今週のゲスト:石川 和男さん (政策アナリスト)

大楽
福島県が先端技術で世界の先を走る…。自信を持てましたね!

田巻
なおかつ今まで知らなかったことが多かったですよね!
数字で言ってくださるとイメージもしやすかったですし、
福島ってこんなにすごいんだって思いましたよね!!

大楽
今回も自信をもらえるかもしれませんよね!
今回は、福島から始まる水素エネルギーと「スマートコミュニティ」のお話をしていきたいと思います。
前回に引き続き政策アナリスト 石川和男さんにお話を伺っていきます!
よろしくお願いいたします!

石川さん
どうぞ、よろしくお願いします。
水素エネルギ―とは
大楽
水素エネルギーって、どういったものなんですか?
石川さん
水素っていうのは、ただの気体なので、無色無臭。だけど火をつけるとドカン!となります。
田巻
火をつけると、ポッとなる実験やったことあります
石川さん
ポンと火をつけるとドカンとなるってことは、燃料なんですよ。
燃料ということは、こういったものを化石燃料に代わる co2の出ない新しい燃料として水素を使っていこうということで。
皆さん、水素社会って言葉をよく聞かない?ネットとかとかテレビとかで…。
田巻
聞くんですけど、実際どんな場面で使われるのかとか、具体的にわからないんですよね…
石川さん
燃料だから、当然エネルギー源として使われるわけです。
水素の場合、何に使うかって考えられているのは、輸送。 簡単に言うとガソリンの代わり。
田巻
エコカーというと電気で走る車がありましたけど、、、
それの次が、水素で動く車ってことですか?
石川さん
そう、水素自動車ということで、まあちょこちょこ出始めているんですけど、
まだそんなに量がないですね。
ただ、自動車を、水素自動車に代えるためには、水素用の自動車を作るだけじゃダメで、
水素をどこかで充填しなきゃじゃん。水素スタンドがなきゃいけない。両方必要なんですよ。
僕は最初はこれね、バスだと思ってます。日本の場合、公営バス。
というのは…僕自身の経験則で恐縮なんですけども。
私が経済産業省にいた時に、当時は水素じゃなくて、ガソリン車に代わるものとして天然ガス自動車っていうのをやろうと言っていて。
たまたまその天然ガス自動車の規制ルールを作る担当者が私だったんだよ。
なので、私と某大手のガス会社さんと協力しながらこのルールを変えたんですよ。
変えて、東京都という自治体の都営バス、ないしは東京都の職員さんの送迎に使うバスとか、
そういうものに実験的に天然ガス自動車を使いましょうっていうのをやったんです。
なぜバスなのかと言うと、我々一般の人間の自動車にはなかなかそう簡単に普及しないんじゃないかと。まだまだ。

たぶんガソリン車の次は電気自動車じゃないかな。
だって電気は皆さんのお宅にすぐくるでしょ?
水素の場合はすぐ来ないから。
そうすると特定の需要のところに集中してやったほうがいいわけですよ。
最初はバスとか、あるいは運送業界・トラック業界だったら、充填する場所がポンポンポンと点在でいいわけです。
そういうところでまず使われるかなと僕は思ってると。これが一つの大きな転換点かな。
というのはね…今ほとんどガソリンでしょ?
あれCO2を出すわけ。でも水素は CO2を出さないので、そういう点からいうと運輸部門のそういうところから始まったところは脱炭素なんですよ。
石川さん
だけどもうひとつ、水素はどうやって作る?どこで作るのかと。
大楽
そうですね、むしろそちらのほうが大きい問題のような・・・
田巻
どうやってためるの?とか、いろいろ課題がありそう…。
石川さん
どこで作るかというと、これはおそらく天然ガスからつくるか、あるいは水。
H2Oじゃないですか、水って。
これを分解して水素と酸素に分ける。まあいろんな手法があるんですが…。
水ってどこにでもありますよね。水を水素源とすると、これを電気で分解しないといけないんですよ。その電気をどうやってどこから持ってくるの?となると、太陽光とか、そういう自然エネルギーを持って来ればいいじゃんとなるわけですよ。

