高性能化して安くなってきたんで、普通の農家さんでも手に入れて見ることができる
そうすると通常、一般的に言われているのは、外では400 ppm っていう単位で言われてますけど、ハウスの中だと昼間は光合成が活発だと200 ppm ぐらいまで下がってきたりするんですね。

大楽

CO2 が少ないということですね。

藤原さん

はい。そうなると CO2 飢餓になって成長が鈍化したりとか…。
蒸散っていう、水を葉っぱから出してどんどん葉っぱの温度を下げたいっていう機能を、わざわざ気孔が止めて、しまっちゃって。植物の成長がちょっと減退したりとか。
葉っぱが枯れやすくなったりとか…そういうことが起きると。

そういうときに CO2 をあげたりすると、なかなか病気にならなかったりといったことにもなってくるんですね。木自身が強くなって。

大楽

ここまで話を聞いていてお伺いしたいことがあるんですけど、ハウスの中ってCO2 が足りなくなるんですか?

藤原さん

そうなんですよ。

植物は人間と同じように呼吸をしてるんで、一日中夜も含めて、酸素を吸って二酸化炭素を出すんです。
ですが、昼間の光合成の方がスピードが速かったりすると CO2 を吸って酸素を出すんですけど、そっちのスピードの方がどんどん上回ると、どうしても CO2 が足りなくなって CO2 飢餓になる、そういう状態が起きると。

CO2 を吸いたいのに足りないので、一般的な農家さんは、燃焼式と言われてるんですけど、灯油とか重油とかプロパンとかの化石燃料を焚いて、ハウスの中を排気ガスだらけにするんですね。その排気ガスの20%とか30%が CO2 なんですけど、それ以外に熱がすごい出てハウスの中が熱くなっちゃって、そうすると天窓とか窓を開けなきゃなんなくて。

結局 CO2 やりたいんだけど、天窓とかを開けたりするっていう…環境がどっちかというとめちゃくちゃになってきちゃってるんで。
今いろんなことが分かったんですけど、光合成葉っぱの裏の気孔が開いて CO2 を吸収するんですが、その気孔が開くにも温度と湿度をコントロールしなきゃならないんですね。

ある一定の温度と、ある一定の湿度の中に収めないと葉っぱの裏の気孔が開かない。
でも化石燃料を燃やしてはガンガンやると熱エネルギーが出て乾燥して暑くなるから気孔が逆に閉まっちゃったりして。
せっかく CO2 をあげてもあげても効果がなかったりすることがあり…。

それらを湿度とか温度を最適な状態にコントロールしながら、弊社の場合は液化炭酸ボンベっていう、普通でいう工業用ボンベ。居酒屋さんにある生ビールサーバーの下に置いてあるやつがボンベなんですけど、あの仕組みを使って CO2 をあげています。

石油精製プラントとか火力発電所からいらなくなった CO2を 集めて、あのボンベに入れてるんですね。だけどさっきの化石燃料を焚いたりするのはわざわざ農業で CO2 を発生させてるって、これが私はおかしいなと思って
熱も出ちゃうので相当ハウスの中の環境統合制御ってものがだんだん狂ってきちゃう

だからボンベは熱も出ないし、必要な量だけを本当に最小限、局所的にあげるってのがうちのシステムのコアな部分で。

これをやるために温度とか湿度とか光の量をコントロールして植物が最適に育つ、これは『コンチェルト』っていう制御盤で制御してます。

JR九州ファームに入っている制御盤「コンチェルト」
CO2&Air制御システムを主とした環境統合制御盤「コンチェルトOCES-1000」:JR九州ファームにてランニングコストを抑え、植物体の趨勢を良くする為、CO2だけでなく、ハウス外の空気を取り入れながら制御している。
(藤原さん談)

大楽

これが藤原さん、株式会社オムニア・コンチェルトが作っている、環境統合制御システムの『コンチェルト』っていうことなんですね。

藤原さん

今まではそれをハウス全部を充満させてたらものすごいコストがかかったんですよ。ボンベも無料じゃないので。

うちのやり方は本当に必要な部位に必要な量だけをあげる
それで化石燃料を燃やすのとほぼ同等のコストにすることに成功していると。

田巻

必要な部位というのは葉っぱの裏の気孔の部分ですか?

藤原さん

そうですね。そこにダイレクトにあげる。

田巻

ボンベを気孔の下とかに通して出すってことですかね?

藤原さん

そうですね。
それは特殊な多孔質の360度でじわーっとゆっくり出る、そういう仕組みを作り上げたんですね。

大楽

無駄なく、必要な量だけと。

藤原さん

葉っぱから溢れて出てきたら、センサーで検知して数秒で止めるので。

田巻

えっ、数秒でわかるんですか⁉

藤原さん

数秒で取れます。そしてそれ以上あげない。で、今度また飢餓になってきたらあげると。そういうのを制御する… CO2 だけでいうとですね。

大楽

そういったものすべてを制御してるのがその『コンチェルト』。

田巻

『コンチェルト』って『協奏曲』っていう意味だと思うんですけど、こちらの由来ってあるんですか?

