今週のゲスト:株式会社アースコム 代表取締役 丸林信宏さん

大楽
「未来型農業」というワードが出ましたね。最近、スマート農業という言葉をよく耳にしますが…。
今回は再生可能エネルギーということで、先週の石川さんの話では日本は太陽光発電の導入・開発が第三位という…!

田巻
びっくりしましたよね…そんなに進んでいたんだという…!

大楽
僕は20位かそれくらいかと思っていたけど…

田巻
結構上位ですよね!
福島で展開されている事業は世界でも最先端レベルということで、
今回は「ミライ型農業プロジェクトのお話」を伺っていきたいと思います!
今回のゲストは株式会社アースコム代表取締役 丸林信宏さんです!

丸林さん
よろしくお願いします。

アースコムと「営農型太陽光発電」
大楽
まずは株式会社アースコムの説明から。
株式会社アースコム ホームページ
https://earthcom-eco.jp/
埼玉県越谷市に本社をおく、再生可能エネルギーの促進事業を手掛ける会社。
2008年創設ということです。
様々な事業展開されていますがこの2021年6月。福島県いわき市山玉町(やまだままち)に「太陽光発電と農業を両立させた営農型太陽光発電施設」を完成されました。
ニュースにもなりましたね!
田巻
そうですね!
大楽さんが説明してくださった「営農型太陽光発電施設」は、営業の 「営」に農業の「農」という漢字を書きますが…。
そもそもこの「営農型太陽光発電施設」、これって一体何なんですか?
丸林さん
その名の通りなんですけども、下で農業を営みながら、上で太陽光ビジネスを営んでいく。
それが両軸でビジネスモデルとして展開される事業ですね。

大楽
これを同時にということですね。
田巻
そんなことができるんですね…!
大楽
今もありますけど、二毛作とかあって…それは季節ごとだったと思うんですけど、これは同時ということですよね?
丸林さん
そうですね。
皆さんがよく見られてる一般的なメガソーラーだったりを「野立ての太陽光」と言うんですけども、この太陽光パネルは支えてる支柱というものがありまして、これが低いんですね。
この支柱をあげて空間を作る構造で組み立てをします。

大楽
これどのぐらいの高さがあるんですか?
丸林さん
だいたい3 メートル ですね。
田巻
3メートル!? 結構な高さなんですね!
そこで太陽光パネルを上げて、下で農作物を作るということですけれど、その下の作物たちに太陽は直接当たるんですか?
丸林さん
遮光率を考えて、その影を要する作物は影を意図的に作る。
で、影が当たると作物が育ちにくいものに関しては、少し遮光率を下げまして、あえて光を当てていくと。
その計算式をしっかり計算して組み立てをしていくような流れになってますね。

大楽
そしてこの営農型太陽光発電施設のビジネスモデル、仕組みはどういうことになるんですか?
丸林さん
地主さんが土地をお貸しして、我々がお借りします。発電事業者ですね。
そして上で発電事業をやりまして、下でその農地、地主さんが直接やる方もいらっしゃるんですが、今回は別で農業者、担い手さんがいらっしゃるということですね。
大楽
このビジネスが、今回初めてということなんですが、6月に福島県いわき市山玉町で作られた。
これはいわき市ではひとつなんですか?
丸林さん
今は一つですね。
田巻
ちなみにどのくらいの広さなんですか?
丸林さん
約300坪です。1反分ですね。
田巻
そこまですごい広いってわけではないんですか?
丸林さん
この1反分の太陽光発電所を、浜通りエリアで17000区画を開発予定です。
大楽
17000区画ですか…ちょっと数字が大きすぎてどのくらいなのか…。
田巻
想像がつかないですね。
大楽
結構な数をこれから作るということですね。その中の第一歩が、6月にできたと。
田巻
ちなみにこの施設、どんな方が運営されてるんですか?
丸林さん
今はですね、地元の福祉施設と共同で、こちらの作業や生産管理を一緒にやらせて頂いております。
大楽
ということは福祉施設の方が働いてらっしゃると。
田巻
雇用がさらに生まれて、いいですね!
大楽
太陽光もあるということは、売電があるということですか?
丸林さん
そうなんです。そこがミソというかポイントでありまして。
やはり上の部分は、太陽光の固定買い取り制度というのが国の制度がありまして、20年間収益がある程度安定してるんですね。
その太陽光で売電ができる。
その売電収益っていうものが、農業が仮に天災だったり、収穫期が悪いなどあると思いますが、
その時には補填ができるって言うのが非常にポイントなんですね。
大楽
上では太陽光発電、下では作物という話でしたが、今現在というのは何かそこで作られているものがあるんでしょうか ?
丸林さん
いま現在は「榊」を作っております。
田巻
さかき…?
大楽
榊ってよく神棚とかにあるやつですよね。またなんで榊にしたんですか?