だって、水素作るのに化石燃料の火力発電を使ってちゃあしょうがないわけですよ。
田巻
意味がないですもんね。
大楽
本末転倒ですね。
石川さん
だから、やるとしたら再生可能エネルギーか、原子力みたいにCO2を出さない電気でやるってのが、理屈として合うわけですよ。
だから、先週も言ったように、大きな太陽光パネルでもって太陽光発電するというのは時として電気を作りすぎちゃうので、そういう余った電気っていまは捨てちゃうんですよ。もったいないでしょ?
だから、それを水素みたいな形に変えて、溜めておけばいいじゃんという。
んで、今度は溜めた水素を、「どこで使うか」なんだ。
最初笑い話みたいのがあって…例えば福島で作りましょう!と。
どこで使うんですか?となるとまあ都会で使うので、東京とか埼玉に運べばいいじゃんと。
何で運びますか?なんですよ。
それタンクローリーで運んじゃしょうがないでしょ。あれガソリンだから。
だからそうなると、地産地消といって、水素を作るところと使うところはなるべく近いほうがいいわけ。
そうするといま言われてんのは、太陽光パネルをパーっと置くでしょ。
太陽光パネルの横に、水素発生器作っとけばいいんだね。
そこに自動車がやってきて、そんな何千キロ先からくるわけじゃないから。
地域で水素自動車を回していけば、それはエコ社会でしょという。
田巻
そういった面では、都会よりも地方の方がやりやすいですよね?
石川さん
都会、東京なんか見てると水素ステーションを作るのは場所がね、なかなか見つかんないんじゃないかと。土地高いでしょ?
CO2を減らすってことは、東京で減らすとか福島で減らすとかではなくて、日本全体として。
というかもっと言うと、地球規模で減らすって話なので。
トータルで減らせばいい話なので、福島で、東京で減らすとかそういうことじゃなくて、日本全体としてどのくらいCO2を減らしましょうかということなので。
そういう水素を作れるところで水素を作って地域で回してくってことだと、都合がいいわねと。
…というふうに考えながらやんないと、いろんな要素があるんですよ。
『作る』『運ぶ』『使う』『何に使う』…といろいろ要素があるので、それ全部トータルでちゃんと考えて計画して。
政府も、例えば自動車メーカーの大きなメーカーさんときちんと協議をしながら今計画を立てているので、そこそこにいいものが出来ると思いますよ。

大楽
今お話を頂いたこの水素エネルギーなんですけど、
いつくらいだったら当たり前のように僕たちは使えるようになるんですか?
石川さん
あくまで、政府と自動車会社さんとのこれまでの協調した目標、彼らが一緒に協力して、一緒にスムーズにいって…っていうことで考えると…。
今2021年ですよね。大体、2020年代の半ばから後半ぐらいまでは、さっき例で言いましたバスとか大型の特殊な需要に対して、まず水素の自動車を入れていこうというのが具体的にあるんです。
その後はちょっと長いんですけれども、
例えば2030年代ぐらいになると水素を発電用の燃料にまで使おうというようなところにまで行こうとしてる。
ただいろいろ留意点があるんですよ。
水素というのは非常に圧力の高いガスで、高圧ガスと言われていて。
そういう面で安全性とかね、きちんと基準をもう1回洗い直して作っていかなきゃいけないし。
メリットがあるところには必ずデメリット…と言うか注意しなきゃいけないところがあるんで。
それを総合的に今、日本政府も世界に歩調を合わせてやってますんで、頑張って欲しいなと思います。
その拠点があるから福島おもしれえ!って言ってんですよね。

「スマートコミュニティ」について
大楽
再生可能エネルギーや水素エネルギー。これらを活用したスマートコミュニティについてお伺いできればと思います。
スマートコミュニティって、福島県の各地でもうできてるってお伺いしたんですけど…?
石川さん
出来てるというか、これからそういった街をいっぱい作っていこうと。
これから福島県だけではなくて、日本政府として全国に作っていきたいんですけれども。
そもそもスマートコミュ二ティってなんですかってことで。略して「スマコミ」とか言われるんですけど。
要はですね、こんだけ ITが浸透してくると、情報の流通がもう皆さんそれぞれスマホとか携帯とか持っているので個人個人でできるようになる。
情報通信がこんだけ発達してきたので、例えば生活面の情報とか通信とか、そういったものが便利になってきて、いろんな情報の流通が円滑になりますと。
同時にそういう地域社会でこれから高齢化になって行く時に、いろんな情報をみんなで共有することによって、例えば孤独を孤独じゃないようにするとか…あるいはもっといろんな情報とか物流とか物のサービスのやりとりとかを円滑にする…ということでもって、あんまりだだっ広いとダメなんだけど、ある程度の広さの街をスマートコミュニティと称して利便性の高いものにしようと。
あるいは CO2を出さないような街づくりということで、このスマートコミュニティには再生エネルギーとか、あるいは前半でも説明した水素とかそういったものを活用していこうという動きが、今国家政策的に色んなとこでやってこうとなってるんですよ。
スマートコミュニティというのは必ずしもエネルギー分野だけじゃなくて さっきもいったように通信分野でも。
例えば、おそらく日本はこれから高齢社会がもっともっと進んでくと思うんです。この衛生状態が続くとなると。
すると独居老人も増えていくと。すると孤独死みたいな社会問題が出てくる可能性があるし、高齢化すれば買い物が億劫になる…。
ということで、例えばドローンのようなものでデリバリーってのありますよね。