藤原さん

今言ったように、光とか水とか、さっきのように湿度とか温度をある一定の中にコントロールしないと、 CO2 をあげても吸っていかないわけですよ。
つまり光とか水とか CO2 を、みんな適度な量でコントロールしないとダメなんで、どれか一つが崩れるとダメ

要は協奏曲のように、ハーモニーのごとく。
私は農業は音楽のような感じで、どっかが一つがずれてたりすると不協和音になるような…
そうではなくて環境に優しくて、さらにその環境データを活かして最適な状態を作り上げる
その都度その都度、音楽のように奏でながら、農家さんにも心地いいような…そんなイメージで作っているという。

大楽

環境にもやさしく、作るものも美味しくってことですよね。

藤原さん

のちのちは、農薬とかもうなるべく使わないと。
本当にハウスの中が環境に良ければ、その外の環境も良くなってくるし、環境に良い素材を使うっていうことで。だから配管も古タイヤを使ったりとかそういうことを心がけています。


福島との関わり 

大楽

ここからは福島との関わりについてお伺いしたいと思うんですけど。
以前は福島でも取り組みをされていたということなんですが?

藤原さん

そうですね。

福島の復興事業を当時東京農工大の荻原先生って、去年退官されたんですけど、その人から「藤原、一緒にやらないか」っていうふうに。

当時私は CO2 の事ばっかりやってたんですけど、先生と結果的に川内村のところで一年中採れるブルーベリーを3年間かけて開発したというか、連続開花結実法っていうのは生み出してたんですけど。

3.11が起きて、それで福島に残って雇用促進というか、定住しながら働ける仕事の仕組みを作る一環として、冬に作物ができるようになればいいなっていうのが一つあったのと。

あと当時セシウム濃度とかいろんなことがあったので、ハウスの中で本当に作って大丈夫かなと。なので地植えしないで、ポットって植木鉢みたいなの中にブルーベリーを植えて、それで栽培する仕組みを確立していくと。

大楽

そんな小さくてできるんですか?

藤原さん

30センチぐらいのポットなんですけど、そのベースになるのは植物工場で四季の部屋を作ってローテーションして、それで一年中採れる仕組みを作ったのが東京農工大学の荻原先生で。

そこを少しずつ手伝っていて、その関係から福島に行ってやらないかっていうことで。
荻原先生と二人だけで、私の車で、最初はポットを6個ぐらい積んで、自分でハウスを作って、朝6時ぐらいに東京を出て、夜の日にちをまたいだ頃に帰ってくるみたいな。

大楽

大変ですね⁉

藤原さん

それを50回くらい…。なんとか復興のために行ったのもあるんですけど。
私も先生にマンツーマンでついて、「お前 CO2 のことばっかやってたって駄目だよ。」と。
栽培を学んで、その一つの要因で CO2 をコントロールできる仕組みをやんないと駄目だって。

行って、潅水のシステムを作って、夕方やっとできて4時とか5時ぐらいに「できた!」となって水をやると所々いろんなところからプシュップシュッと漏れちゃって…。
全部やり直してると9時ぐらいになって。冬はもう雪が降り始めて、早く帰らないと道が凍っちゃうので真っ暗で崖のスレスレのとこりを通ったりとか…大変でした。

福島復興事業のブルーベリーハウス
福島復興事業の川内村にある四季成性ブルーベリー栽培ハウス前にて、実証実験に御協力いただいた永澤さんと  3年間四季を通じてブルーベリー栽培を行い、季節要因性のある果樹としてのブルーベリーを1年中収穫できる栽培法を確立した。
(藤原さん談)

大楽

色々ご苦労あったんですね、一つだけではなくてもう…。

藤原さん

そう、だから体で覚えたんですよ。 

潅水のシステム…あとブルーベリーは光をそんなに必要としないので、イチゴもそうなんですけど。なので光をできるだけ切って。そして夏に冬だよって思わせて。そこからちょっと休眠させて、普通は冬にかけて日射量が減ってくるところを、どんどん遮ってたカーテンを開いて光が入るようにして、温度も高くして、春だよーっとなると花が咲いて。
1、2ヶ月後に実がなってくるので、だから8月9月ぐらいから花芽分化っていうのおこさせて11月12月に採れる仕組みとか。

大楽

季節の錯覚を起こさせるんですね。

藤原さん

いちごなんかも、もともと4月5月に採れるものを12月に出すために、休眠させたり加温させたりとかっていうことやって。

四季成性イチゴ大型ハウス
CO2局所施用システムが設置された大熊町の2haものイチゴ栽培用大型ハウス「㈱ネクサスファームおおくま」にて  

手に持っているのは、センサBox(CO2、温度、湿度を測定)。センサBoxは2haの農場内に50個設置し、ハウス内環境を制御している。(藤原さん談)

私は、この日本の四季があるものに合った果実とか野菜は、たとえ世界でいろんなもの作りにおいて日本が負けてきても、農業の、特に四季成り性のあるものは絶対勝てるなと思ってるんですよ。

そういうものをちゃんとコントロールしてできる仕組みで、かつ環境に優しいものを作れば、会社としては継続できるのかなあと思いながら日々やってるんです。


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