丸林さん
意外とパネルと相性がいいということで。
どうしても敷地面積を有効に活用するには、パネルをある程度詰めていくというか。
パネルとパネルの離隔、間隔を詰めていくと、その分発電量が上がると。
そして、影を要する作物・植物になりますけど、その相性がいいのが「榊」なんですね。
榊は山とか、影に非常に強いので、逆に影がないと育ちにくい植物なんです。
大楽
植物って言うと、僕のイメージですよ。太陽がないと育たない、生育できないんじゃないかってイメージがあるので、全く逆じゃないですか!?
丸林さん
そうですね。実はいろんな作物が育つんですけど、我々の今取り組みとしては榊を中心に栽培しております。
大楽
今回一緒に組まれている会社というのが…これが東京の会社なんですね。
共同でされてるこちら「彩の榊」という会社様なんでしょうか?
株式会社彩の榊
https://osakaki.jp/
丸林さん
「彩の榊」さん、榊を専門としている会社さんですね。
大楽
どういう形で出会って一緒にやろうよって話になったんですか?
植物の会社と太陽光発電の会社って全く別じゃないかと…何か出会いのきっかけが…?
丸林さん
とあるテレビ番組…「がっちりマンデー」さんですね!
私の方がこれから何の植物・作物を注力すれば、この営農型太陽光発電が普及していくのかなと。
長く継続していく作物にこだわっていた時に、この榊っていうところが太陽光と非常に相性が良いというところで。
既に「彩の榊」さんは実績もありましたので。
そして話を聞けば、やはり生産が今中国にある。今8割が中国なんですね、国産は2割しかないという問題もあって、お供え物とか神棚にあげるものですから、国産の榊にこだわってきたい!という熱い思いもあったので私たちも是非太陽光と一緒に普及させていきたいというふうに考えました。
大楽
それを一緒にやろうと考えたのはいつくらいですか?
丸林さん
ちょうど一年くらい前ですかね。
大楽
動きとしてはめちゃめちゃ早いですね!
田巻
一年前から話になって、取り掛かったのはいつぐらいからなんですか?
丸林さん
そこから3ヶ月後ですね。いまから9ヶ月前ぐらいから本格的に取り掛かりました。
そして完成したのは2ヶ月前ですね!
大楽
やっぱり思いついた時にすぐに行動するって大事ですね!
丸林さん
これはやっぱり、私のモットーでもある「失敗を経験に生かさなければ」という。
私も代表で会社をやってる以上、色んな情報だったりチャンスが舞い込んできますので、まずはやってみて、そしてダメなら改善すればいいですし、失敗は経験として受け止めてます。
田巻
挑戦することが大事なんですね…!

大楽
そしてもうひとつ、このビジネスモデルも、面白いですよね!
丸林さん
いま過疎化が進んでいる田舎の方には特に、農業が復興できない、そしてその農地が荒れたままで管理が大変になっている。そういった荒れてる農地がたくさんありまして…。
そこに関して問題視されてる現状を、我々はうまく再生可能エネルギーの太陽光を使って復興できないかというところで。
空いているスペースを有効活用する、「ソーラーシェアリング」と言いますけども、それを普及していきたいというふうに考えております。
大楽
ソーラーシェアリングってことなんですね 。なるほど…!

ソーラーシェアリング
https://solar-sharing.org/
Firstmaker
大楽
うちの田巻が「やりたい!」ってなった場合はすぐできるようなものなんですか?
丸林さん
できますね!
田巻
えっ!そんな即答で…できるんですか!?
丸林さん
ぜひ!それは取り組んでいただきたい、チャレンジしていただきたいですね。
大楽
あんまり具体的な金額とか聞けないと思うんですけど…田巻さんが大学卒業して稼ぎますよって年収なんかがあるじゃないですか。
それよりも、太陽光であったりとか榊のビジネスの方に飛び込んだ方が収入的に上になる可能性が…?
丸林さん
どのくらいの容量を事業としてやって行くのかにもよりますけども、大体一区画あたりで100万円から150万円ぐらいの発電所、一反分、300坪ですね。
大楽
300坪…というと大体100キロワットぐらいですか?
丸林さん
そうですね、売電単価にもよりますけども、大体300坪から。
ファーストメーカー
田巻
どうしてこの未来型農業を福島でやろうと思ったんですか?
丸林さん
元々やっぱり私どもが福島県の浜通りエリアに支社がありまして。
ここで農地が何とかできないのかなとか、管理大変だよとか、地元の方の声を聞いていくうちに、やっぱり「再生可能エネルギーの地産地消のまちづくり」を本当に根付かせていくのが、今のタイミングかなという風に思って、一気にこの営農型太陽光に特化しようというふうに考えました。
大楽
ホームページの方でも、福島県限定の農地を募集って書いてありました。
やっぱり他の地域ではなくて福島県にフォーカスしてくれるのが僕たちとしてはね、すごくありがたいなぁと思って。
田巻
枯れ果てた農地って、もともと保有していた人たちがいらっしゃって、どういう交渉をして一緒にやっていこうとなるんですか?
丸林さん
私ども、ご紹介が今非常に多いんですけど。
やはり地元の方がもう若い方が農業継がなかったりとか、やはり荒れてる農地を管理していくのがすごく大変で。
そういった方々に我々が「こういったビジネスができますよ」っていうこと、「周りは我々がすべて管理します」と。
そういう話をさせていただくと、やはり是非使ってくださいということで、そこからお声がどんどん広がっていってますね。
田巻
確かに、使えなくなったものをそのまま保有しておくよりも、こうやって人々のために新しいビジネスが出来るって言うのはすごい良いことですよね。
大楽
本当に二つですもんね、太陽光と、榊を育てるっていう二つのことがありますし。

今後、例えば太陽光ソーラーパネルと他のものって考えは可能性があるんですか?
丸林さん
太陽光に加えさらに、水素。
今これは福島県も非常に力を入れておりまして、当社としても水素を使った貯蔵型電力システム、これを展開していきたいというふうに考えております。
大楽
本当に再生可能エネルギー、いろんなことに取り組まれてるんですね!
丸林さん
太陽光から余った電気が一部ありまして、この余った電気を一次産業の継続性に活用する計画というのは、まさにいま企画しています。
大楽
企画しているんですか。
なんかね、丸林さんのことだから、企画するってことは一年以内に形になりますね!
田巻
即行で実行しそうな!
丸林さん
来年くらいですね。
大楽
2050年のカーボンニュートラル、脱炭素に向けてということですよね。なるほど…!

次回も株式会社アースコム 取締役 丸林信宏さんにお話し伺っていきます!
田巻
今回フォーカスするのは、再生可能エネルギーを使った未来型農業のお話です!