そういうのぜんぶITとかエネルギーとか使うじゃないですか。新たな物流手段というか。
自動車も遠からずなりますよ。無人。全自動で無人の。
大楽
運転手がいなくなると…?
石川さん
ほら、近未来映画とかであるじゃないですか。
あれもまさしくスマートコミュニティ構想の中で目指してるものの一つなんですよ。
あれ電気自動車。
「UBER」ってあるじゃないですか。
自分で想定してみてください。スマホ持ってね、家にいて…。
例えば車で10分くらいの場所に行こうってなったときに、スマホで私の場所はここと。
行先はここと。全自動…というか無人の電気自動車が自分の家まで来て。
スマホに登録した通りずっと行って。
あらかじめ料金がわかってるからそこで電子マネーで決済すると。全部ITじゃんてなる。
田巻
すごい!
石川さん
全部ITになっても、物流とか人流はなくならないんですよ。
それ以外のところを全てITとかそういったもので便利にしましょう!と思ったほうが多分わかりやすいですね。

今コロナ禍だから UBERとかUBER EATSって言ってデリバリーがあるけど。
コロナ禍なんか本当はなってほしくなかったですけど、
図らずもあれってスマートコミュニティの走りになる可能性があるんですよね。
田巻
たしかに…リモート授業とかそういう感じにもなりましたね。
石川さん
学校もそうですよね。
あれも、コロナ禍の前はリモート化しようしようとか言ってだれもやんなかったのよ。
だけどコロナ禍でしかたなくやりはじめたらこんなになっちゃったと。
あとはね、やっぱり日本の課題の一つは少子高齢社会なんですけど、
高齢社会の最大のわずらわしい部分は医療と介護なんですよ。
僕もそうだけど…皆さんもそういう経験ないですかね?
病院とか医者に行ったらお年寄りばかりだ…!みたいな。
お年寄りも一部サロン化してるとか言うけども。
病院に行けるならまだいいのよ、歩けるから!
歩けなくなった時に、スマートコミュニティだとスマホとかタブレットの画面でお医者さんと「こんにちは」ってできる!
大楽
そして状況を説明できると。
石川さん
いまおそらく皆さんのスマホ、4Gでしょ。今後どんどん5Gになっていくんですよ。
5Gになると画像がもっときれいになるので、画像診断ができるんですよ。
あと、本当に一部世界で始まろうとしてるのが、海を隔てた向こうの外国との遠隔手術。
これはスマコミュよりももっと広い話ですけど。
スマコミュに話を戻すと、なかなか病院に行くまで億劫だし、病院だってほんとうは緊急事態で重い人を診たい…。
それでもやっぱり近くにいるお年寄りも診なきゃなんないってなった時に、
わざわざ来てもらって待ち時間待ってもらうよりは、その場でパソコンで見た方がいいでしょって。
大楽
その方が時間他のことに使えますもんね。
石川さん
スマートコミュニティの話をするときは再生エネルギーと水素の話よりもこっちの話の方がみんな理解するんです。
田巻
身近に感じられるからですね!
石川さん
そう、あと授業ね。
田巻
これは近い将来の話ですか?
石川さん
2020年代には、どっか一個くらい出てくるんじゃないかな。
僕の希望としては福島のどこかの市町村でやってほしいんですよね!
大楽
それは僕たちもそう願いますね。
石川さん
それそれの市町村ってそんなに図体大きくないじゃないですか、福島県って。
東京なんて最後でいいんですよ、勝手に発達するから。
だけど福島とか、ほかの地域も含めて、数十万・数万の都市・街くらいで雛型をボンボン作ってくれると、実はそういう街のほうが日本は圧倒的に多いから、その方が雛型になるんですよ。
東京とか大阪は雛型になりません。こんな街はほとんどないからね。

大楽
いろんな事をお伺いして、スマートコミュニティも、文字面じゃなくて石川さんから説明していただくことによって頭の中でも想像できるようなりましたよね。
田巻
石川さん、すごいパワフルで面白い方で…またお話聞きたいなと思いますね!
政策アナリストの石川和男さんにお話を伺っていきました。
貴重なお話をありがとうございました。
田巻
前回は『福島から始まる再生可能エネルギー』の話をしてきましたが、どうでしたか?